【R18】剣と魔法とおみ足と

華菱

文字の大きさ
3 / 45

入学二日目

しおりを挟む
入学式の翌日、登校するとすでにアルミ嬢は教室にいた。昨日のことを思い出して、にやけてしまった。



アルミ嬢に睨まれた。



「お早うございます、アルミ様」

気にせずに挨拶をした。



ぷぃッと顔をそらされた。



「……おはよう、トーノ、いつの間に王女様と仲良くなったの?」

ちょっとオトハの機嫌が悪い。



「お、おはよう、オトハ、仲良くはなってないよ」

あわてて返事をすると



「ふ~ん、まぁ別にいいけど」

そう言ってオトハは授業の予習を始めた。







突然だが、ここで俺について語ろう。

俺は転生者である。前世では平凡な男であった。

現代日本の一般家庭に産まれ、真面目に学校に通い、大学を卒業後、そこそこの企業に入社して3年ほど働いて、交通事故であっけなく死んだ。



そして、目が覚めたらこの世界に転生していたのだ。



そう、転移ではなく転生である。つまりはこの世界にも両親が存在する。



自分が転生したことに気づいたとき、俺の胸を占めていた思いは2つ。

1つは魔法等の現代日本にはなかったファンタジーにときめく想い。

もう1つは、申し訳ない気持ちである。

愛する人と結ばれて子を成したとして、その赤子の中身におっさんがいたらどう感じるだろう?

俺だったら気持ち悪いと感じる。



この世界での両親は優しかった。

だからこそ、申し訳なさは消えなかった。

俺が転生者であることは墓場まで持っていこうと思った。



偽りだらけの俺が両親に対して出来ることはなんだろう?と考えたとき、せめて自慢の息子であろうと思ったのだ。



そこで考えたのは魔導騎士になることであった。

魔導騎士というのはエリートである。その多くが平民よりも魔力の多い貴族からなる。そんな魔導騎士の中にも平民から成り上がった者たちがいる。平民出の魔導騎士は民衆のヒーローである。

そんな魔導騎士に息子がなれば両親も鼻が高いと思ったのだ。それに給料もいいから仕送りもできる。

それが俺の恩返しである。



平民が魔導騎士になるには2つの方法がある。

1つは冒険者として成功して、貴族との繋がりをもち、貴族から推薦を受けること

もう1つは王立魔導騎士養成学園をよい成績で卒業することである。



冒険者というのは、その強さも人格もピンキリだ。

ざっくり言うと14才以上であれば誰でもなれるのだ。

冒険者にはランクがあり、上からS,A,B,C,D,E,Fである。

貴族から推薦を得ることのできるレベルとなると最高ランクのSランクか次点のAランクである。

昇格には強さと実績と素行の評価できまる。そのため下位ランクの冒険者はルーキーかチンピラである。



そしてなにより危険である。多少腕っぷしが強くて魔法があったとしても14才の子供がいきなり怪物と闘い生き残れるのだろうか?

訓練と実践は違う。冒険者として成功できるのはほんの一握りである。



ならば、魔導騎士養成学園はどうか?この国1番の教育機関であり、平民が入学するだけでも大変なことである。しかし、俺は転生者だ、入試を突破するのは容易かった。

そしてなにより、課外実習で歴戦の魔導騎士の監督のもと、実際に怪物どもと闘えるのだ。冒険者と比べて安全に強くなっていける。



よって俺は、学園に行く事に決めた。





ーーー俺には夢がある。

魔導騎士になること?いやこれは自身に科した義務であって、夢というわけではない。

まぁ、義務なんて言ってはいるものの前世では平凡だった俺がエリートだなんて心踊るものがある。わりかし苦ではなかった。



夢だ、夢の話である。

せっかくの異世界なのだ!壮大な夢を見よう!



俺の夢、それは……



ハーレムを築いて退廃的に暮らすことである!









と自分に科した義務と壮大な夢を胸に刻みなおしていると、1限目が終了していた。今日の1限は数学だったのだ、前世で学んだことであり、退屈だったのだ。ついつい思考を飛ばしてしまってもしかたない。



そんなこんなで2限からは真面目に授業を聞いて昼休みになった。



オトハと共に学園の食堂へ向かう。定食なら無料で食べれるのだ!さすが王立!



オトハと授業内容について話をしながら焼き肉定食に舌鼓をうっていると、視線を感じた。



そちらに目線を向けるとアルミ嬢と目があったので微笑んでみた。

またぷぃッと顔を背けられてしまった。



諦めない、俺はもう一度彼女の足を舐めてみせる!と決意を新たに午後の授業を受けて2日目は終了した。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

処理中です...