【R18】剣と魔法とおみ足と

華菱

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剣姫①

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翌朝、俺は一人、大きなアクビをしながら学生寮の裏にある雑木林を歩いていた。まだ多くの生徒が夢の中にいるであろう時間帯に何故こんなとこにいるのだろうかというと、剣を振るにちょうどいい場所を探していたのだ。



昼間の活気溢れる学園とは違い静かだ。

雑木林の中、さわさわと風に揺れる木々の音、身体を通り抜ける爽やかな風が気持ちいい。

眠気も吹き飛ぶようだ。



風に揺られながら、しばらく歩いていると木々の揺れる音に混じり、シュン、シュンっと風を切り裂く音が聞こえてきた。



俺は音のする方へ歩く。



草葉を掻き分けた先。



林の開けた場所には剣姫がいた。



風を切り裂き、長い髪を靡かせて鋭く剣を振るう彼女は踊っているかのようで、神秘的ですらあった。



俺は彼女の剣舞に、その神秘的な光景に呼吸さえも忘れて見いってしまっていた。



一連の型が終わったのだろう、残心をした後、ゆっくりと剣を鞘に納めた彼女を見て、ほっと息を吐いた。



「見てないで話しかけて来てくれていいのですよ?」

俺が見ていたことどうやら気付かれていたようだ。



「す、すいませんチグサ様。覗き見するつもりじゃなかったのですが」

「構いませんよ、ところでこんな朝早くからどうしてこんなところに?」

「え、ええちょっと特訓しようかと……」

「ああ、私と同じですね、私も毎朝、ここで剣を振るのが日課なんです」

「そうなんですね、すいません、邪魔してしまって」

「邪魔ではありませんよ?それにちょうど良かった、トーノさんと二人っきりでお話してみたかったんです。」



「最近、姫様が明るくなられたのです。いえ、昔から誰に対しても愛想よく接する方だったのですが、どこか陰があったと言いますか、私に対しても一歩、壁を造ってた気がしていたのです。」



「ですが、最近その壁がなくなったと言いますか、私に対しても無邪気な笑顔を見せてくれたり、冗談を言ってくるようになったのです」

アルミ嬢のことを嬉しそうに話してくる。



「ですから、その変化のきっかけになったトーノさんに興味が湧いたのです。」

「俺がきっかけですか?」

「ええ、私の目からですが、姫様は貴方と出会って換わったと思います。それもいい方向に」

俺がアルミ嬢を良い方向に変えたなんてことを第三者から言われるとなんだか照れくさくなる。



「チ、チグサ様は本当にアルミ様のことを嬉しそうに話しますね」

「はい♪姫様は私が仕える主ですし、こんなこと言うのは不敬かもしれませんが友人だとも思っているのです、それに私だけが嬉しそうにしていますか?トーノさんだってとっても嬉しそうですよ」

そんな言葉にキョトンとしてしまった。



「「ふふっ」」

なんだか面白くなって二人して笑いあう。

「俺たちはアルミ様が大好きってことですね」

「ええ♪」













「あのチグサ様、俺に剣を教えてくれませんか?」

「いいですよ」

「ありがとうございます!」

ダメもとで頼んでみたら快く承諾してくれた。女神か。



「教えると言っても、基本的な動作や型、肉体造りに関してはクロエ教官の授業で間に合ってますから……そうですね、私とは立合いをしましょう」



「さあ、構えてください」



俺たちは少し距離を取り剣を正眼に構える。

俺は彼女の剣先を見つめどこからでも対処してやる!と集中する。



「では、行きますよ」

そんな声が聞こえたと思ったら、俺は地面と抱き合っていた。

……見えなかった、一瞬で倒された!



「いつまで寝ているのですか?戦いは終わってませんよ?すぐ起き上がる!」

「はっ、はい!」



俺は勢いをつけて起き上がり彼女の懐へと潜り込んで拳を放つ!

しかし、軽くいなされて尻餅をついてしまった。



もう一度!

再び剣を構えて、彼女を真っ直ぐ見つめる。



「ふふっ」

彼女は微笑んで……





この後、めちゃくちゃコテンパンにされた。
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