悪辣令嬢、媚薬を盛る

宵の月

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悪辣令嬢、媚薬を盛る

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 ドラグル王国にはこんな伝説がある。
 その昔、輝く財宝を愛でるドラゴンがいた。その探究心は止まることなく、世界を巡りより煌びやかに輝くものを求めた。そしてドラクル王国へと降り立ち、王女と出会ったのだ。
 王女を一目見て悟ったという。世界で最も美しい宝は彼女なのだと。これ以上美しいものは、どこをどれだけ探そうとも、もう出会うことはないのだと。
 ドラゴンはかき集めた全ての宝を王女に差し出した。そして己に呪いをかけて愛を乞うた。
 よき王となり人と同じ時を生き、唯一と定めた愛に決して背かない。その誓いに破れば、身に宿るドラゴンの力を失うようにと。
 その深く純粋な愛を王女は受け入れた。二人の間に生まれた子は、ドラゴンの力を受け継ぎ、その証として美しい金色の瞳を宿すこととなった。
 今もドラゴンが唯一の愛のために己に課した呪いは、子々孫々に受け継がれているという。
 鋭敏な頭脳は文を尊ぶため。頑強な身体は武を磨くため。よき王として文武に励み、唯一の宝を定め手に入れた者だけが、ドラゴンの力を覚醒させるのだ、と。
 多くの賢君を輩出したドラグル王国の王族は、今もその身に金色に輝く瞳を宿している。それは祖先からの呪いであり、祝福だと言い伝えられている。

※※※※※

 王都貴族街の一等地に聳える、デービル公爵家の息女アシェラの私室には、不穏な空気が漂っていた。
 不機嫌さを微塵も隠さないドラクル王国王太子・グラードは、金色の瞳を憎悪に眇めてアシェラを睥睨している。アシェラは全く動じることなく、奇跡の美貌に息を飲むような美しい微笑みを浮かべた。その笑みにグラードがぴくりとこめかみを震わせて、苛立ったように視線を逸らした。

「……どういうつもりだ? 私は婚約解消の同意と聞いて足を運んだ。それがなぜ、お前の私室に通される? 合意書に署名するだけのはずだろう!」

 怒りの滲むグラードの問いに、アシェラは優雅な微笑みを浮かべたまま小さく首を傾げた。見事なはちみつ色の金髪が、華奢な肩から滑り落ちさらりと揺れた。

「仰るとおりですわ。婚約解消の合意書に署名するためにお呼びさせていただきました」
「ではなぜ私室に通す!」
「お分かりになりませんの? 殿下からの寵愛を得られず、私は捨てられるのです。せめて人目のつかぬように、と……その程度の配慮も不遜だと仰いますの?」
「……ハッ! もういい! さっさと署名しろ!!」

 グラードが叩きつけた書類を手に取り、アシェラはにっこりと笑みを浮かべた。
 
「確認いたしましたら、そのように」

 舌打ちしたグラードが、煩わしげに首元に指を差し入れる。息苦しそうに首元を緩める様を、アシェラはチラリと盗み見て書類を手に取った。たいそうこの状況がお気に召さないらしい。アシェラはひっそりと笑みを浮かべて合意書に視線を落とした。王家が提示した解消条件を、熱心に読み込んでいるをしていると、グラードがイライラしながら声を荒げた。

「……まだか? 言っておくがこれ以上は何一つ譲るつもりはない。交渉は無駄だ。何よりお前の瑕疵になるものは何もないはずだ。さっさと署名して、これまで通り自由気ままに過ごせばいい」
「公文書ですもの。慎重にいたしませんと」
 
 アシェラが輝く美貌を微笑ませると、グラードが髪をかき乱しながら顔を逸らした。

「おい! 本当にもういい加減に……! な、んだ……?」

 暑さと息苦しさの限界を迎えたグラードが、立ち上がりかけてぐらりと傾ぐ。きつく眉間にシワを寄せ、視界が定まらないようにふらふらと身体を揺らす。アシェラがその様子に、赤い唇をニヤリと釣り上げた。

「……ああ、ようやく効いたようですね」

 倒れ込んだグラードを見下ろし、アシェラが嫣然と笑みを浮かべる。

「何、を……」
「《龍の目覚め》は無香なのですね。ふふっ……ご心配なく、対の《龍の慈悲》もございましてよ?」

 アシェラは嘲笑うように《龍の目覚め》と、対になる《龍の慈悲》の小瓶を振ってみせた。グラードが部屋を見回し、香炉から僅かに立ち上る煙が紫がかっていることに歯噛みする。
 謹厳実直を絵に描いたようなグラードが、だらしなくソファーに崩れ落ちているのを、アシェラは最高に気分良く見下ろした。どうやら王家だけの初夜の秘薬《龍の目覚め》の媚香は、ちゃんと本物だったようだ。アシェラはにんまりと目を細める。

「……アシェラ!!」

 ギリギリと奥歯を軋らせるグラードは、頬を上気させ呼吸まで浅くしている。乱れたその姿にアシェラは、笑みを堪えきれなかった。

「そのようなお姿は、初めて拝見いたしますわね? 礼儀を重んじるのではなかったのですか?」

 アシェラに蔑むように見下されても、グラードは力が入らないのかへたり込んでいる。アシェラはそっとかがみ込むと手を伸ばし、汗で額に張り付いたグラードの前髪を払った。

「お入りなさい」

 アシェラが声を張ると、扉が開いて素早く護衛騎士が滑り込んでくる。騎士達はグラードを丁重に寝台に運ぶと、静かに退室していった。
 二人だけになった静かな室内で、アシェラはドレスに手をかける。戸惑いなくドレスを脱いでいく衣擦れの音と、グラードの浅い呼吸が室内で混じり合った。やがて下着姿になると振り返って寝台に片膝を乗せる。ギシリと軋んだ寝台に、グラードが薄く目を開けた。

「……アシェラ、よくも……! 何のつもりだ!!」

 怒りに震えて怒鳴るグラードを、アシェラは鼻で笑い飛ばした。
 
「バカな方。私を最高の地位に押し上げる男を、本当に逃がすとでも思っていたのですか?」
「こ、の……性悪が……!!」
 
 グラードの腹に跨ったアシェラは、満面の笑みを浮かべて見下ろした。屈んだアシェラの波打つ黄金の髪がさらりと流れ落ち、至近距離で見つめ合う二人に紗が降りる。明度の落ちた互いの美貌の、浮かべている表情はあまりにも対照的だった。

「貞節を重んじる王家ですものね。肌を重ねたとあっては、婚約の白紙は撤回となるでしょう?」

 目元をほのかに上気させたグラードが、金の瞳を憎悪に燃え上がらせた。

「……ふざ、けるな……! よくもこんな馬鹿げたことを……!」
「随分と威勢がよろしいこと。頑張って抵抗なさって? 王家秘蔵の媚香なのでしょう? 《龍の目覚め》にどこまで対抗するのか楽しみですわ」

 アシェラはご機嫌でグラードを嘲ると、絹のシャツをはだけて露わになった肌を指でなぞる。それだけでびくりと反応するグラードに、アシェラはくすくすと嗤った。

「……お前のような女を妃になど……!!」

 爛々と怒りに燃える瞳で睨むグラードに、アシェラは鼻白んだようにため息をつく。

「この美貌のどこが気に入りませんの?」

 心底不思議そうなアシェラに、グラードはグッと奥歯を噛み締めた。今この時さえも、息を呑むほど美しいアシェラ。宝物を好むドラゴンを、惑わし続けるその美貌。それが余計に気に障りグラードの、唇から唸るような罵倒が溢れ出す。

「……確かにその美貌は感嘆に値する。だがそれだけだ! これまでの行いを忘れたか? 笑わせるな!」
「ですから何が不満なのです?」

 咲き誇る百花よりもなお美しく、アシェラはにっこりと微笑んだ。反省の欠片も見せないアシェラに、唇を噛み締めたグラードの胸に悪行の数々が蘇ってくる。
 美しい薔薇には棘がある。
 アシェラはひどく美しく、そして苛烈だった。派手なドレスと宝飾を好み、誰に対しても高飛車で傲慢。礼の角度が浅いと令嬢にお茶をかけ、ドレスの色が同じだと噴水に突き落とす。華やかに着飾って派手に遊び歩き、怪しげな夜会に出入りする。
 その度に諌めるグラードの言葉を、アシェラは聞き流し続けた。妃に足る資質をついに一つも見出せなかった五年間。グラードは限界を迎えて婚約白紙の決意をした。

「……どれほど言って聞かせても、お前は変わらない」
「変わる必要が?」

 昂然と顎を逸らすアシェラには、グラードの言葉など少しも響かない。悔しさにグラードは顔を歪ませ声を絞り出した。
 
「……婚約は白紙だ! お前のように傲慢で、ふしだらな女を王妃になどと笑わせるな! 好きなだけ遊び歩くがいい! 決して俺の目に入らぬところでな!!」

 軽蔑しきった声音にも、アシェラは怯むどころか微笑を浮かべた。

「言われずとも好きに致しますわ。ですが次期王妃の座は私のものです。それは譲れませんの」
「手垢のついた身体を恥じる気もないとは呆れ果てる。お前の靴なら喜んで舐める男達と、好きなだけ戯れていればいいだろう? 耳の穢れる醜聞をもう二度と俺に聞かせるな!! 俺の目の届かぬところに消えろ!」

 逸らしていた顔をアシェラに向け、グラードが怒りを思い出したかのように徐々に激昂する。煩わしそうに口元に手を当てアシェラは、苦々しく顔を顰めた。

「……またそのお話ですの? うんざりですわ。たかが一つや二つの醜聞。瑣末なことでしょうに……」
「一つや二つではない!!」

 噛み付くグラードに、アシェラはため息をついた。
 とにかくあれこれと小言の多いグラードだったが、とりわけ貞節に関しては他と比にならないほど過敏だった。伝統的に王家は貞淑を重んてはいるらしいが、でも別にそれを守る気などさらさらない。うるさく求められる貞節にはうんざりだった。

「お前は俺の婚約者なんだぞ! それなのに鼻の下を伸ばした男どもを侍らせて!! そんなことが許されるわけがないだろう!!」
「……はあ、もういい加減、貴方の小言は結構です」

 虫を追うように手を振ると、アシェラは枕の下に隠しておいた王家の指南書を引き寄せた。その指南書にグラードが眉根を寄せる。
 
「アシェラ、なんの冗談だ……?」

 アシェラは無視を決め込み、面倒事は早めに済ませようと早速指南書を開いた。熱心に読み込み始めたアシェラに、

「おい! ふざけているのか? なんのつもりか聞いている!」

 グラードが戸惑ったように、指南書を読むアシェラに声を張る。一生懸命に該当箇所を探していたアシェラは、うるさいグラードを睨みつけた。

「もういい加減黙ってくださらない? 気が散りますわ!」
「…………」

 黙り込んだグラードに満足して、アシェラは指南書に視線を戻した。求める情報をあちこち探したが、見つけた記載に何度も眉根を寄せる。

「……だから、結合部……ってどこ……?」

 ぶつぶつと呟きをこぼしながら、探せど出てこない情報に、徐々にイラ立ちが募り始める。

「一般的な手順って……だからそれを書きなさいよ……!!」

 指南書と名乗るなら相応の記述をするべきだ。知っていて当然とばかり省略されている内容に、アシェラの声に怒りが滲んだ。

「アシェラ……お前はふざけているのか……?」

 様子を伺っていたグラードが呆然としたように呟き、アシェラは振り返って噛みついた。
 
「うるさいですわ! 今探しているのです! お黙りになって!」

 怒鳴りつけたアシェラの手首が、鋭くグラードに掴まれた。不意打ちに指南書を取り落とし、イライラと振り返る。信じられないものを見るような、感情の読めない視線にぶつかってアシェラは思わず舌打ちした。

「……なんですの? 《龍の目覚め》で逃げられもしないのです。いい加減観念して大人しくなさったら?」

 感情的に声を荒げたアシェラに構わず、グラードは探るような視線で真っ直ぐに見つめてくる。やけに真剣な眼差しに、アシェラは小さく首を傾げた。一体なんなのか。
 
「なぜ指南書を調べる。お前に必要ないはずだ。毎夜遊び相手としていたことをすればいいだけだろう?」
「いちいち邪魔をなさらないで! 心配せずとも逃れられない、既成事実は私が作って差し上げますから!!」
 
 邪魔ばかりするグラードを睨みつけ、落ちた指南書に手を伸ばそうとした視界がぐらりと回転した。寝台に縫い付けられ驚いて見上げると、ギラギラと底光りする金の瞳と視線が絡む。

「なぜ、何も知らないかのようなふりをする? 俺を襲おうとしている今、その振る舞いはなんの意味をなさないだろう?」
「……ふりではございませんけど?」

 知らないから探すのだ。
 
「……ふりでは……ない……? なら……お前は……」

 グラードが衝撃を受けたように目を見開き、動揺を隠すように手のひらで額を覆った。アシェラは呆れながらグラードを睨みつけた。

「知っていたら当然必要ありません。知らないから調べているのです」

 わかりきった事実にやけにしつこく食いつき、無駄に食い下がってくることこそ意味がない。

「ドラゴンの末裔である王族は、言われるほど優秀な頭脳ではなさそうですね?」
 
 アシェラは冷たく目を眇めて嘲笑ってやる。しかしグラードはそれどころではないように、片手で顔を覆って何事かをぶつぶつと呟いている。

「嘘だ……そんなはずはない……お前がまだ……そんなはず……なら、俺は別に……」
「……理解されたならどいていただけます? 私が……」

 言い差してアシェラはぴたりと言葉を止めた。組み敷いていたはずが、組み敷かれている。その事実に気付いて、慌ててグラードを振り返る。せっかく炊いた媚香の時間切れの可能性に青ざめた。黙ったまま手のひらに顔を埋めた、グラードの表情は見えない。その肩が小さく震えているのに気がついて、アシェラが眉根を寄せた。

「グラード様?」
「……アシェラの身は清いまま……未だ男を知らずに……まだ誰も……」

 グラードの呟く内容にアシェラはため息を吐き出した。
 
「だからそれが一体なんだというのです……」

 まだそんな瑣末事にこだわっていたらしい。鬱陶しい。そんなことよりも媚香がきれるかもしれない。とにかく急いでヤッてしまおうとと、グラードを押し除けようとしたアシェラの耳にくぐもった哄笑が聞こえた。何事かと見やると、グラードは肩まで揺らして嗤っていた。

(気でも触れたのかしら……?)
 
 笑い出したグラードに戸惑いつつ、アシェラは《龍の慈悲》に手を伸ばした。小瓶を掴んだ手が、グラードに阻まれる。小瓶ごと手を握り込まれムッとしながら、振り返ったアシェラは思わず息を呑んだ。

「答えろ、アシェラ。その身は未だ純潔か? では毎夜俺以外の男の手を取り夜に消え、どこで何をしていた?」
「……なぜそんなことを知りたがるのですか? それほど重要なことでもないはずです」

 尋常ではない瞳の輝きに圧倒され、アシェラは喉を上下させながら答えた。堪えられないように笑みを刻むグラードは、食い入るようにアシェラを見下ろしている。

「いいや、重要なんだ。だから答えろ、アシェラ。さあ……」

 様子のおかしいグラードに、アシェラは恐る恐る口を開いた。
 
「……じゅ、純潔ですが、それがどうだと言うのです? どちらにせよ指南書の手順を全うすれば、妃の座は私のものです」

 得体の知れない恐怖を感じて、アシェラは喉奥を震わせながら答えた。それでも気強く不遜に言い返すアシェラに、グラードがニイッと口端を釣り上げる。

「ああ……そうか……お前のその美しい身体が、まさかまだ清いままとは……そうか……そうだったか。ふふっ。では、あれらとはどう夜を過ごしていたんだ?」

 ビロードのような耳触りの猫撫で声に、アシェラの鼓膜が揺らされる。ぞくりとするほど甘い声は、甘いほど不穏に感じて、アシェラは肌が粟立つのを感じた。

「靴を……」
「……靴? ふっ! ははは! 嘘だろう? あやつらのお前への態度で靴でも舐め出しかねないとは思っていたが、本当に靴だけ舐めていたと? 傑作だな!!」

 唸るようにグラードは喉奥で笑った。アシェラは今のうちに、自由を取り返そうと手首を捩る。嘲笑の気配を残したままの、グラードがアシェラに視線を落として瞳を細めた。

「ああ、美しい俺のアシェラ。なぜその身を明け渡さなかった? 俺のためにか?」

 優しく見えるほど細まった瞳に、眉根が寄った。おかしなことを言い出したグラードに、アシェラはごく当然の事実を告げる。
 
「……私の身体ですのよ? 自由にできるのは、私だけですわ」

 誰のためでもない。あえていうなら自分のため。誰と何をするかはアシェラだけが決められる特権だ。躊躇なく高慢なアシェラに、グラードの脳がぐらりと揺れた。理性が溶ける感覚にグラードは笑みを刻む。

「そうだな、ああ、そうだ。お前はそういう女だ。いい子だ、アシェラ。だが妃教育もまともに受けなかったお前では、せっかくの《龍の慈悲》も無駄にしてしまう」
 
 薄ら笑いを浮かべたグラードに、アシェラが息を詰める。見つめあった美しい金色の瞳は、いつの間にか瞳孔が縦に切れ上がっていた。謹厳な王太子の空気は消え失せ、獰猛で凶暴な気配を纏うグラード。身震いして瞳を怯えさせたアシェラを面白がるように、グラードが頬に手を伸ばした。

「ちゃんと妃教育は受けておくべきだったな? 《龍の目覚め》は火ではなく水をかける。だから俺の覚醒も中途半端なんだ。かわいいアシェラ、からは間違えるな。俺に相応しい女にならねばな?」
「た、正しくないならどうして……?」

 アシェラの掠れた問いに、グラードは眉を跳ね上げた。射すくめてくる視線を外したくても、目を逸らしたら全てが終わる不吉な予感が拭えず、アシェラはグラードから視線を外せない。
 確かに一度もまともに妃教育を受けなかった。だからグラードの言う、覚醒がなんなのかも分からない。でも本能は理解していた。が覚醒で、《龍の目覚め》はのものだと。
 グラードは覚醒している。正しく使えなかったはずの《龍の目覚め》で。いる。傍若無人で怖いもの知らずのアシェラでさえ、震えるような畏怖と鋭い威容を発散しているグラード。まるでもう人ではなく、ドラゴンの眼前にいるかのよう。
 震えるアシェラから、グラードは《龍の慈悲》を抜き取った。完全に縦になった瞳孔が、危うさを孕んで細まる。

「心配するな、アシェラ。覚醒は中途半端でも、お前その美しさが否が応にも覚醒を促す。ああ、美しい俺のアシェラ……全く五年もよくも振り回してくれたものだ」

 あやすような響きの甘い囁きは、まるで取り巻き達のような賛美の言葉を紡いだ。グラードから一度も言われたことのない睦言は、脅迫じみてアシェラの鼓膜を震わせる。

「……何も知らぬ無垢なままなら、早くそう言えばいいものを。俺をどれほど嫉妬で狂わせるつもりだった? 俺が嫉妬でおかしくなる前に、遠ざける必要がないなら早く言え。だが許そう。無垢なままのその美しさに免じて。俺のアシェラ、望み通り妃の座はお前のものだ」

 グラードが頬に手を伸ばしてくる様子を、アシェラはただ怯えて見つめていた。それしかできなかった。頬に揺れた指先に、アシェラがぴくりと肩を揺らす。
 
「……結合部も一般的な手順も知らずとも、なんの心配もいらないからな。全部俺が教えてやる。お前をにしてやろう」
「…………っ!!」
「もう二度と俺に逆らわぬいい子にしてやる。そうだろう? 無知なアシェラ」

 ゆらりと腰を揺らしたグラードの動きに、目を見開いたアシェラが恐る恐る視線を下げる。身体に押し付けられたモノを確かめる様子を、グラードは薄く笑って見守った。

「……ひぃっ!!」

 目の当たりにしたものに、アシェラが悲鳴をあげた。押さえられた手を振り解こうと渾身の力で暴れ出し、グラードが喉奥を鳴らしながらアシェラを優しく宥め始める。

「……い、や……いや……!! 離して!! 離してぇ!!」
「アシェラ、妃の座が欲しいのだろう? それならば頑張らねば」

 アシェラは拒絶に必死に首を振り、グラードから離れようと身を捩る。振り解けない手に焦れて、取り乱しながら涙声で叫んだ。

「む、無理!! こんなの絶対におかしい!! 離してぇ!! やだぁ!!」

 いくらアシェラに知識がなくても、実物を見たことがなくても分かった。グラードの股間についてるものはどう考えてもおかしい。あんなものはありえない。棍棒サイズの大きさに、ぼこぼこと浮き出る血管が隆起する禍々しい妖物。結合部がどこにしろ、一般的な手順がなんにせよ、絶対に受け入れてはいけないことだけは分かる。
 涙でぼやける視界の先で、グラードの口角が釣り上がる。命の危機にも似た絶望に、アシェラが顔色を青ざめさせた。

「無理! 無理! 絶対に無理! 離して……離してぇ……!!」
 
 アシェラの腕よりも太いのだ。あんなものが入るわけがない。あれは魔物だ。あんな悍ましく禍々しものが、男なら誰でもぶら下げているもののはずはない。絶対に魔物。アルティメットすぎる下半身に、アシェラは完全に心を折られていた。
 細められた縦に切れ上がった瞳孔。底光りする金色の瞳。ドラゴンの末裔と伝わるドラグル王家。
 アシェラは悟った。末裔達に受け継がれる龍の証は、優秀な頭脳でも頑強な身体でも金色に輝く瞳なんかでもない。間違いなく下半身についているあの魔物こそ、脈々と引き継がれてきた龍の証だと。人にあんなものついてるわけがない。

「無理……こんなの聞いてない! ありえないもん……絶対無理! 怖いよぉ……離してぇ……」
 
 ボロボロと泣き出したアシェラに、グラードがひどく優しい声を響かせた。

「ああ、泣くな。かわいい、アシェラ……」
「……っ!!」

 許されることを期待して顔を上げたアシェラは、ひくりと浮かべかけた笑みを凍らせた。薄く色づく小瓶を振りながら、グラードが堪えきれないようにニンマリと嗤った。

「そのためにがある。俺を目覚めさせた責任を取ろうな? 己の行いには責任が伴うのだから」

 輝く金色の瞳の輝きに、どうあっても逃げられないことを悟って、アシェラは初めて自らの行いを心の底から悔いた。

※※※※※
 
 ドラゴンとは、慈悲深い存在なのかも知れない。
 結合部に惜しみなくかけられた「竜の慈悲」は、確かに禍々しいドラゴンの恐怖を薄れさせるほどの快楽を、アシェラの肢体にもたらした。

「あっあっあっ……あぁ……やぁ! ああ、あああああああーーー!!」

 何度目かの絶頂に弓形に反った身体を抑えつけながら、グラードはくつくつと喉奥を鳴らした。嗜虐に満ちた声はご満悦で、探しても見つけられなかった、不足の知識を甘く吹き込んでくる。

「ここが結合部だ。覚えたか? 俺のアシェラ。この奥の奥まで俺を受け入れる」

 ニチニチと音を立てながら、慈悲を念入りに塗り込めるグラードに、アシェラは返事を返す余裕もなかった。肌は灼けるように熱く、塗り込められるたびに肉壁が別の生き物のようにうねるのが分かる。慈悲がもたらす右も左も分からなくなる快楽でも、ぼんやりとした危機感は消えてなくならない。アシェラのなけなしの警戒を肯定するように、グラードの囁きが吹き込まれる。

「気持ちいいか? アシェラ、俺専用の身体に作り変わっていくのは」

 涙で潤む瞳を問うように薄く開いたアシェラに、グラードが酷薄に笑みを刻む。

「入るわけがないだろう? 普通なら。龍の慈悲で身体を作り変えるんだ。覚醒した龍を受け入れられる身体に。もう俺以外で満足などできなくなる身体に。嬉しいだろう? アシェラ。お前は俺専用の俺だけの女になるのだ」

 快楽に塗りつぶされていた頭が、ぼんやりとグラードの言葉を咀嚼する。「身体が作り変わる」。染みてきた言葉が朧げだった恐怖に、はっきりとした輪郭をもたせた。アシェラはふるふると小さく頭を振った。

「や、だ……やだぁ……」

 妃にはなりたい。すごくなりたい。だって最高の地位こそ自分に相応しい。でも身体を作り変えるのは嫌だ。そんなことが必要だとは知らなかった。アシェラは感じる恐怖のまま、怯えて弱々しく首を振る。絶え間なく蠕動する最奥からの快楽さえも、一瞬で恐怖に変わってた。

「わがままだな。俺を襲ってまで妃になりたかったのだろう? なぁ、アシェラ? 妃になれるんだぞ?」

 完全に覚醒を果たしたグラードが、アシェラの涙が伝う頬に擦り寄る。陶器のような肌の感触を楽しむように、喉奥を鳴らし下半身の魔物がゆるゆると秘裂に擦り立てられた。

「あぁ……!!」

 過敏になっている尖った花芯に、ボコボコと血管を浮かせる妖物が快楽を走らせた。悍ましいのに抗えない愉悦に、アシェラは細かく肢体を痙攣させる。

「王家が貞節を重んじる理由が分かっただろう?」

 龍の末裔をあちこちに作るわけにいかない。そんな表向きの理由だけではないのだ。もうでは満足できない、そういう身体にした責任が残るのだから。そもそもドラゴンの性質上、たった一人だけしか必要ない。人ならざる力を覚醒させるほど、心を掴み揺さぶるだけの存在。そんな相手と出会えた幸運な者だけがドラゴンへと覚醒するのだから。
 アシェラを後ろから抱き込んだグラードが、下腹部を優しく撫でる。絶え間なくうねっているのが肌の上からも伝わってきた。着々とグラードのための身体に変わる様を、愛でるように眺めて楽しむ黄金の瞳にアシェラは縋るように懇願した。

「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……やだ……無理なの……許してぇ……」

 生まれて初めての謝罪は、やわらかい微笑みで拒絶された。
 待ちきれないとばかりに、脈打つ血管を浮き上がらせる魔物を。ゴツゴツと岩のように硬く禍々しい妖物を求めて、アシェラの最奥が絶え間なく悶えるように捩れている。
 ぐつぐつと煮えるような熱と官能に晒されていても、この先に起こることへの恐怖は塗りつぶしてはくれなかった。

「あや……謝ってるのにぃ……やだぁ……やだぁ……入んないもん……無理だもん……やだよぅ……」
「……ああ、アシェラ泣くな。可愛くて食ってやりたくなるだろう?」

 子供のように泣き出したアシェラを、グラードは容赦なく寝台に押しつける。ボロボロ泣いているアシェラを、ギラギラと底光りする金の瞳が真っ直ぐに射抜いた。
 駄々をコネていたアシェラは、とろけるように囁くグラードの声に、ひくりと唇を引き結んで嗚咽を堪えた。食われないように、必死に泣き止むほど怯えている様子に、グラードの脳が揺れて理性は簡単に千切れ始める。

「かわいいな、アシェラ。怖くて泣いちゃうアシェラはとても愛らしい。こんなにかわいいお前が、無垢なままだとは……あぁ、アシェラ、どうしてやろう……俺の美しい宝物……俺だけの女……」
「グ、グラード様……やだ……! やだ……!」

 目つきのおかしいグラードに、アシェラは必死で抵抗する。ぐにゃぐにゃと力の入らない身体が、自分の意思とは反対に、身体の奥がぞくりと歓喜に震えるのを感じた。当てがわれた魔物の熱さに、アシェラの腰が浮く。

「裂けちゃう! 絶対死んじゃうから! やだぁ!!」

 必死に縋らせる呂律の回らない舌足らずな懇願は無視され、メリメリと音を立てて龍の魔物は無慈悲に突き立てられる。

「ふぁ……あっあっあっ……な、んで……なんでぇ……」

 ゴリゴリと絶対入らないはずの異物は、確実にゆっくりと侵入してくる。肉壁がドロドロと溶けだしてしまったかのように、ありえない魔物を奥へ奥へと難なく受け入れるているのが分かった。
 物理的に絶対に無理なはずなのに感じるのは、痛みではなく支配される悦びだった。波紋のように広がる快楽に、アシェラは混乱してうわ言のじみた嬌声をあげ始めた。
 浅く荒く呼吸を乱しながら、汗を滴らせてグラードは止まることなく魔物を押し込み続ける。グネグネと下腹部が蠢き、作り変わるという言葉の意味を身をもって知らされながら、じわじわと細波のような快楽にアシェラが吐息をこぼす。
 質量的に無理なはずのモノは、じわじわと押し込められて今や完全に胎の中に収まった。収められたモノの脈打つ振動が、神経に直接電流を流すような快楽を生み出し始める。

「やだ……なんで……気持ちいい……気持ちいい……なんでぇ……あぁ……」
「あぁ、アシェラ……俺のものだ……俺だけの女だ……」
「……気持ちいい……はぁ……グラード様……足りない……お願い……全然足りないのぉ……」
「……っアシェラ!!」

 ぐずぐずに溶けたように、快楽に溺れ出したアシェラが強請る。吠えるように叫んで、グラードが腰を深く打ち付けた。そのまま開始された抽送に、アシェラが最後の理性を手放す。

「ああっ! 気持ちいい! 気持ちいいの! もっと! もっとして! ああっ! ああっ!」
「アシェラ! アシェラ! 俺のモノだ! 俺だけの女だ! 二度と俺を振り回すことは許さない……! アシェラ!」

 積年の愛憎をぶつけるような激しい律動に、荒れ狂う大波の快楽が襲いかかる。アシェラは従順に甘く哭いて腰を振るった。快楽に堕ちて淫らに揺れるアシェラは、その身体を犯す者のための身体に変化を続けた。支配される悦びに哭くアシェラに、支配する愉悦に猛ったグラード。獣のように吐息を絡ませ合い、深く繋がった最奥にやがて灼熱がぶちまけられた。

「ああっ……!! ……っ!!」

 その熱さに震えて声もなく絶頂する身体を、キツく抱きしめながらグラードは、金の瞳をギラつかせながら囁いた。

「アシェラ、もうお前は俺のモノだ……俺だけの女になったんだ……」

 絶対上位者の支配者の囁きに、犯すはずの相手に返り討ちにされた悪辣令嬢は、快楽に浸されたままぼんやりと頷いた。

※※※※※

「物品税を引き上げればいい。金を余らせている貴族連中からむしり取れ」
「相当な反発が予想されます」
「黙らせるさ。児童教育水準の引き上げに貢献できるなら本望だろう」
「では税率を引き上げる物品は……」

 グラードが差し出されたリストに手を伸ばすと、執務室に軽い叩音が響いた。二人の補佐官が視線を見交わして扉を開ける。楚々と入室してきた侍女は、礼をとったまま口を開いた。

「アシェラ様の宮に服飾担当者が……」

 最後まで聞かずにグラードが無言で立ち上がり、そのまま風のように執務室を後にする。残された侍女が戸惑ったように、補佐官を見上げた。

「……ですか。ああ、貴女はもう戻っていいですよ」
「え、あの……は、はい……」

 戸惑いながら退室していった侍女を見送り、補佐官二人はのんびりと頷き合った。
 
「さて、では休憩でもしましょうか」
「そうですね」

 嬉々として駆け出した王太子は、あと数時間は帰ってこないだろう。補佐官達は手早く用意を済ませると、まったりとお茶を啜り始めた。

※※※※※

「……アシェラ!!」

 バターンと乱暴に開かれた扉を振り返り、アシェラは嫌そうに美貌を歪めた。
 
「……お早いのですね」

 ずんずんと部屋に押し入ってきたグラードに、アシェラは舌打ちした顔を隠すように視線を逸らした。

「服飾担当者を呼んだそうだな? だが、婚姻のドレスは俺が用意すると言ったはずだ」
「……あんな地味なドレスは嫌です!」

 むすっと返事を返したアシェラに、グラードは手を振って全員を退室させた。テーブルに残るデザイン画に、グラードはぴくりと眉を揺らす。

「……俺の妻になる日にこれほど肌を晒す理由は?」
「私に似合います」
「ダメだ。ドレスがどうであれ、どうせお前は美しい。俺以外にその輝く白い肌は絶対に見せるな」
「嫌です! 私は絶対に……」
「アシェラ? 俺に逆らうつもりなのか?」

 グラードが不穏な甘い声を響かせた。その金の瞳の瞳孔がゆっくりと縦長に切れ上がり始めても、アシェラは頑固にそっぽを向いた。

「嫌です! 私は絶対私に相応しいドレスを着るのです。なんと言われようとも着るのです!!」
「ああ、アシェラ。なんて悪い子なんだ。ダメだと言っているだろう? お前は美しすぎるのだ。その肌を人前に晒せば舐めるように見つめられ、味わいたいと涎を垂らす者しかいないに決まっている。絶対にダメだ」
「嫌です!!」
「……どうやらとっても悪い子のようだな? 仕置きが必要だ」
「……私は……」

 そろそろと後ずさったアシェラの腰に、グラードは腕を回してグッと引き寄せた。その力のあまりの強さに、そろそろとアシェラはグラードを見上げる。覗き込んでくる金色の瞳がゆっくりと縦に切れ上がっていく様に、ぞくりと胎が疼いて悔しそうにアシェラが唇を噛み締めた。くすくすと笑いながら、グラードがアシェラの耳朶に擦り寄り囁いた。

「ああ……美しい俺のアシェラ……それともお仕置きが欲しくて悪い子なのか?」
「…………」

 むすっとして答えないアシェラを抱き上げて、グラードが口角を釣り上げる。

「本当に困った妻だ。さぁ、アシェラ。肌を出さないと約束ができるいい子になろうな?」

 濃密に始まった念入りなお仕置きに、アシェラは割とすぐいい子になった。でも逆らった罰とかなんとか言われて、なんだかんだで簡単には許してはもらえなかった。
 丹念に施された長時間のお仕置きに、デザイン変更する気力も根こそぎ奪われたアシェラは、結局グラードの用意したドレスでむすくれたまま、結婚式を挙げることになったのだった。
 

 

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