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違う!やってない!

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学校の全クラスで、昆虫やめだか、小さな動物を飼う事になった。

まっ、この学校の校長先生のおうちで飼ってる赤ちゃんが、増えすぎたらしく、沼田先生がぶつくさ言ってた。

で、うちのクラスは…

「可愛いーーーっ!!」
「先生、このミニウサギ大きくならんよね?」
「先生!名前は?つけていい?」
「女の子?男の子?」
「鳴く?」

と沼田先生に根掘り葉掘り聞いてた。

「大きくはならないみたいだし、あまり鳴かないみたいです。性別は、後で聞いてきます。さっ、早く席について!!今から、ミニウサギの飼育当番を決めますよっ!!」

最後の方になると、先生が怒って言ってた。

ガタガタと机や椅子を鳴らし、それぞれ席に着く。

『いいなぁ。動物。うち飼ったことない。ママに聞いてみようかな?』

「先生っ!!飼育当番って、係ってことですか?」
「え?ええ。毎日変わる変わるだと、ウサギもストレスになるだろうから。」
「じゃ、推薦とかいいですか?」
「…。」

綾子ちゃん、私をチラチラ見ながら隣の保田くんと話してる。

保田くんは、最近転校してきた男の子で、みんなと一緒に私をいじめてるし、佐田くんと一番始めに仲良くなった…

佐田くんより、力がある…

「はい!先生!!」
「あら、保田くん。珍しく手を挙げたのね。算数じゃないのに…。」

なんとなく保田くんのイラつきが、自然にわかる。嫌な予感がするんだけど…

「優花、すいせーん!!」
「俺も!」
「私も優花ちゃんがいい!」
「優花ちゃん、さっき可愛いって言ってたし、やってみたいって言ってた!」

『いや、最後は言ってないけど、飼ってみたいのは、猫とか犬だから。』

「そうなんですか?井口さん。」

と先生が私を見る。みんなも私を見てる。

「…はい。やり、ます。」

で、皆が前を向く。反対したら、また酷く苛められる。

先生、喜んでたし。お昼休みに先生と一緒に校長先生のお部屋に行ったら、他のクラスの子も居たりして、安心した。

「じゃ、大切に飼ってね。これみながら、頑張って下さいね。ウサギ可愛いですよ。他のも可愛いけど。」

とプヨプヨした手で、ミニウサギの飼い方という本を渡されて、教室に戻った。


「おい、優花。」

と木本くんに呼ばれて振り向いたら、

「こっち見んなよ。犬。」
「へぇ、犬がウサギを世話するのか!」
「飼ってる間に、お腹すいて食べちゃったりしてぇ。」

みんな笑ってて、無視して席に着いた。

『良かった!綾子ちゃん達が居なくて…』

給食の時は、珍しく先生がいたから。居ない時が、多いけどあんな先生でも助かってる。


学校終わると、みんなの分のランドセルを持って、それぞれの家に寄っていく。

「ったく、おせーぞ!優花。」
「…。」

保田くんの番になると、何故か一回太股の辺りを蹴られた。

「ふぅっ。いい感じ!」

と保田くんが、言ってランドセルを玄関に置いてから、鍵を閉めた。

「俺、鍵っ子だから。」

少しだけ、表情が暗かったけど、すぐに戻って、綾子ちゃんの近くに行った。佐田くんは、歯医者らしく、お母さんが玄関で待ってて、怒られてた。

「優花、ありがとね。」

と綾子ちゃんが、言って保田くんとおうちに入って行った。

身体は、疲れていたけど、明日からミニウサギの飼育係!その事をママに行ったら、喜んでくれた。

「1ヶ月!ちゃんと頑張ってるのわかったら、猫か犬飼おうね!!」

そう約束して、朝早くに起きるの苦手だったけど、頑張って起きて、みんなより早くに教室入って、ミニウサギのお世話してた。

「可愛いねぇ。ルゥちゃん。いっぱい食べるんだよぉ。」

ミニウサギは、女の子で、名前は、ルゥ。投票で決まったんだ!!

本に書いてある通り、新鮮な葉っぱを毎朝おじいちゃん先生のとこで分けてもらってる。誰にも邪魔されない唯一の時間だもん…

「ルゥ?私ね、色々嫌なことたくさんされてるけど、ルゥ見てるとすごく癒されるよ。」

ゲージの隙間に指を入れるとルゥが近寄ってきて匂いを嗅ぐ…

「お前は、頭がいいねぇ。わかるのかな?」

他の子が、指を入れても近寄らない。

でも、そんな時間も…

誰かが教室に入ってくると終わる…


ガラッ…

「あっ、優花ちゃんだ。」

「美咲ちゃん?」

久し振りに顔を見た。

「うん…。」

美咲ちゃんは、心臓の具合が悪くて、あまり投稿して来ない。美咲ちゃんは、4年の時に綾子ちゃんに苛められて、投稿拒否になったことがあるから、私が、苛められても何も言えない。気持ちは、わかるもん…

「ウサギ?」

と美咲ちゃんが近くにくる。

「うん。女の子…。」
「可愛いね。優花ちゃん、やってるの?」
「なんか、そうなっちゃったの。」
「…そっか。そうだよね。あの子達いるから…」

ふたりで、ルゥを見ながらなんとなく同じ事を思ってるのが、わかる。似た者同士…

「また、離れてるけど…」
「うん…」

美咲ちゃんが知ってるのは、教室の中のいじめ。他での事は知らないし、言ってない。心臓止まっちゃうよ…


次々と教室に生徒が入ってきて…

「おい、犬。どけ!」

で佐田くん達が近寄ってくる。

「出せ。」
「…。」

動物をゲージから出すのは、禁止されてるのに…

「出来…な…」

全部言う前に、佐田くんが勝手にルゥをゲージから無理矢理出し、綾子ちゃんの膝の上に乗せた。

「意外と小さいし、軽いんだ。ねぇ、優花?これ、どうやって持つの?」

一応、教えてはあげたけど、ルゥが、綾子ちゃんの膝から逃走して、逃げまくった。

先生が、くるギリギリになってなんとかゲージにいれたけど…

「おい、優花。お前、パンツ見えてたぞ。」
「優花のパンツ、白パンツ!!」
「犬、誘ってんなら、ヤッてやるぞ!」
「ヤッちゃえ、ヤッちゃえ!」
「佐田くん達、静かになさいっ!」

と先生に怒られ静かになる。

その反動が…


グフッ…

「ほら、犬だったら鳴けよ。」

ドンッ…

「ふっ、無様ねぇ。」

佐田くんや林くん達に殴られても、蹴られても我慢した。

「ったく、あの糞ババァ…。自分、何様だと思ってんだ。」
「ほんと、ムカつく!!」

ギュッ…

綾子ちゃん達は、蹴るとかはしないから、つねるだけでも、痛い…

だから、5時間目になると、椅子に座るのも苦痛になるし、体育になったら、悲惨な目に合う。

最近は、土日にも綾子ちゃんに「写真…」の一言でちょっとだけ呼び出されては、色々とやらされている。


この日は、珍しく朝から雨が降っていてムシムシしていた…

いつものように、おじいちゃん先生のとこで新鮮な葉っぱを貰って、一緒に学校にきた。おじいちゃん先生は、学校近くの娘さんちに用があるらしい。

「じゃぁ、気を付けるんだよ?ルゥに宜しくな!」

おじいちゃん先生、二人目のお孫さんが男の子だったらしく、垂れた目尻を更に下げさせて、歩いていった。

教室に入ると…

「嘘!!なんで…」

ゲージが、開いててルゥが横たわる倒れてた…


ガラッ…

「げっ、優花!まーた、お前かよ!」

林くんが、教室に入ってきた。

「…。」

林くんが、ゲージの中に倒れてるルゥと私を交互に見る。

「違う…私じゃない。違う…」

次から次へと、人が入ってきて、私と林くん、倒れてるルゥの周りに集まる…

「お前か?」
「優花、とうとうルゥ殺したのか!」
「酷い…」
「あんなに皆で可愛がってたのに!」
「最低だな。」

皆の声が遠くに聞こえてくる…


「違う!私じゃない!私、殺してない!!」

気が付いたら、保健室…

「どう?目が覚めた?」
「はい。」
「でも、驚いたわよ。職員室に入ったら、優花ちゃんのクラスの一番大きな子が…」

養護の先生に、ジュース貰って、少し飲んだ。冷たかった。

「保田くん?」
「その子が、いきなり優花が死んだ!って…」
「…。」
「先生や他の子に聞かされたんだけど…」
「私じゃない!」
「そうね。優花ちゃん、いっちばん可愛がってたもんね。行けそう?ついてこうか?」
「大丈夫。一人で行ける。」

ほんとは、怖かった。ついてきて欲しかった。

私が、保健室を出ようとしたら、美咲ちゃんが真っ青な顔で綾子ちゃんに連れられて保健室に来て、先生に引き渡した。

ふたり無言のまま、教室に入ると…

「ウサギ殺し…」
「よく、そんな顔でこられるな…」
「お前が、死ねばいいのに…」

席についても、見られてる感じ、言われてるように聞こえて、授業も集中出来なかった。


「おい、優花!」
「ちょっと、退きなさいよ!」

顔をあげたら、綾子ちゃん達がいて…

「な、に?」
「何じゃねーよ。給食だって!!ほら!」

ガシャンッ…

乱暴に給食トレイが、置かれて…トマトスープが溢れた。

「なに?文句あるの?ウサギ殺しの分際で…」
「ありがたく思え。折角持ってきてやったのに!!」
「ありが…とう。」

珍しく何も振りかかってない。

トマトスープを飲んだら、ちょっと酸っぱく感じた。いつもより、匂いも変わってたし…

「優花、コールスロー好き?」

と綾子ちゃんが言って、勝手にいれてきた。

「綾子ちゃん、手、絆創膏…怪我?」
「なんでもないっ!!ほら、これもやる!!」

怒りながら、デザートのプリンもくれた。周りの子は、なんか笑ってた。

お昼休みは、珍しく何も起きなかったというか、気持ち悪くてトレイから出れず、保健室に寄って、吐き気止めを貰った。

家に帰ってからも、妙に気持ち悪くて、ママに病院に連れてって貰って、翌日は、学校を休んだ。

もし、あのとき私が学校行ってたら、あんな悲劇が起こらなかったのかも知れない…
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