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私にまつわる日常的な困難について
父の手紙と異界の王
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校長室へ呼び出しをうけてから20日程のち。父から一通の手紙を受け取った。
そこに書かれていたのは、収穫祭の休暇の際にはマルセル邸だけでなく、エリーゼの家…つまりコーデリア宰相邸にも挨拶に行くように、という短い文だった。
なんとなく嫌な予感がしたものの、学期はじめから収穫祭までは2ヶ月ほどもあり、生徒会長としての仕事と学業に専念するうち、すっかりそんな気持ちも薄れてしまっていたのだ。
さて、秋の終わり、収穫祭の休暇が始まると、生徒たちはみな迎えの馬車や、あるいは魔力をこめた道具をつかって実家だの領地にあるマナーハウスだのにかえって行く。帰らないのは留学生や、王都から離れた場所に家のある平民だけだろう。
収穫祭の休暇は星祭り明け、新年の少し前までひとつきほど続く。そのため、休暇中も学業が滞らないよう、それぞれの学科から課題がでていた。
「二年になるとこんなに出るもんなのかよ、これは無理だ、俺は実家には帰れねえ」
ロビンのように、教員の手をかりて課題をこなすために学校にのこるものも少しは、いるのだが。
「私も残って、生徒会の仕事をしたいところだけれどね…」
今年は戻ってくるよう父に釘をさされている。正直、エリーゼと会うのが苦痛なのだが、許されそうにもなかった。
頭が痛くなりそうで、こめかみをもんでいるとロビンが、そういえば、と呟いた。
「会長は社交だのパーティだのに出ないからまだ聞いてないかもしれないな」
と言いながら、教会発行と書かれた一通の文書を取り出した。
「噴水から現れた男性を『訪い人』と認定?」
『訪い人』という言葉は、皇太子とエリーゼが話していたから聞いたことがあるが、意味がわからずに書面を睨むようにして見ていた。
ロビンはちょっと眉根をよせ、教会はなにを考えてるんだと思う?と尋ねた。
「前の『訪い人』は今の女王の父君…亡くなったセブロウ?王だろ」
とロビンが言う。
「サブロウ王ね、教科書にそんな記述があったかな?そもそも『訪い人』というのがわからないのだが」
私の言葉に、ロビンがええ、と目を見開き、それからああ、教科書には無いだろうな、と言いづらそうに首もとをゆるめた。
「少なくとも皇太子の代から、お前の弟妹が卒業するまで記述されねえよ、役人も命は惜しいだろうからな」
ぎょっとした。そしてロビンの腕を掴むと、慌てて生徒会室までかけ戻る。ロビンはだまってそれについてきた。
「ロビン、それは、つまり『訪い人』というのが王家に関わる…」
「まあそうだな、別に禁忌とかじゃねえけど、あんたや皇太子に面と向かってその話をするのは、ヤバいと皆思ってるってことだ」
エリーゼは堂々とその話をしていたけれども?!
「会長が『訪い人』って言葉を知らなかったのは意外だけど」
とロビンは言いながら、簡単に説明をつけてくれた。
つまり、単純に我々の住むこの世界の外からきた者という意味だけでなく、「次の王となるべき者」として教会が支持するということらしい。
サブロウ王以前には無かったようだが、確かにサブロウ王は教会を後ろ楯に王になった人物だと教科書にもあった。
ごくッ、と喉がなった。皇太子はエリーゼに『訪い人』なのか、と聞いていた…あれがどのような意味があったのかわかったいまになって、ぞっとした。
「しっかし、教会は何考えてるんだろうなあ?」
ぼそぼそと言って、ロビンはまた首を傾げていた。
確かに、教会が擁立する王が、皇太子ではない、というのはこの国の根幹に関わる、かなりまずい事態だ。下手をすれば祖父母の代の争いがまた起きてしまう。
私は窓の外で行き交う生徒たちを見下ろして、大きくひとつ、ため息をついた。
そこに書かれていたのは、収穫祭の休暇の際にはマルセル邸だけでなく、エリーゼの家…つまりコーデリア宰相邸にも挨拶に行くように、という短い文だった。
なんとなく嫌な予感がしたものの、学期はじめから収穫祭までは2ヶ月ほどもあり、生徒会長としての仕事と学業に専念するうち、すっかりそんな気持ちも薄れてしまっていたのだ。
さて、秋の終わり、収穫祭の休暇が始まると、生徒たちはみな迎えの馬車や、あるいは魔力をこめた道具をつかって実家だの領地にあるマナーハウスだのにかえって行く。帰らないのは留学生や、王都から離れた場所に家のある平民だけだろう。
収穫祭の休暇は星祭り明け、新年の少し前までひとつきほど続く。そのため、休暇中も学業が滞らないよう、それぞれの学科から課題がでていた。
「二年になるとこんなに出るもんなのかよ、これは無理だ、俺は実家には帰れねえ」
ロビンのように、教員の手をかりて課題をこなすために学校にのこるものも少しは、いるのだが。
「私も残って、生徒会の仕事をしたいところだけれどね…」
今年は戻ってくるよう父に釘をさされている。正直、エリーゼと会うのが苦痛なのだが、許されそうにもなかった。
頭が痛くなりそうで、こめかみをもんでいるとロビンが、そういえば、と呟いた。
「会長は社交だのパーティだのに出ないからまだ聞いてないかもしれないな」
と言いながら、教会発行と書かれた一通の文書を取り出した。
「噴水から現れた男性を『訪い人』と認定?」
『訪い人』という言葉は、皇太子とエリーゼが話していたから聞いたことがあるが、意味がわからずに書面を睨むようにして見ていた。
ロビンはちょっと眉根をよせ、教会はなにを考えてるんだと思う?と尋ねた。
「前の『訪い人』は今の女王の父君…亡くなったセブロウ?王だろ」
とロビンが言う。
「サブロウ王ね、教科書にそんな記述があったかな?そもそも『訪い人』というのがわからないのだが」
私の言葉に、ロビンがええ、と目を見開き、それからああ、教科書には無いだろうな、と言いづらそうに首もとをゆるめた。
「少なくとも皇太子の代から、お前の弟妹が卒業するまで記述されねえよ、役人も命は惜しいだろうからな」
ぎょっとした。そしてロビンの腕を掴むと、慌てて生徒会室までかけ戻る。ロビンはだまってそれについてきた。
「ロビン、それは、つまり『訪い人』というのが王家に関わる…」
「まあそうだな、別に禁忌とかじゃねえけど、あんたや皇太子に面と向かってその話をするのは、ヤバいと皆思ってるってことだ」
エリーゼは堂々とその話をしていたけれども?!
「会長が『訪い人』って言葉を知らなかったのは意外だけど」
とロビンは言いながら、簡単に説明をつけてくれた。
つまり、単純に我々の住むこの世界の外からきた者という意味だけでなく、「次の王となるべき者」として教会が支持するということらしい。
サブロウ王以前には無かったようだが、確かにサブロウ王は教会を後ろ楯に王になった人物だと教科書にもあった。
ごくッ、と喉がなった。皇太子はエリーゼに『訪い人』なのか、と聞いていた…あれがどのような意味があったのかわかったいまになって、ぞっとした。
「しっかし、教会は何考えてるんだろうなあ?」
ぼそぼそと言って、ロビンはまた首を傾げていた。
確かに、教会が擁立する王が、皇太子ではない、というのはこの国の根幹に関わる、かなりまずい事態だ。下手をすれば祖父母の代の争いがまた起きてしまう。
私は窓の外で行き交う生徒たちを見下ろして、大きくひとつ、ため息をついた。
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