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婚約者による強制的ななにかについて
主席と生徒会書記
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考査が終わり、生徒会室におちつきが戻るはずの朝。
「フィオナ君、きみ、辞めたんじゃなかったの?」
声をかけたのは、生徒会室の角につんである書類を頻りに移動しているひとりの女生徒だ。彼女は怪訝そうにこちらを見て、
「あんなのはただの嚇し文句でしょう?」
としれっと言ってのけた。ロビンがそれを聞きとがめて、
「おい、会長は君が辞めるというから新入生を入れてくれるよう校長に談判したんだぞ」
と低い声をだした。
フィオナは眉をしかめて、
「わたくしとクローディアス様の仲ですもの、喧嘩くらいいたしますわよ、ね?クローディアス様?」
と尋ねた。確かにフィオナは私が会長になる前から 書記として、私を支えてくれてはいる。
つまりこれは、先日のセクハラ発言は水に流してやるしてやるという、温情なのだろうか?しかし、誤解をまねくような言い方は困る。もしエリーゼの耳に入ったら…
「クローディアス様!私、お礼に参りましたの!」
一番きて欲しくないタイミングで、一番誤解されては困る人物が勢いよくやってきた。エリーゼはなにかこう、そういう星巡りの元に産まれているのかな?
「どなたですか!ここは生徒会室ですよ!入室の礼もなく扉を開くなどと!」
フィオナがヒステリックにさけんだ。
「すまない、彼女はコーデリア宰相の令嬢、エリーゼというんだよ。私の婚約者だ」
しん、と静かになった。耳が痛くなるほどの静けさだ。ごくり、と生徒会役員の誰かが生唾を飲む音が聞こえるほどの。
「婚約?」
フィオナが聞き返した。私にではなく、何故かエリーゼに。
「はい、ですが、クローディアス様には他に大切なかたが現れますので、わたくしはかりそめの婚約者であり、かりそめの妻になる予定です!」
元気よく何を言っているのか…
「何を言っているのかわからないわ」
偶然だね、私も同じことを言おうと思っていたよ…などとフィオナの声に返す余裕はない。
こんな公衆の面前で、例の国王だの、運命の男だのを出されては社会的どころか、本当に死ぬことになる。
私はややひきつった笑いをうかべて、
「エリーゼ?何か、用事だったのではないかな?」
と尋ねた。
「ええ、先輩がたが教えてくださったお陰で、わたくしは学年主席になれました!」
どうやら質問は間違っていなかったようだ。伯爵令嬢らしい美しいお辞儀と、嬉しそうな笑顔に私まで嬉しくなってしまう。
「そうか、それは君の努力の賜物だね。おめでとうエリーゼ」
嬉しい、そう。なにがって、エリーゼが主席なら、生徒会に入るのはエリーゼということにしても、誰にも文句は言われずに済むじゃないか。エリーゼは優秀だし、言動に奇妙なところはあっても書記としては全く問題ない…よかった。
「ええ、わたくしとユーリ、二人の名前が主席の欄に並んでいたのを見たときは、感動的でしたわ!」
………何が起きたのかな?
「ふしだらですわよ!男性と名前を列ねて喜ぶだなんて!」
フィオナに詰られて、エリーゼは私の顔を不安げに見上げた。
「私は構わないよ」
エリーゼが他の男と名前を連ねて喜ぶのは正直嬉しくはない。けど、そもそも並べて書いたのは学校だし、狭量な男と思われたくはない。何気ない風を装えた自信はないけれど、なんとか体面を保ちたい。
声は震えたかもしれないが。
「そう、そうですよね、クローディアス様とユーリが友情を越えて結ばれるのはわたくしが処刑された後ですもの。それまでは別ちがたい宿命の相手…わたくし、失念しておりましたわ」
ごめんなさい、クローディアス様。とエリーゼはもう一度深々と頭をさげた。
言ってしまったね、エリーゼ…。ロビンがやれやれと首をふり、フィオナは目を剥いて私を見ている。
しかも、エリーゼの言葉はそれでおわりではなかった。
「そうでしたわ、わたくしとユーリに、校長先生が生徒会の手伝いをするように、とおっしゃっていたのです。それでここへ来たのですわ」
フィオナがものすごい素早さで生徒会室の扉の方を向き、それを私とロビンが肩に手をおいて捕まえる。
「フィオナ、君が戻ってきてくれて嬉しいよ」
私が言うと、呼応するように
「書記、君に書記補佐を二人つけるから、今までより仕事が楽になるぜ。よかったな」
とロビンが乾いた笑い声をあげた。
「辞めます!辞めてやりますわよ!」
フィオナは叫ぶけれど、
「そんな嚇し文句、二度はつかわせないぜ?書記と俺達生徒会の仲じゃないか」
とロビンがもう一度フィオナの肩を叩いた。
「フィオナ君、きみ、辞めたんじゃなかったの?」
声をかけたのは、生徒会室の角につんである書類を頻りに移動しているひとりの女生徒だ。彼女は怪訝そうにこちらを見て、
「あんなのはただの嚇し文句でしょう?」
としれっと言ってのけた。ロビンがそれを聞きとがめて、
「おい、会長は君が辞めるというから新入生を入れてくれるよう校長に談判したんだぞ」
と低い声をだした。
フィオナは眉をしかめて、
「わたくしとクローディアス様の仲ですもの、喧嘩くらいいたしますわよ、ね?クローディアス様?」
と尋ねた。確かにフィオナは私が会長になる前から 書記として、私を支えてくれてはいる。
つまりこれは、先日のセクハラ発言は水に流してやるしてやるという、温情なのだろうか?しかし、誤解をまねくような言い方は困る。もしエリーゼの耳に入ったら…
「クローディアス様!私、お礼に参りましたの!」
一番きて欲しくないタイミングで、一番誤解されては困る人物が勢いよくやってきた。エリーゼはなにかこう、そういう星巡りの元に産まれているのかな?
「どなたですか!ここは生徒会室ですよ!入室の礼もなく扉を開くなどと!」
フィオナがヒステリックにさけんだ。
「すまない、彼女はコーデリア宰相の令嬢、エリーゼというんだよ。私の婚約者だ」
しん、と静かになった。耳が痛くなるほどの静けさだ。ごくり、と生徒会役員の誰かが生唾を飲む音が聞こえるほどの。
「婚約?」
フィオナが聞き返した。私にではなく、何故かエリーゼに。
「はい、ですが、クローディアス様には他に大切なかたが現れますので、わたくしはかりそめの婚約者であり、かりそめの妻になる予定です!」
元気よく何を言っているのか…
「何を言っているのかわからないわ」
偶然だね、私も同じことを言おうと思っていたよ…などとフィオナの声に返す余裕はない。
こんな公衆の面前で、例の国王だの、運命の男だのを出されては社会的どころか、本当に死ぬことになる。
私はややひきつった笑いをうかべて、
「エリーゼ?何か、用事だったのではないかな?」
と尋ねた。
「ええ、先輩がたが教えてくださったお陰で、わたくしは学年主席になれました!」
どうやら質問は間違っていなかったようだ。伯爵令嬢らしい美しいお辞儀と、嬉しそうな笑顔に私まで嬉しくなってしまう。
「そうか、それは君の努力の賜物だね。おめでとうエリーゼ」
嬉しい、そう。なにがって、エリーゼが主席なら、生徒会に入るのはエリーゼということにしても、誰にも文句は言われずに済むじゃないか。エリーゼは優秀だし、言動に奇妙なところはあっても書記としては全く問題ない…よかった。
「ええ、わたくしとユーリ、二人の名前が主席の欄に並んでいたのを見たときは、感動的でしたわ!」
………何が起きたのかな?
「ふしだらですわよ!男性と名前を列ねて喜ぶだなんて!」
フィオナに詰られて、エリーゼは私の顔を不安げに見上げた。
「私は構わないよ」
エリーゼが他の男と名前を連ねて喜ぶのは正直嬉しくはない。けど、そもそも並べて書いたのは学校だし、狭量な男と思われたくはない。何気ない風を装えた自信はないけれど、なんとか体面を保ちたい。
声は震えたかもしれないが。
「そう、そうですよね、クローディアス様とユーリが友情を越えて結ばれるのはわたくしが処刑された後ですもの。それまでは別ちがたい宿命の相手…わたくし、失念しておりましたわ」
ごめんなさい、クローディアス様。とエリーゼはもう一度深々と頭をさげた。
言ってしまったね、エリーゼ…。ロビンがやれやれと首をふり、フィオナは目を剥いて私を見ている。
しかも、エリーゼの言葉はそれでおわりではなかった。
「そうでしたわ、わたくしとユーリに、校長先生が生徒会の手伝いをするように、とおっしゃっていたのです。それでここへ来たのですわ」
フィオナがものすごい素早さで生徒会室の扉の方を向き、それを私とロビンが肩に手をおいて捕まえる。
「フィオナ、君が戻ってきてくれて嬉しいよ」
私が言うと、呼応するように
「書記、君に書記補佐を二人つけるから、今までより仕事が楽になるぜ。よかったな」
とロビンが乾いた笑い声をあげた。
「辞めます!辞めてやりますわよ!」
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とロビンがもう一度フィオナの肩を叩いた。
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