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やんごとなき依頼者
新年と生徒会役員の憂鬱
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試験が終われば、新年へむけての夜会の準備がやってくる。
「例年、数人の厳重注意者がでるのですわ。特にロビン?あなたは今年も…」
とフィオナは教員から預かったリストを捲り、唐突に動きをとめた。それから慌てたようにそれを閉じようとしたが、脇にいたユーリが覗き込むのが早かった。
「へえ!クローディアス会長も載ってるんですね…意外だな、クーデターでも起こしたんですか?」
きらっ、とその目が一瞬鋭く光ったようにみえたのは、気のせいだと思いたい。
「あら、クローディアスさまがそんな、体制におもねるような人物にみえて?かの建国王、ガルシアスの血をひく由緒あるマルセル王室の嫡男であり…フムッ?」
フィオナがエリーゼの口のなかに、クッキーを突っ込んでくれなかったら、私はかなり危なかった。背中をいやな汗が流れた。
「耳の近くで大声をださないでくださいまし!」
エリーゼとフィオナはどうやらだいぶ仲良くなったようだ。モゴモゴとクッキーを食べるエリーゼに、かいがいしくお茶をついでくれている。喉に詰めたら大変だからね。
「クーデターなんて恐ろしいこと、考えたこともないよ。私はただ諸先輩方から受け継いだ当校の伝統と格式を、任期中無事に守って次へつなげるだけ」
そうですかー、とユーリは言うが、なんとなく信じてくれていなさそうなのは、おそらく教会から私を信頼できない輩と説明でもうけているのだろう。
そもそも、なんで学校はユーリを生徒会へ入れたのかがわからない。単に王室と問題を起こしそうな者は一纏めにしておこう、というような単純な発想ではないと信じたい。
エリーゼとは、二人きりで一度ちゃんと話しておかなければいまに首がとぶ気がしているのだけれど、この学園ではなかなか男女が人目のないところで二人きりになれる機会は少ない。なにか、いい考えがないかロビンに今度尋ねてみるか…
「会長、予算については問題ないよな?」
ロビンに言われて頷いた。
「それで問題ない。全て決済して、各委員、通知してくれるかい?」
フィオナと各委員長達がうなづくのを確認して、解散を言い渡した。
「思ったより忙しいわね」
エリーゼが呟くのに
「手伝えることがあったら言って?僕はまだ余裕あるから」
とユーリが答えているのが聞こえてきた。この二人もそこそこ仲が良くなっているようだ。自然と眉をしかめてしまう。イライラと机を指先で打っていると、ロビンがその手を軽く叩いた。
「会長、ユーリを睨むのはやめろ。見た役員が誤解するぞ」
ぎょっとして周りを見回すが、もう各委員会長は退室したあとだった。ほ、と息をついていると、
「しかし、お前があれをOKするとは思わなかったよ」
とロビンに言われて首をかしげた。なにか変わった議題があっただろうか?
「大迷路だなんて、前代未聞だろ?事務局から許可がでるか?交渉はユーリがするとはいえ、お前も行ってやったほうがよくないか?」
ロビンの言葉に、先程の会議を思い出してみる。最後の方はエリーゼのことに気をとられて、適当に相槌をうってしまったかもしれない。
内心では冷や汗をかきながら、しかしそれと知れないようにロビンにわらいかけた。
「そうだね。まあ、ユーリ・ヤスハラ君の交渉力を見せてもらうよ。彼はとても優秀らしいからね…フィオナ、今日の会議の内容を見直したいんだけれど、あとで資料を私のところにももらえるかな?」
フィオナが頷くのを確認して、私は席をたった。
教室へ戻るまえに、エリーゼと話がしたかったけれど、エリーゼはユーリと話しながら1年の教室へ帰るらしい。別学年の私は割り込む気にもなれず、踵をかえした。
「例年、数人の厳重注意者がでるのですわ。特にロビン?あなたは今年も…」
とフィオナは教員から預かったリストを捲り、唐突に動きをとめた。それから慌てたようにそれを閉じようとしたが、脇にいたユーリが覗き込むのが早かった。
「へえ!クローディアス会長も載ってるんですね…意外だな、クーデターでも起こしたんですか?」
きらっ、とその目が一瞬鋭く光ったようにみえたのは、気のせいだと思いたい。
「あら、クローディアスさまがそんな、体制におもねるような人物にみえて?かの建国王、ガルシアスの血をひく由緒あるマルセル王室の嫡男であり…フムッ?」
フィオナがエリーゼの口のなかに、クッキーを突っ込んでくれなかったら、私はかなり危なかった。背中をいやな汗が流れた。
「耳の近くで大声をださないでくださいまし!」
エリーゼとフィオナはどうやらだいぶ仲良くなったようだ。モゴモゴとクッキーを食べるエリーゼに、かいがいしくお茶をついでくれている。喉に詰めたら大変だからね。
「クーデターなんて恐ろしいこと、考えたこともないよ。私はただ諸先輩方から受け継いだ当校の伝統と格式を、任期中無事に守って次へつなげるだけ」
そうですかー、とユーリは言うが、なんとなく信じてくれていなさそうなのは、おそらく教会から私を信頼できない輩と説明でもうけているのだろう。
そもそも、なんで学校はユーリを生徒会へ入れたのかがわからない。単に王室と問題を起こしそうな者は一纏めにしておこう、というような単純な発想ではないと信じたい。
エリーゼとは、二人きりで一度ちゃんと話しておかなければいまに首がとぶ気がしているのだけれど、この学園ではなかなか男女が人目のないところで二人きりになれる機会は少ない。なにか、いい考えがないかロビンに今度尋ねてみるか…
「会長、予算については問題ないよな?」
ロビンに言われて頷いた。
「それで問題ない。全て決済して、各委員、通知してくれるかい?」
フィオナと各委員長達がうなづくのを確認して、解散を言い渡した。
「思ったより忙しいわね」
エリーゼが呟くのに
「手伝えることがあったら言って?僕はまだ余裕あるから」
とユーリが答えているのが聞こえてきた。この二人もそこそこ仲が良くなっているようだ。自然と眉をしかめてしまう。イライラと机を指先で打っていると、ロビンがその手を軽く叩いた。
「会長、ユーリを睨むのはやめろ。見た役員が誤解するぞ」
ぎょっとして周りを見回すが、もう各委員会長は退室したあとだった。ほ、と息をついていると、
「しかし、お前があれをOKするとは思わなかったよ」
とロビンに言われて首をかしげた。なにか変わった議題があっただろうか?
「大迷路だなんて、前代未聞だろ?事務局から許可がでるか?交渉はユーリがするとはいえ、お前も行ってやったほうがよくないか?」
ロビンの言葉に、先程の会議を思い出してみる。最後の方はエリーゼのことに気をとられて、適当に相槌をうってしまったかもしれない。
内心では冷や汗をかきながら、しかしそれと知れないようにロビンにわらいかけた。
「そうだね。まあ、ユーリ・ヤスハラ君の交渉力を見せてもらうよ。彼はとても優秀らしいからね…フィオナ、今日の会議の内容を見直したいんだけれど、あとで資料を私のところにももらえるかな?」
フィオナが頷くのを確認して、私は席をたった。
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