婚約者の様子が(かなり)おかしい。

西藤島 みや

文字の大きさ
19 / 38
やんごとなき依頼者

新年と生徒会役員の憂鬱

しおりを挟む
試験が終われば、新年へむけての夜会の準備がやってくる。

「例年、数人の厳重注意者がでるのですわ。特にロビン?あなたは今年も…」
とフィオナは教員から預かったリストを捲り、唐突に動きをとめた。それから慌てたようにそれを閉じようとしたが、脇にいたユーリが覗き込むのが早かった。

「へえ!クローディアス会長も載ってるんですね…意外だな、クーデターでも起こしたんですか?」
きらっ、とその目が一瞬鋭く光ったようにみえたのは、気のせいだと思いたい。

「あら、クローディアスさまがそんな、体制におもねるような人物にみえて?かの建国王、ガルシアスの血をひく由緒あるマルセル王室の嫡男であり…フムッ?」
フィオナがエリーゼの口のなかに、クッキーを突っ込んでくれなかったら、私はかなり危なかった。背中をいやな汗が流れた。

「耳の近くで大声をださないでくださいまし!」
エリーゼとフィオナはどうやらだいぶ仲良くなったようだ。モゴモゴとクッキーを食べるエリーゼに、かいがいしくお茶をついでくれている。喉に詰めたら大変だからね。

「クーデターなんて恐ろしいこと、考えたこともないよ。私はただ諸先輩方から受け継いだ当校の伝統と格式を、任期中無事に守って次へつなげるだけ」
そうですかー、とユーリは言うが、なんとなく信じてくれていなさそうなのは、おそらく教会から私を信頼できない輩と説明でもうけているのだろう。



そもそも、なんで学校はユーリを生徒会へ入れたのかがわからない。単に王室と問題を起こしそうな者は一纏めにしておこう、というような単純な発想ではないと信じたい。

エリーゼとは、二人きりで一度ちゃんと話しておかなければいまに首がとぶ気がしているのだけれど、この学園ではなかなか男女が人目のないところで二人きりになれる機会は少ない。なにか、いい考えがないかロビンに今度尋ねてみるか…



「会長、予算については問題ないよな?」
ロビンに言われて頷いた。
「それで問題ない。全て決済して、各委員、通知してくれるかい?」
フィオナと各委員長達がうなづくのを確認して、解散を言い渡した。

「思ったより忙しいわね」
エリーゼが呟くのに
「手伝えることがあったら言って?僕はまだ余裕あるから」
とユーリが答えているのが聞こえてきた。この二人もそこそこ仲が良くなっているようだ。自然と眉をしかめてしまう。イライラと机を指先で打っていると、ロビンがその手を軽く叩いた。

「会長、ユーリを睨むのはやめろ。見た役員が誤解するぞ」
ぎょっとして周りを見回すが、もう各委員会長は退室したあとだった。ほ、と息をついていると、
「しかし、お前があれをOKするとは思わなかったよ」
とロビンに言われて首をかしげた。なにか変わった議題があっただろうか?

「大迷路だなんて、前代未聞だろ?事務局から許可がでるか?交渉はユーリがするとはいえ、お前も行ってやったほうがよくないか?」
ロビンの言葉に、先程の会議を思い出してみる。最後の方はエリーゼのことに気をとられて、適当に相槌をうってしまったかもしれない。

内心では冷や汗をかきながら、しかしそれと知れないようにロビンにわらいかけた。
「そうだね。まあ、ユーリ・ヤスハラ君の交渉力を見せてもらうよ。彼はとても優秀らしいからね…フィオナ、今日の会議の内容を見直したいんだけれど、あとで資料を私のところにももらえるかな?」
フィオナが頷くのを確認して、私は席をたった。

教室へ戻るまえに、エリーゼと話がしたかったけれど、エリーゼはユーリと話しながら1年の教室へ帰るらしい。別学年の私は割り込む気にもなれず、踵をかえした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...