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それは物語にもゲームにもない結末
王宮殿にて天命を待つ
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結局、無事我々は王宮殿へついた。とはいえ、私の髪は耳の下辺りでぶっつりと断ち切れていたし、ユーリの着ていた黒い見習い騎士の鎧は所々深く切りつけられたようになって、しかも色がぬけて灰色に変色していた。しかし、一番ひどかったのはロビンだ。
「すごいな、これは見事なアフロヘアだね」
ユーリに微笑まれて、ロビンはガックリと肩をおとした。ロビンの髪はどうやら焦げてしまったらしく、チリチリと縮れてまとまりなくひろがってしまったようなのだ。
「大丈夫、いちど短く刈り込めば元にもどるよ」
と、私はロビンの肩を叩いた。うう、とロビンは恨めしそうに私をみあげる。なぜ睨む。
私の髪だって灼き切れてしまったのに、と私は首をかしげた。
「しかたないよ、キャラクターの差だもん」
ユーリはさっきから何を言っているんだろう?我々の髪がどうかなったのは、ユーリの鏡のせいなのに、彼は全く意に介していないようだ。こういうところが彼が神殿向きな所以かもしれない。
あの狐狸妖怪が跋扈していそうな場所で、飄々としていられるだけの心臓があるのだ、この男は。
とにかく、皇太子のところへ結果の報告に行こうと私たちは回廊をあるきだす。まあ、例によって所々にいる衛兵に道を尋ねながらだけれど。
やがて見覚えのある、豪奢なとびらに近づいた頃、例によって向こうからやってきた兵士に誰何された。
「クローディアス・マルセル セレートニア子爵領主が参じました。皇太子殿下にお取り次ぎ願えますよう」
膝をつき、頭をさげる。しかし、何もいわずに兵士はそのまま奥へと去っていった。取り次げないということか、あるいはなにか不測の事態がおきたのか。
とにかく、この王宮殿で謁見を申し出た以上、ただ頭を下げたこの姿勢で待ち続けるほかはない。とはいえきついな、とおもいながら私は膝をついた宮殿の床の、石畳の目の数をかぞえていた。
やがて足音がいくつもひびきあいながら、再び近づいてきた。
「マルセル子爵、顔をあげよ」
その声は、ヴィルヘルム皇太子のものではなく、私の伯母……この国の、女王のものだった。
「クローディアス。久しく顔をみないうちにしっかりした顔つきになったな」
私はいま、どんな表情をしているだろうか?あまり間抜けでないといいのだけれど。
「伯母に挨拶はしてくれないのか?」
そう言われて、ハッと我にかえった。
「じ、女王陛下、お目通り叶いまして恐悦の限りでございます」
かたくるしいな、と女王はつぶやき、私の方に手をさしのべた。
「伯母に、と言ったのに。ところでお前たちにききたいことがあってな」
と、いいながら回廊のむこうに見える、王宮殿の庭を指さした。
「今日はヴィルヘルムには会えない。先客がいてな」
さししめす方向に、あの大きなコウモリのような羽根がみえた。
「……!」
私が何かいいかけたとき、後ろで同じように跪いていたユーリが私の背中をかるくたたいた。
「クローディアス、お前、皇太子に契約の鍵をとって来いと言われたというのは、本当か?」
はい、とこたえようとすると、再びユーリが背中をたたく。
「恐れながら、我々はたったいまお呼びにより学園から参じました。契約の鍵とはなんでしょう?」
ユーリが言い、あ、と口元を押さえた。尋ねられてもいないのに、つい女王にはなしかけてしまったといった仕草だ。わざとらしいが、女王はきづかなかったようだ。
「よい、ついぞみない色の騎士服だが、クローディアスの学友か?」
は、と私は頭をさげて
「先だって不敬にも王宮殿の噴水より現れました『訪いびと』でございます。ユーリ・ヤスハラと申します。私と同じ生徒会に在籍しております」
と、ユーリを紹介した。そうか、と女王はかるくうなづき、ついてくるよう私たちをてまねいた。
「あの我が儘者がとうとう、年貢の納め時のようだ。面白い見世物があるからついてくるように」
そう言われて、私たちに断れるわけはない。女王と護衛につづいて、私たち三人は無言のままゾロゾロと、王宮殿の廊下をあるきだしたのだった。
「すごいな、これは見事なアフロヘアだね」
ユーリに微笑まれて、ロビンはガックリと肩をおとした。ロビンの髪はどうやら焦げてしまったらしく、チリチリと縮れてまとまりなくひろがってしまったようなのだ。
「大丈夫、いちど短く刈り込めば元にもどるよ」
と、私はロビンの肩を叩いた。うう、とロビンは恨めしそうに私をみあげる。なぜ睨む。
私の髪だって灼き切れてしまったのに、と私は首をかしげた。
「しかたないよ、キャラクターの差だもん」
ユーリはさっきから何を言っているんだろう?我々の髪がどうかなったのは、ユーリの鏡のせいなのに、彼は全く意に介していないようだ。こういうところが彼が神殿向きな所以かもしれない。
あの狐狸妖怪が跋扈していそうな場所で、飄々としていられるだけの心臓があるのだ、この男は。
とにかく、皇太子のところへ結果の報告に行こうと私たちは回廊をあるきだす。まあ、例によって所々にいる衛兵に道を尋ねながらだけれど。
やがて見覚えのある、豪奢なとびらに近づいた頃、例によって向こうからやってきた兵士に誰何された。
「クローディアス・マルセル セレートニア子爵領主が参じました。皇太子殿下にお取り次ぎ願えますよう」
膝をつき、頭をさげる。しかし、何もいわずに兵士はそのまま奥へと去っていった。取り次げないということか、あるいはなにか不測の事態がおきたのか。
とにかく、この王宮殿で謁見を申し出た以上、ただ頭を下げたこの姿勢で待ち続けるほかはない。とはいえきついな、とおもいながら私は膝をついた宮殿の床の、石畳の目の数をかぞえていた。
やがて足音がいくつもひびきあいながら、再び近づいてきた。
「マルセル子爵、顔をあげよ」
その声は、ヴィルヘルム皇太子のものではなく、私の伯母……この国の、女王のものだった。
「クローディアス。久しく顔をみないうちにしっかりした顔つきになったな」
私はいま、どんな表情をしているだろうか?あまり間抜けでないといいのだけれど。
「伯母に挨拶はしてくれないのか?」
そう言われて、ハッと我にかえった。
「じ、女王陛下、お目通り叶いまして恐悦の限りでございます」
かたくるしいな、と女王はつぶやき、私の方に手をさしのべた。
「伯母に、と言ったのに。ところでお前たちにききたいことがあってな」
と、いいながら回廊のむこうに見える、王宮殿の庭を指さした。
「今日はヴィルヘルムには会えない。先客がいてな」
さししめす方向に、あの大きなコウモリのような羽根がみえた。
「……!」
私が何かいいかけたとき、後ろで同じように跪いていたユーリが私の背中をかるくたたいた。
「クローディアス、お前、皇太子に契約の鍵をとって来いと言われたというのは、本当か?」
はい、とこたえようとすると、再びユーリが背中をたたく。
「恐れながら、我々はたったいまお呼びにより学園から参じました。契約の鍵とはなんでしょう?」
ユーリが言い、あ、と口元を押さえた。尋ねられてもいないのに、つい女王にはなしかけてしまったといった仕草だ。わざとらしいが、女王はきづかなかったようだ。
「よい、ついぞみない色の騎士服だが、クローディアスの学友か?」
は、と私は頭をさげて
「先だって不敬にも王宮殿の噴水より現れました『訪いびと』でございます。ユーリ・ヤスハラと申します。私と同じ生徒会に在籍しております」
と、ユーリを紹介した。そうか、と女王はかるくうなづき、ついてくるよう私たちをてまねいた。
「あの我が儘者がとうとう、年貢の納め時のようだ。面白い見世物があるからついてくるように」
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