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それは物語にもゲームにもない結末
ヴィンセント皇太子と、龍騎士。
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雷が耳元に落ちたような、とんでもなく大きな音がした。いや、これは声だ。
「愚かにも我々の土地を汚し、得るものはなんだ」
ああ、そういえばあの龍騎士、先程も同じ質問をしていた。
皇太子にとって、戦争は完全に私的な理由……私やメイン公爵家を絶やしたり、ユーリにとって不都合が起きるのを狙っているのだから、侵略にも場所の指定にも意味はない。尋ねられれば、困るだろうな。
「違う!それは私ではない!」
必死に叫んでいるのは、その龍騎士の前に近衛隊の制服を着た護衛とともに立っているヴィンセント皇太子。あんなに怯えては綺麗な顔が台無しだが、さっき私もあんな風だったんだろうか?
「それは何度もいうが、侯爵家の息子とその一味だ!私ではない!」
ふう、と私の隣でユーリがため息をついた。私やロビンは成り行きをはらはらしながら見ているというのに、ユーリには随分余裕がある。まあ、最悪ここで龍が暴れたとしても、ユーリは死なないから…かな?
「ヴィンセント、連れてきてやったぞ」
女王はにたりと笑って私の背を押した。皇太子のそばにいた近衛兵が、私とロビン、ユーリを龍騎士の前に連れて行く。
「見覚えがあるだろう!」
皇太子は叫ぶ。
「皇太子を名乗り、戦争を起こそうとした重罪人だ!」
ああ、終わった。短い人生だった。と、目を閉じる、そのときだ。
「いや、此ではない。似てはいるが、かたちが違う。色も違う」
ええー、とロビンが間延びした声を出した。私はユーリを振り返ったけれど、にっこりとわらっただけで特になにも言わない。ユーリにはこうなることが分かっていたのか?
何故なのかは分からないが、龍騎士はすうっと首を回し、ヴィンセントをながめた。
「これが、言ったのだ。不遜にも、我々に契約の鍵を持ってこいと」
結構、女王は開いていた扇を閉じた。
「愚息がご無礼を申しましたことを、深くお詫び申し上げます」
母上、と皇太子は声を荒らげるが、女王ははなし続ける。
「近々廃位するつもりでおりましたが、まさかこのような真似をするとは。まことに痛謝の限りでございます。このように、伏してお詫び申し上げる次第でございます」
それは、とても美しい淑女の礼だった。けれど、一国の長である女王が、頭を下げる。それは、あってはならない事態だ。
「戦には、してくれるなということか」
ごく、とユーリのほうから咽を鳴らす音が聞こえた見れば、爛々と目が輝いている。この非常時に、この男はなににこんなに喜んでいるんだ?
ふむ、と龍騎士は少し考え。
「良かろう、では、不死の聖騎士を貰い受けよう」
ロビンが、嘘だろ、とつぶやくが、私はユーリがよしゃ、と笑うのを見てしまった。
「…………いたしかた、ありませんね」
女王は礼をとったまま、そううなづいた。
「ですが、今はまだ不死の聖騎士は、騎士見習いの身分。それが終わる五年のちまで、お待ち頂けますよう」
龍騎士は、雛か、とうなづき、ならばと羽を大きく広げた。
「契約は成った。違えればこの国は滅ぶ。よいな?」
竜巻のような突風がふき、とても目を開けていられない。あたまを押さえてしゃがみこんだ。
「愚かにも我々の土地を汚し、得るものはなんだ」
ああ、そういえばあの龍騎士、先程も同じ質問をしていた。
皇太子にとって、戦争は完全に私的な理由……私やメイン公爵家を絶やしたり、ユーリにとって不都合が起きるのを狙っているのだから、侵略にも場所の指定にも意味はない。尋ねられれば、困るだろうな。
「違う!それは私ではない!」
必死に叫んでいるのは、その龍騎士の前に近衛隊の制服を着た護衛とともに立っているヴィンセント皇太子。あんなに怯えては綺麗な顔が台無しだが、さっき私もあんな風だったんだろうか?
「それは何度もいうが、侯爵家の息子とその一味だ!私ではない!」
ふう、と私の隣でユーリがため息をついた。私やロビンは成り行きをはらはらしながら見ているというのに、ユーリには随分余裕がある。まあ、最悪ここで龍が暴れたとしても、ユーリは死なないから…かな?
「ヴィンセント、連れてきてやったぞ」
女王はにたりと笑って私の背を押した。皇太子のそばにいた近衛兵が、私とロビン、ユーリを龍騎士の前に連れて行く。
「見覚えがあるだろう!」
皇太子は叫ぶ。
「皇太子を名乗り、戦争を起こそうとした重罪人だ!」
ああ、終わった。短い人生だった。と、目を閉じる、そのときだ。
「いや、此ではない。似てはいるが、かたちが違う。色も違う」
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何故なのかは分からないが、龍騎士はすうっと首を回し、ヴィンセントをながめた。
「これが、言ったのだ。不遜にも、我々に契約の鍵を持ってこいと」
結構、女王は開いていた扇を閉じた。
「愚息がご無礼を申しましたことを、深くお詫び申し上げます」
母上、と皇太子は声を荒らげるが、女王ははなし続ける。
「近々廃位するつもりでおりましたが、まさかこのような真似をするとは。まことに痛謝の限りでございます。このように、伏してお詫び申し上げる次第でございます」
それは、とても美しい淑女の礼だった。けれど、一国の長である女王が、頭を下げる。それは、あってはならない事態だ。
「戦には、してくれるなということか」
ごく、とユーリのほうから咽を鳴らす音が聞こえた見れば、爛々と目が輝いている。この非常時に、この男はなににこんなに喜んでいるんだ?
ふむ、と龍騎士は少し考え。
「良かろう、では、不死の聖騎士を貰い受けよう」
ロビンが、嘘だろ、とつぶやくが、私はユーリがよしゃ、と笑うのを見てしまった。
「…………いたしかた、ありませんね」
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「ですが、今はまだ不死の聖騎士は、騎士見習いの身分。それが終わる五年のちまで、お待ち頂けますよう」
龍騎士は、雛か、とうなづき、ならばと羽を大きく広げた。
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