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精霊王と悪鬼
悪鬼の倒しかた
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お義兄様とマリアがカーラントベルク侯爵に頼んでくださったおかけで、学校帰りに私はキンバリー邸へ立ち寄ることになった。
「全く不思議なことですね、自分がいない場所のことを見ることができるなんて。妖精の力なのかしら?」
マリアは繊細な手つきでお茶を私に渡してくれながら言った。
「どうなんでしょう?あの鱗粉ていうのがあるからかと私は思うのだけど」
私は目の前にあったお菓子を小さく砕き、テーブルの端に置く。ミルラが寄ってくるのが見えたけれど、妖精が食べているところをじっと見てはいけない、とお母様が言っていたのでお義兄様のほうへ顔を向けた。
「ゴーウィンは結局、あのあとどうなったんです?」
私が尋ねると、お義兄様は軽く肩をすくめて
「むろん奴に相応しい場所へ送った」
と満足そうに笑う。
「父上には『ぬるい奴だ』と叱られたが、父上に任せると、騎士団の詰所に逆さに吊って血抜きしたうえでゴーウィンの両親に心臓を送りつけろとか言い出すからな」
お義兄様もやはり充分に残酷だとおもうけれど。ご両親としては息子が生きてるってだけでも光明かしら。
「第二皇子殿下が2週間後、アシュレイとマリアの二人を皇宮によぶと約束してくれた。期日は二週間後だ。俺たちが茶会を催すと言うより効果があるだろう」
え、とマリアが動きをとめた。
「ミュシャが悪鬼であると皇宮で話したのですか?」
ふむ、とお義兄様は頚をかしげる。さらりと黒髪が額に流れ落ちて、青い瞳がこちらを見た。
「第二皇子殿下は、ミュシャの正体についてはご存じではなかったが、ミュシャがただの女でないことは気づいていた。軟禁状態であるにもかかわらず、今もどこからか皇宮に現れ、第二皇子殿下の宮殿に出入りしているというから、普通の人間ではないだろうと、な。近衛兵に追われても、翌日にはなに喰わぬ顔で戻ってくるらしい」
なんですって?と、私は眉をしかめる。
「ルディ皇子がだめなら次の皇子ってことかしら?」
なにがなんでもミュシャは皇后になるつもりなの?
そうまでしてこの国になにをするつもり?なにか恨みでもあるっていうの?
私はミルラをみた。ミルラはちょっと躊躇するようにこちらへ飛んできて、私の前に立つ。懐からあの革袋をとりだした。
「《アシュレイ、ごめん》」
見るからにうなだれたミルラが、私の前に袋を差し出す。
「《俺、アシュレイをフィヨールトに連れてくるようバロウズにいわれてたから…ミュシャのやっつけかたを、黙ってた。ミュシャをやっつけると、俺はアシュレイとフィヨールトにはいけなくなるから…》」
まえにもミルラはそんなことをいっていた。『ミュシャを倒したら、俺はお別れだから』と。でも、フィヨールトに行けない?ではミルラはどこへ行くの?
「アシュレイ?」
ふいに黙り込んだ私に、妖精が見えないお義兄様とマリアがたずねる。
お義兄様に今のは言わない方がいいわね。
「あ、ええと。ミルラがミュシャの倒しかたについて話してくれるって」
ほう、とお義兄様は目を細めた。
「こちらでも文献などをあたったが、何の情報もなく困っていたところだ。お前とマリアを入れ換えたことは赦し難いが、一応きいてやろう」
もう少しやさしい話し方だといいのに…とにかく、とミルラに先を促す。
「《ミュシャはいま、俺の核を持ってる。見ただろ?小鳥の彫刻。あのなかに填まってるのは、俺の核そのものなんだよ…あれを持ってる間、ミュシャは誰も騙せないし、誰も洗脳できない》」
しんぞう、と私は声に出した。そんなものをミュシャが持っていて、まんがいち何かされたら、ミルラはどうなるの?
「《バロウズにだまって、フィヨールトから持ち出したんだ。ほかに核を外の世界へ持ち出したことがあるのは、バロウズの妹のローゼだったけど…バロウズが怒ってローゼをただの薔薇にしちゃった》」
そこまでを説明すると、お義兄様は眉を寄せた。
「つまりバロウズという奴は、それほどの魔力を持っているということか?」
ミュシャの次はバロウズだ、とでも思っていたのか、お義兄様は脇に持っていた宝剣に手をかけている。
「《バロウズができるのは近くにいる者をつかまえたり棘の鞭で打ったりすることくらいだよ。頭にかぶってるローゼの茨のおかげだけど。誰かを変身させちゃうのは、これのせいなんだ》」
私の掌のうえの革袋を指差す。
「《俺の本体…フィヨールトのミルラの木には、昔から他の緑の妖精にはない力がある。だからバロウズは俺の本体を鞭で打って、できた傷から染みだす結晶を粉にして、これを作ってる》」
私とマリアはあまりの残酷さに青ざめて手を握りあった。お義兄様は…正直、何を思ったのか、表情からではよくわからないわ。
「《外の世界では幻影を見せるくらいの効力しかないけど…フィヨールトでならどんな願いも叶う。たとえば、君を妖精の女王にすることだって…人の世界のことを忘れさせることだって》」
ミルラは悲しそうにそう言うと、そっと革の袋を渡してきた。
「《この中にある鱗粉をふりかけて、ミュシャに幻をみせるといいよ…その間に倒すんだ》」
そのことをお義兄さまに話すと、
「それほどの魔力を持つ特別な妖精なら、自分でミュシャを倒せそうだが?」
と眉の間にさらに深い皺をよせた。
「《悪鬼は普通の方法では倒せないから。俺の核を燃やした炎なら、あいつを焼き殺せるんだけど、俺には自分で自分に火を放つ勇気はねえし》」
そんな、とマリアはミルラがいる方向をみた。見えてはいないけれど、なんとなく気配はするのかしら?
「他に方法はないの?」
私がたずねると、ううん、とミルラは片手でもう片方の手を撫でた。
「《倒せはしねえけど、ミュシャが出入りしてる井戸さえ潰せば、しばらく出てこれない…200年とか、だけど》」
よかろう、とお義兄様が宝剣をみあげた。
「その間に剣を鍛錬し、返り討つ」
いやいやいや、200年も経ったらお義兄さまはとっくにご先祖様ってよばれるようになっているのでは。心のなかで呟くけれど、声には出さないでおく。
「では、ひとまずミュシャを皇宮へ誘い出して、ミルラさんからいただいた鱗粉で、井戸へむかわせてから封印する、ということでいいですね?」
マリアが言うとお義兄さまがうなづいた。
「お前たちは危険を感じたらすぐに逃げろ、皇宮の兵士と私たちで奴を追い込むから、けして無理をすることのないように」
ええ、と私たちはうなづいた。この間のアレと戦うなんて怖いものね。
「《そう簡単にいくといいけど……》」
ミルラの表情はさえなかった。
◇◇◇◇◇◇◇
「ともかく、二人とも来週には皇宮へ行くことになる。身なりを整えてゆくように」
ひとしきり相談したあと、お義兄様が言った言葉にマリアが青ざめた。私はすぐにそれに気づき、マリアに声をかける。
「新しいドレスを誂えるのには問題があるわね?」
部屋を出ようとしていたお義兄様が、足をとめて振り返った。
「……カーラントベルク侯爵家の財政は逼迫しているのか?…仮にも侯爵が?」
緑の精霊王の加護のある典医のカーラントベルク侯爵様だけれど、領地には研究施設がならんでいて収入にならないどころか研究費がかさみ、そのうえ炊き出しだの慈善事業だので財政はずいぶんと逼迫している。それはこの数ヶ月で私もよくよくわかった。
アーシー名義で得たお金を使おうかしら…アシュレイの姿なのがマリアである以上、マリアの手を借りなくてはならないけれど。なんとかしてジェレミーに会いにいかなくては…
「大丈夫で」
「いや、二人分買えばいいだろう。公爵家から出しても問題ないな?アシュレイ」
私の言葉を遮って、お義兄様が言った。私はうなづきながらも、あら、お義兄様にしては女性に気がまわるのね、と思う。マリアと暮らすうち、なにか心境に変化があったのかしら?
「姿がマリア嬢だとはいえ、アシュレイが恥をかく、という事態は避けねばならないからな」
……そこなのね。
どちらにせよ、明日はマリアと私で町へ出ることになった。お義兄様はドレスメイカーと宝石商を屋敷に呼ぶと主張したけれど、私にはジェレミーに会うという目的もあることだし、あきらめて頂いた。
「全く不思議なことですね、自分がいない場所のことを見ることができるなんて。妖精の力なのかしら?」
マリアは繊細な手つきでお茶を私に渡してくれながら言った。
「どうなんでしょう?あの鱗粉ていうのがあるからかと私は思うのだけど」
私は目の前にあったお菓子を小さく砕き、テーブルの端に置く。ミルラが寄ってくるのが見えたけれど、妖精が食べているところをじっと見てはいけない、とお母様が言っていたのでお義兄様のほうへ顔を向けた。
「ゴーウィンは結局、あのあとどうなったんです?」
私が尋ねると、お義兄様は軽く肩をすくめて
「むろん奴に相応しい場所へ送った」
と満足そうに笑う。
「父上には『ぬるい奴だ』と叱られたが、父上に任せると、騎士団の詰所に逆さに吊って血抜きしたうえでゴーウィンの両親に心臓を送りつけろとか言い出すからな」
お義兄様もやはり充分に残酷だとおもうけれど。ご両親としては息子が生きてるってだけでも光明かしら。
「第二皇子殿下が2週間後、アシュレイとマリアの二人を皇宮によぶと約束してくれた。期日は二週間後だ。俺たちが茶会を催すと言うより効果があるだろう」
え、とマリアが動きをとめた。
「ミュシャが悪鬼であると皇宮で話したのですか?」
ふむ、とお義兄様は頚をかしげる。さらりと黒髪が額に流れ落ちて、青い瞳がこちらを見た。
「第二皇子殿下は、ミュシャの正体についてはご存じではなかったが、ミュシャがただの女でないことは気づいていた。軟禁状態であるにもかかわらず、今もどこからか皇宮に現れ、第二皇子殿下の宮殿に出入りしているというから、普通の人間ではないだろうと、な。近衛兵に追われても、翌日にはなに喰わぬ顔で戻ってくるらしい」
なんですって?と、私は眉をしかめる。
「ルディ皇子がだめなら次の皇子ってことかしら?」
なにがなんでもミュシャは皇后になるつもりなの?
そうまでしてこの国になにをするつもり?なにか恨みでもあるっていうの?
私はミルラをみた。ミルラはちょっと躊躇するようにこちらへ飛んできて、私の前に立つ。懐からあの革袋をとりだした。
「《アシュレイ、ごめん》」
見るからにうなだれたミルラが、私の前に袋を差し出す。
「《俺、アシュレイをフィヨールトに連れてくるようバロウズにいわれてたから…ミュシャのやっつけかたを、黙ってた。ミュシャをやっつけると、俺はアシュレイとフィヨールトにはいけなくなるから…》」
まえにもミルラはそんなことをいっていた。『ミュシャを倒したら、俺はお別れだから』と。でも、フィヨールトに行けない?ではミルラはどこへ行くの?
「アシュレイ?」
ふいに黙り込んだ私に、妖精が見えないお義兄様とマリアがたずねる。
お義兄様に今のは言わない方がいいわね。
「あ、ええと。ミルラがミュシャの倒しかたについて話してくれるって」
ほう、とお義兄様は目を細めた。
「こちらでも文献などをあたったが、何の情報もなく困っていたところだ。お前とマリアを入れ換えたことは赦し難いが、一応きいてやろう」
もう少しやさしい話し方だといいのに…とにかく、とミルラに先を促す。
「《ミュシャはいま、俺の核を持ってる。見ただろ?小鳥の彫刻。あのなかに填まってるのは、俺の核そのものなんだよ…あれを持ってる間、ミュシャは誰も騙せないし、誰も洗脳できない》」
しんぞう、と私は声に出した。そんなものをミュシャが持っていて、まんがいち何かされたら、ミルラはどうなるの?
「《バロウズにだまって、フィヨールトから持ち出したんだ。ほかに核を外の世界へ持ち出したことがあるのは、バロウズの妹のローゼだったけど…バロウズが怒ってローゼをただの薔薇にしちゃった》」
そこまでを説明すると、お義兄様は眉を寄せた。
「つまりバロウズという奴は、それほどの魔力を持っているということか?」
ミュシャの次はバロウズだ、とでも思っていたのか、お義兄様は脇に持っていた宝剣に手をかけている。
「《バロウズができるのは近くにいる者をつかまえたり棘の鞭で打ったりすることくらいだよ。頭にかぶってるローゼの茨のおかげだけど。誰かを変身させちゃうのは、これのせいなんだ》」
私の掌のうえの革袋を指差す。
「《俺の本体…フィヨールトのミルラの木には、昔から他の緑の妖精にはない力がある。だからバロウズは俺の本体を鞭で打って、できた傷から染みだす結晶を粉にして、これを作ってる》」
私とマリアはあまりの残酷さに青ざめて手を握りあった。お義兄様は…正直、何を思ったのか、表情からではよくわからないわ。
「《外の世界では幻影を見せるくらいの効力しかないけど…フィヨールトでならどんな願いも叶う。たとえば、君を妖精の女王にすることだって…人の世界のことを忘れさせることだって》」
ミルラは悲しそうにそう言うと、そっと革の袋を渡してきた。
「《この中にある鱗粉をふりかけて、ミュシャに幻をみせるといいよ…その間に倒すんだ》」
そのことをお義兄さまに話すと、
「それほどの魔力を持つ特別な妖精なら、自分でミュシャを倒せそうだが?」
と眉の間にさらに深い皺をよせた。
「《悪鬼は普通の方法では倒せないから。俺の核を燃やした炎なら、あいつを焼き殺せるんだけど、俺には自分で自分に火を放つ勇気はねえし》」
そんな、とマリアはミルラがいる方向をみた。見えてはいないけれど、なんとなく気配はするのかしら?
「他に方法はないの?」
私がたずねると、ううん、とミルラは片手でもう片方の手を撫でた。
「《倒せはしねえけど、ミュシャが出入りしてる井戸さえ潰せば、しばらく出てこれない…200年とか、だけど》」
よかろう、とお義兄様が宝剣をみあげた。
「その間に剣を鍛錬し、返り討つ」
いやいやいや、200年も経ったらお義兄さまはとっくにご先祖様ってよばれるようになっているのでは。心のなかで呟くけれど、声には出さないでおく。
「では、ひとまずミュシャを皇宮へ誘い出して、ミルラさんからいただいた鱗粉で、井戸へむかわせてから封印する、ということでいいですね?」
マリアが言うとお義兄さまがうなづいた。
「お前たちは危険を感じたらすぐに逃げろ、皇宮の兵士と私たちで奴を追い込むから、けして無理をすることのないように」
ええ、と私たちはうなづいた。この間のアレと戦うなんて怖いものね。
「《そう簡単にいくといいけど……》」
ミルラの表情はさえなかった。
◇◇◇◇◇◇◇
「ともかく、二人とも来週には皇宮へ行くことになる。身なりを整えてゆくように」
ひとしきり相談したあと、お義兄様が言った言葉にマリアが青ざめた。私はすぐにそれに気づき、マリアに声をかける。
「新しいドレスを誂えるのには問題があるわね?」
部屋を出ようとしていたお義兄様が、足をとめて振り返った。
「……カーラントベルク侯爵家の財政は逼迫しているのか?…仮にも侯爵が?」
緑の精霊王の加護のある典医のカーラントベルク侯爵様だけれど、領地には研究施設がならんでいて収入にならないどころか研究費がかさみ、そのうえ炊き出しだの慈善事業だので財政はずいぶんと逼迫している。それはこの数ヶ月で私もよくよくわかった。
アーシー名義で得たお金を使おうかしら…アシュレイの姿なのがマリアである以上、マリアの手を借りなくてはならないけれど。なんとかしてジェレミーに会いにいかなくては…
「大丈夫で」
「いや、二人分買えばいいだろう。公爵家から出しても問題ないな?アシュレイ」
私の言葉を遮って、お義兄様が言った。私はうなづきながらも、あら、お義兄様にしては女性に気がまわるのね、と思う。マリアと暮らすうち、なにか心境に変化があったのかしら?
「姿がマリア嬢だとはいえ、アシュレイが恥をかく、という事態は避けねばならないからな」
……そこなのね。
どちらにせよ、明日はマリアと私で町へ出ることになった。お義兄様はドレスメイカーと宝石商を屋敷に呼ぶと主張したけれど、私にはジェレミーに会うという目的もあることだし、あきらめて頂いた。
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