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狙われた第2王子
パズルのピースを探して
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「国王陛下とその話でしたの?」
あえてはぐらかすと、ジークフリードは眉をしかめて君はやっぱり読めないな、と苦くわらった。
「そう、私は違うと主張したものの、証拠もなければ他にリディアに指示をだすような者もいない。君の意見が聞きたいと思っていた」
私それには答えず、先程近衛兵が案内してくれた部屋へ入り、辺りに誰もいないことを確かめてから、しっかりドアを閉めた。
その様子をみていたジークフリードに勧められるまま、並んでソファにすわった。
「ジークフリードさま、わたくしもウィリアム殿下ではないと思っております。ですが、真犯人を挙げるには証拠があまりに少ないのですわ」
私がジークフリードの手をとると、おもいがけなく
「きみならなにか見つけられていると思っていたよ」
という返事がかえってきた。私はうなづき、願いをきいていただけますか、と言った。
「頼まなければならないのはこちらの方だ。何でも協力する、兄を助けて欲しい」
私たちはしっかりと手を取り合い、協力しあうことを確認していた……突如扉が開くまでは。
「これは!とんだ邪魔をしてしまったかな」
現れたのはウィンスレッド大伯父さまだ。慌てすぎて私の手が傷にあたったのか、ジークフリードが小さく息をのむのがきこえて、ごめんなさいと再び傷のない手をとった。平気だ、とジークフリードが微笑んでくれる。
「お前たちは随分睦まじくなったようだな…良いことだ」
大伯父さまは私たちの向かいのソファに腰を下ろした。ふむ、と髭をなでていたが、
「父上、イライザの顔を見に職務中に出ていらしたわけではありませんね?」
ジークフリードにうながされて、大伯父さまは頷いた。
「残念ながら事態はさらに悪くなってきている。ジークフリード。ユリウスの割り印が盗まれている…ウィリアムは、罪を認めるそうだ」
そんな、とジークフリードは腰を浮かせた。私は少しのあいだ、いまの状況を考えていた。
「大伯父さま、ウィリアムさまにお目にかかれますか?」
「イライザ…なにか、策があるのか?よかろう、近衛兵に申し伝える」
ウィンスレッド大伯父さまは鷹揚に頷いた。まかせて、とはいえないけれど、多分真実にはちかづいているはず。
私は退出の許可をもらい、さっと頭をさげると部屋を出た。慌ててジークフリードがついてくる。
「イライザ、どうなってる?なぜウィリアムが」
私ははや足で歩きながら、
「ウィリアム殿下はけして無責任な人物ではない、ということです……こんなことになるとはおもっておりませんでしたので、わたくしも混乱しておりますの。後程説明いたしますわ」
そう言うと、左腕を掴まれた。
「イライザ、頼むから無理はしないでくれ。ここはへき地のマナーハウスじゃない。専門の兵がいるんだ、もう、君が傷つくのは見たくない」
「私も同じです」
そんな風に宮殿を繋ぐ回廊で言い合っていると、ユリウスが向こうから歩いてきた。
「僕の庭でいちゃつくのは止して下さい……」
さらさらと髪をかきあげて、ため息をつく。
私が挨拶のために頭をさげると、いいからと手を振ったユリウスは手にしていた物を渡してくれる。
「同じものを送った。まるで貴方の言った筋書き通りに進むな…何もしらなければ貴方を疑うほどだ」
私はぎょっとして、首をふった。
「まさかここまでになるとは私も思っておりませんでしたわ。ひとを手にかける罪の重さは、本を盗むことの比ではありませんもの」
国宝、禁書を端的に本と言ったことに驚いたのか、ユリウスが目を見開いた。
「では、わたくし官吏棟へ急ぎ用事がございます。失礼いたしますわ」
一礼して、官吏棟へと足をむけた。
あえてはぐらかすと、ジークフリードは眉をしかめて君はやっぱり読めないな、と苦くわらった。
「そう、私は違うと主張したものの、証拠もなければ他にリディアに指示をだすような者もいない。君の意見が聞きたいと思っていた」
私それには答えず、先程近衛兵が案内してくれた部屋へ入り、辺りに誰もいないことを確かめてから、しっかりドアを閉めた。
その様子をみていたジークフリードに勧められるまま、並んでソファにすわった。
「ジークフリードさま、わたくしもウィリアム殿下ではないと思っております。ですが、真犯人を挙げるには証拠があまりに少ないのですわ」
私がジークフリードの手をとると、おもいがけなく
「きみならなにか見つけられていると思っていたよ」
という返事がかえってきた。私はうなづき、願いをきいていただけますか、と言った。
「頼まなければならないのはこちらの方だ。何でも協力する、兄を助けて欲しい」
私たちはしっかりと手を取り合い、協力しあうことを確認していた……突如扉が開くまでは。
「これは!とんだ邪魔をしてしまったかな」
現れたのはウィンスレッド大伯父さまだ。慌てすぎて私の手が傷にあたったのか、ジークフリードが小さく息をのむのがきこえて、ごめんなさいと再び傷のない手をとった。平気だ、とジークフリードが微笑んでくれる。
「お前たちは随分睦まじくなったようだな…良いことだ」
大伯父さまは私たちの向かいのソファに腰を下ろした。ふむ、と髭をなでていたが、
「父上、イライザの顔を見に職務中に出ていらしたわけではありませんね?」
ジークフリードにうながされて、大伯父さまは頷いた。
「残念ながら事態はさらに悪くなってきている。ジークフリード。ユリウスの割り印が盗まれている…ウィリアムは、罪を認めるそうだ」
そんな、とジークフリードは腰を浮かせた。私は少しのあいだ、いまの状況を考えていた。
「大伯父さま、ウィリアムさまにお目にかかれますか?」
「イライザ…なにか、策があるのか?よかろう、近衛兵に申し伝える」
ウィンスレッド大伯父さまは鷹揚に頷いた。まかせて、とはいえないけれど、多分真実にはちかづいているはず。
私は退出の許可をもらい、さっと頭をさげると部屋を出た。慌ててジークフリードがついてくる。
「イライザ、どうなってる?なぜウィリアムが」
私ははや足で歩きながら、
「ウィリアム殿下はけして無責任な人物ではない、ということです……こんなことになるとはおもっておりませんでしたので、わたくしも混乱しておりますの。後程説明いたしますわ」
そう言うと、左腕を掴まれた。
「イライザ、頼むから無理はしないでくれ。ここはへき地のマナーハウスじゃない。専門の兵がいるんだ、もう、君が傷つくのは見たくない」
「私も同じです」
そんな風に宮殿を繋ぐ回廊で言い合っていると、ユリウスが向こうから歩いてきた。
「僕の庭でいちゃつくのは止して下さい……」
さらさらと髪をかきあげて、ため息をつく。
私が挨拶のために頭をさげると、いいからと手を振ったユリウスは手にしていた物を渡してくれる。
「同じものを送った。まるで貴方の言った筋書き通りに進むな…何もしらなければ貴方を疑うほどだ」
私はぎょっとして、首をふった。
「まさかここまでになるとは私も思っておりませんでしたわ。ひとを手にかける罪の重さは、本を盗むことの比ではありませんもの」
国宝、禁書を端的に本と言ったことに驚いたのか、ユリウスが目を見開いた。
「では、わたくし官吏棟へ急ぎ用事がございます。失礼いたしますわ」
一礼して、官吏棟へと足をむけた。
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