7 / 13
Holiday
しおりを挟む
彼と出会ってすぐ、世間はゴールデンウィークに突入した。
自分は、当然彼と一緒にのんびりとすごせると思っていたのに、彼は友達と飛騨高山へ旅行に行くことになった。
自分と出会う前から計画していたものだから仕方がない、とりあえず前半は諦めることにした。
彼が飛騨高山に行く理由。
それは、当時放送されていた朝ドラの舞台が飛騨高山で、そのロケ地巡りが目的だった。
自分は、彼の旅行を邪魔したくなくて、彼の旅行中はメールを送らないことにしようと決めた。
今にして思えば、何の意味があったのかわからない。
ただ、聞き分けのいい彼氏でいたかったのかもしれない。
彼の負担になりたくなかったのだと思う。
それにしても、ゴールデンウィークは何の予定も無くて暇だった。
彼からもメールは無いし、あまりにも暇なので、彼を連れて行ったゲイバーに行くことにした。
まだこの頃は、店のママともそれほど親しくも無く、お互いに距離を探りあっている状態だった。
このあと、定期的に通うようになって、相談をしたり、くだらない話につきあってもらえるようになるのは、もう少し先のことだった。
店は、ゴールデンウィーク真っ只中ということもあってか、客も少なく閑散としていた。
場所柄、ビジネス街という理由もあるが、新しい友だちでもできないかなぁ、と期待していたので少し残念だった。
しかし、そこで自分は酔客に口説かれたりした。
その人とは、話していて楽しかったので、ゴールデンウィーク中は、よく連れ立って遊んでもらっていた。
発展銭湯に連れて行ってもらったり、二丁目に繰り出したり、惚気を聞いてもらったり。
彼に会えない自分は、その人にとても助けてもらった。
ゴールデンウィーク後半、自分は後半くらいは彼と一緒にすごせるかと思っていたのだが、どんな理由があったのかは忘れてしまったが、結局ゴールデンウィーク中は彼に会うことは無かった。
その代わりと言っては何だが、後日、自分は彼から旅行のお土産を貰う。
それは、飛騨高山のファミマ限定、さるぼぼのストラップだった。
緑色の頭巾を被り、ファミマカラーのちゃんちゃんこを着て、金太郎がするような前掛けをした、顔の無いマスコット。
彼曰く、顔が無いのは見る人の想像に委ねるからだという理由だった。
人によって笑顔にも見えるし、泣き顔にも見えるし、怒った顔にも見える。
自分は早速それを携帯につけた。
これで会えない時も、彼の存在を近くに感じられると思うと、彼が自分のためにどんな気持ちでお土産を選んでくれたのかを想像して、それだけで満足することができた。
このさるぼぼのストラップと、一緒に撮ったツーショットの写真は、ずっと肌身離さず持ち歩く宝物だった。
自分は、当然彼と一緒にのんびりとすごせると思っていたのに、彼は友達と飛騨高山へ旅行に行くことになった。
自分と出会う前から計画していたものだから仕方がない、とりあえず前半は諦めることにした。
彼が飛騨高山に行く理由。
それは、当時放送されていた朝ドラの舞台が飛騨高山で、そのロケ地巡りが目的だった。
自分は、彼の旅行を邪魔したくなくて、彼の旅行中はメールを送らないことにしようと決めた。
今にして思えば、何の意味があったのかわからない。
ただ、聞き分けのいい彼氏でいたかったのかもしれない。
彼の負担になりたくなかったのだと思う。
それにしても、ゴールデンウィークは何の予定も無くて暇だった。
彼からもメールは無いし、あまりにも暇なので、彼を連れて行ったゲイバーに行くことにした。
まだこの頃は、店のママともそれほど親しくも無く、お互いに距離を探りあっている状態だった。
このあと、定期的に通うようになって、相談をしたり、くだらない話につきあってもらえるようになるのは、もう少し先のことだった。
店は、ゴールデンウィーク真っ只中ということもあってか、客も少なく閑散としていた。
場所柄、ビジネス街という理由もあるが、新しい友だちでもできないかなぁ、と期待していたので少し残念だった。
しかし、そこで自分は酔客に口説かれたりした。
その人とは、話していて楽しかったので、ゴールデンウィーク中は、よく連れ立って遊んでもらっていた。
発展銭湯に連れて行ってもらったり、二丁目に繰り出したり、惚気を聞いてもらったり。
彼に会えない自分は、その人にとても助けてもらった。
ゴールデンウィーク後半、自分は後半くらいは彼と一緒にすごせるかと思っていたのだが、どんな理由があったのかは忘れてしまったが、結局ゴールデンウィーク中は彼に会うことは無かった。
その代わりと言っては何だが、後日、自分は彼から旅行のお土産を貰う。
それは、飛騨高山のファミマ限定、さるぼぼのストラップだった。
緑色の頭巾を被り、ファミマカラーのちゃんちゃんこを着て、金太郎がするような前掛けをした、顔の無いマスコット。
彼曰く、顔が無いのは見る人の想像に委ねるからだという理由だった。
人によって笑顔にも見えるし、泣き顔にも見えるし、怒った顔にも見える。
自分は早速それを携帯につけた。
これで会えない時も、彼の存在を近くに感じられると思うと、彼が自分のためにどんな気持ちでお土産を選んでくれたのかを想像して、それだけで満足することができた。
このさるぼぼのストラップと、一緒に撮ったツーショットの写真は、ずっと肌身離さず持ち歩く宝物だった。
0
あなたにおすすめの小説
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
【完結】恋した君は別の誰かが好きだから
海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。
青春BLカップ31位。
BETありがとうございました。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二つの視点から見た、片思い恋愛模様。
じれきゅん
ギャップ攻め
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる