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46話 激動の三か月(1)
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「アイヴィー王子殿下と結婚なんて絶対、ぜーったい、イヤです!」
父にアイヴィー王子殿下との結婚を告げられたデイジーは、盛大に拒否しました。
「やはりそうか」
父はうんうんと頷きながら言いました。
「デイジーならそう言うんじゃないかと思ったのだ。だが、王太子妃になれる縁談だからね。一応、確認しようと思って持ち帰ったのだ」
「嫌です! 断ってください!」
「本当に断って良いのか? 王太子妃になったらゆくゆくは王妃だ。この国で一番身分が高い女性になれるんだぞ? デイジーの子が国王になるんだぞ?」
この国で最高の縁談が来ましたね。
デイジーが良い家に嫁げるようにするため、私にデイジーの教育を任せたことなど、お父様はすっかり忘れているのでしょうけれど。
私が調教したデイジーが未来の王妃にと望まれました。
これは私の手腕が国一番と認められたということです。
ただし今現在、この国内最高であるはずの縁談は、皆に忌避されるものとなっています。
「それでも、お断りです!」
デイジーは憤然と言い放ちました。
「私は平民でもいいから誠実な人と結婚して、幸せに暮らしたいの! 浮気者のアイヴィー王子殿下なんか嫌です! 爛れてるわ!」
そうよね。
未来の王妃の座は魅力的ですが、相手がアイヴィー王子殿下では、その座は砂上の楼閣のようなものです。
それゆえにアイヴィー王子殿下とシスル王子殿下は、今や、誰も引き取りたがらない売れ残りなのです。
「薄情すぎるもの! あんな人と結婚したらいつ切り捨てられるか解ったものではないわ!」
デイジーのこの意見は、現在多くの者が思っていることです。
婚約破棄したアイヴィー王子殿下とシスル王子殿下に、次の婚約者が決まらない理由は、薄情で、あっさり婚約者を切り捨てる『信頼できない契約者』であるからです。
◆
――『悪夢の夜会』の後。
エンフィールド公爵は、ドラセナ侯爵、カポック伯爵、クテナンテ伯爵の三人と会談し、こちらが通行料を倍額を実行しない代わりに、三家がそれぞれ賠償金を支払うことで手打ちとしました。
そしてすぐに、アイヴィー王子殿下、シスル王子殿下、ルピナス様、オレガノ様の四人は、正式に、ダリアさん、アイリスさん、ピオニーさん、エリカさんと婚約を解消なさいました。
その一方で、バジル様と小娘が調査を進め、ダリアさんたちの所業が明らかとなりました。
それらを書き記した文書が、公的な調査報告書として国王陛下に奏上されました。
それにより、ダリアさんが、私とデイジーに葡萄酒をかけたこと、休憩室に軟禁しようとしたことが公に認められました。
アイリスさん、ピオニーさん、エリカさんが、デイジーを「平民」と罵ったことも認められました。
この件について、エンフィールド公爵と、ダリアさんたち加害者の家の家長たちの間に、国王陛下が入り仲裁をすることになりました。
ダリアさんの実家ウィード公爵家以外の家とは、すでに和解していますので、国王陛下はエンフィールド公爵とウィード公爵との和解案を提示しました。
予想通り、賠償金による和解案でしたが、エンフィールドはこれを飲んで手打ちとすることにしました。
しかし、それだけでは終わりませんでした。
父にアイヴィー王子殿下との結婚を告げられたデイジーは、盛大に拒否しました。
「やはりそうか」
父はうんうんと頷きながら言いました。
「デイジーならそう言うんじゃないかと思ったのだ。だが、王太子妃になれる縁談だからね。一応、確認しようと思って持ち帰ったのだ」
「嫌です! 断ってください!」
「本当に断って良いのか? 王太子妃になったらゆくゆくは王妃だ。この国で一番身分が高い女性になれるんだぞ? デイジーの子が国王になるんだぞ?」
この国で最高の縁談が来ましたね。
デイジーが良い家に嫁げるようにするため、私にデイジーの教育を任せたことなど、お父様はすっかり忘れているのでしょうけれど。
私が調教したデイジーが未来の王妃にと望まれました。
これは私の手腕が国一番と認められたということです。
ただし今現在、この国内最高であるはずの縁談は、皆に忌避されるものとなっています。
「それでも、お断りです!」
デイジーは憤然と言い放ちました。
「私は平民でもいいから誠実な人と結婚して、幸せに暮らしたいの! 浮気者のアイヴィー王子殿下なんか嫌です! 爛れてるわ!」
そうよね。
未来の王妃の座は魅力的ですが、相手がアイヴィー王子殿下では、その座は砂上の楼閣のようなものです。
それゆえにアイヴィー王子殿下とシスル王子殿下は、今や、誰も引き取りたがらない売れ残りなのです。
「薄情すぎるもの! あんな人と結婚したらいつ切り捨てられるか解ったものではないわ!」
デイジーのこの意見は、現在多くの者が思っていることです。
婚約破棄したアイヴィー王子殿下とシスル王子殿下に、次の婚約者が決まらない理由は、薄情で、あっさり婚約者を切り捨てる『信頼できない契約者』であるからです。
◆
――『悪夢の夜会』の後。
エンフィールド公爵は、ドラセナ侯爵、カポック伯爵、クテナンテ伯爵の三人と会談し、こちらが通行料を倍額を実行しない代わりに、三家がそれぞれ賠償金を支払うことで手打ちとしました。
そしてすぐに、アイヴィー王子殿下、シスル王子殿下、ルピナス様、オレガノ様の四人は、正式に、ダリアさん、アイリスさん、ピオニーさん、エリカさんと婚約を解消なさいました。
その一方で、バジル様と小娘が調査を進め、ダリアさんたちの所業が明らかとなりました。
それらを書き記した文書が、公的な調査報告書として国王陛下に奏上されました。
それにより、ダリアさんが、私とデイジーに葡萄酒をかけたこと、休憩室に軟禁しようとしたことが公に認められました。
アイリスさん、ピオニーさん、エリカさんが、デイジーを「平民」と罵ったことも認められました。
この件について、エンフィールド公爵と、ダリアさんたち加害者の家の家長たちの間に、国王陛下が入り仲裁をすることになりました。
ダリアさんの実家ウィード公爵家以外の家とは、すでに和解していますので、国王陛下はエンフィールド公爵とウィード公爵との和解案を提示しました。
予想通り、賠償金による和解案でしたが、エンフィールドはこれを飲んで手打ちとすることにしました。
しかし、それだけでは終わりませんでした。
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