69 / 219
第6章 アナザージャパン編
第68話 獣魔契約
しおりを挟む「えーと、なになに。獣魔契約……。俺の言うことをある程度聞く代わりに世話の義務が発生する」
ペットかよ? いや、まだ飼うとは……、
「クゥ~ン」
俺の脚に頭を擦りつける子狐の姿はあまりにも尊すぎた。
「おい、お前。俺のペットってことになってるけれどいいのか?」
「ワン!」
「いい返事だ。でも、俺について来れるのかな?」
「ワンワン!」
「ほぅ、じゃ試しに走ってみるぞ!」
子狐には悪いが、俺は素早さに自身がある。一瞬で置き去りにしてやろう。
その場に残像を残し、俺は素早く移動し始める。
「ワン!」
ところが、子狐は俺の動きについてきたのだ。
「なん……だと?」
目を疑った。今まで、俺の動きについて来れたモンスターなんていなかったのだ。ボス級の者を含めてだ。
急な方向転換にもしっかりと対応し、ついてくる。しかも、遊んでくれていると思われているのか、やけに上機嫌に見えるのだった。
「むむむ、俺が主だと見せつけてやるつもりが……、やるじゃないか!」
俺は足場にバリヤーを出し、飛び跳ねるように移動した。
「だが、空中ならどうかな?」
しかし……、
「ワン!」
子狐は俺の出した足場が見えているかのように正確にたどってついてくる。
「まじか! うそでしょ?」
何事もなかったかのように俺の胸にジャンプして飛び込んでくる。そして、俺の頬をペロペロとなめ回してきた。
「くっ、何て可愛い奴なんだ! そうだ、名前を決めよう。そうだな……、シロじゃ犬みたいだし……、日本じゃ、狐の鳴き声をコンコンって言うんだ。だからコンってのはどうだ?」
「ワン!」
「よし、今日からお前はコンだ。よろしくな」
「ワン!」
コンは多い尻尾をフリフリしながら元気に吠える。
どうやら気に入ってくれたみたいだな。
コンは俺と似て、早く走れる。いざとなったら撹乱も出来るかも知れないし、危なくなったら避難させるのも容易そうだ。
「そういや、コンはレベルいくつなんだ? ちょっと見てみていいか?」
「ワフッ!」
尻尾をフリフリして答えるコン。
「よしよし、じゃ、鑑定!」
名前 コン
種族 大魔神の眷属、神獣
レベル 5
え!? まだレベル5であれだけの早さなのか! 末恐ろしい子!
いつの間に俺の眷属になったんだろうな。うん、心当たりがない。
ま、いいか。これで思う存分モフモフが楽しめそうだ。
「ワンワン!」
「コン、早速だけど、この世界を案内して欲しいんだ。ズバリ! ここで一番強い奴の所へ行ってくれ!」
「ワン!」
コンはその場を動かない。
「あれ? 言い方を間違えたかな?」
「クゥーン、クゥーン」
「ん? 間違いない。ってこと?」
「ワン!」
これってつまり、ここで一番強いのは俺だって言ってくれてるのか! お世辞でも嬉しいことを言ってくれる! 可愛い奴め!
コンの頭をナデナデし、俺はまた聞いてみる。
「じゃあ、二番目に強い奴はどこにいるんだ?」
すると、コンは駆けだした。途中で止まって振り返り、まるで着いてこいと言っているみたいだ。
「よし、そっちか! 行こう! コン」
そして、俺はコンにこの黄泉を案内してもらうことになった。
*
「……ここは?」
目の前に大きくそびえ立つ門がある。左右に巨大な鬼の像が立っており通る者を威圧する。
「風神と雷神の像か……、すごい迫力だ」
「ワン!」
コンは着いてこいとばかりに門の中へ入ろうとする。
だが……、
「危ない!」
とっさにコンにバリヤーを張る。するとバリヤーに何かがぶつかり、衝撃が走った。
「ふぅ、大丈夫か? コン」
「ワンッ、ワンッ!」
コンは攻撃してきた方向に向かって吠えている。
一体何者だ? 気配を殺して攻撃してくるなんて只者じゃない。
「貴様等、ここへ何をしに来たのだ?」
低い声が聞こえてくる。門の陰からスッと飛び出してきたのは忍者のような黒い忍び服を着た鬼だった。
「あぁ、ちょうどいい。ここの門番さんかい?」
「いかにも。怪しい奴はここで始末することになっている。無論、貴様等もな」
「やれやれ、話も聞かないのか? ま、俺的にはそっちの方が楽しいけどな!」
フッと消えるように移動する門番。気がつけば俺の目の前で小刀を突き出してきた。
その小刀が俺を突き刺す。
「むっ? これは?」
「残念。素早さはあるようだが、残像も見抜けないとは……」
門番の後ろから刀で一閃する。
「ぐっ! き、貴様……。これ以上進むと後悔するぞ! 何人も閻神様には勝てぬのだ」
「あ、そうですか。じゃ、俺が最初の男になるんだね」
門番は苦悶の表情を浮かべつつ倒れていく。が、最後に魔法を打ち上げた。その魔法は敵襲を告げるためのものだろう。派手に爆発して花火のような円輪が咲いた。
門に向かって走り来る鬼達。
俺等はあっという間に四方全てを囲まれるのであった。
23
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~
仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる