上 下
74 / 97
4章 コスで救済

74話 学園会議

しおりを挟む
「各国の皆さん、まず我が国の侯爵が混乱を招いてしまった事、謝罪する」


僕が内緒で参加していた会議から1月が経ち、やっと学園都市で全世界の国のトップを集めて会議が開かれました、その最初の言葉は2ヶ月に渡って世界を混乱させた勇者騒動の謝罪でした。
勇者はある領地に逃げ、兵士を集めて村を襲いました、だけど兵士たちは村人たちに説得され、元いた兵士たちと一緒に村人になった、勇者は1人になり領地に逃げ帰ったけど、そこには裏切った領主が待っていました、勇者はそこで領主を殺害し街を破壊して逃げたんだ。
犯罪者となった勇者は、王都で捕まえて判決を待ってる最中です、各国にそれを知らせ賠償の準備があると伝えました。


「それには及ばないですわよ、ワタクシたちは十分貰いましたの」


ウインダムの王女の言葉は、会議に集まった人たちの代弁でした、全員が頷き笑顔です、国王陛下はそれを見て僕が控える隣の部屋の扉を見ます。
僕はこの為にやっていたわけじゃないんだ、コスを作る為だったり人を助ける為だったりいろいろです、それが今国々を救った事になってるんだ。
それは勇者騒動を許せるほどの事で、お釣りが来ると言った王族もいたんだ、そしてここに来た本当の理由はそこにある。


「あんな暴力勇者なんてどうでも良い、ワシたちが来たのはその者に会う為なのだ、男なのか女なのかもわからん、早く会わせてくれ、そして製法の話をさせるのじゃ」

「それは後ですよドワール殿、まずは感謝の言葉を送るのが礼儀、そしてあの素晴らしい服をワタクシに作ってもらうのですわ」


作るのは自分たちが先と他の王族たちは要求します、誰も引かないで話し合いにならなくなってきます、そこで止めたのは学園長です、要求は本人にしてくれと僕をここで呼んだんだ。
扉を開けてもらったけど、僕はこのタイミングで止めてよって思ったよ、部屋に入って学園長を見ると視線を逸らされました。


「そ、そなたがそうなのか・・・我が国に多大な技術を感謝するぞ」


王族の人から感謝の言葉を沢山貰い、僕はちょっとテレ臭いです、技術や服は後で送ると約束して僕の要望を伝えます。
僕が伝えたのは服を作る事です、色々な技術を使い本物により近い物を作る、それがしたいだけなんです。


「それには世界が平和でなくちゃダメです、どうか皆さん争いを考えない暮らしをしましょう、この学園は人質を取る為の場所じゃなく、友好の場所に変えるんです」


みんなが黙認していた事を僕は言葉にしました、誰もが口を閉ざし暗い顔をします、それは出来ない事なんだ、国はそれぞれ思想が違うからね。
そこを出来る様にするには、1の国にするのが1番です、でもそれは難しいよね。


「無理じゃろう、それが出来れば誰も困らん、この場所も出来ておらんよ」

「学園長だから変えるんです、楽しい場所にすればみんな気持ちは変わる、その為に僕はいます、まずはみんなの思い込みを変えましょう」


全部の国で一斉に行えば変えられなくはない、それは裏表さえなければ出来る事、僕がその案を作ります。
僕の案は技術を披露する場を設ける事です、お祭りにして全国でお祝いにする、学園が暗い場所でなければ気持ちも変わります。


「ふむ、確かに良い案ではある、しかしそれだけでは難しいじゃろう」

「でも学園長、無理ではないでしょ?それに競い合うのは大切です、強敵がいれば尚更です」

「強敵?」


学園長は不思議そうです、各国がこの学園にいるので他にはいない、だから強敵と言っても学園内と思っているんだ、それは大きな間違いです、世界にはここに参加してない国があります。
それは誰もが知ってる種族です、200年前に世界を征服しようとして負けた国、今は干渉してないけど平和に暮らしてる種族です。


「ま、まさか!?」

「そうですよ皆さん、誰もが知ってる魔族です、エルフや獣人でも良いけど、僕は隣の大陸にも行った事があります、彼らはとても温厚な種族でした、ここで仲良くしましょう」


服も変わった物を着ていたんだ、モンスターの鱗とかだね、おかげで装備の幅が広がりイーザスさんたちの装備に使ったんだよ。
技術レベルはすごかったと伝え、大会で勝利した国に新しい技術を提供すると宣言します、負けない様に頑張ってとニコリと笑ったんだ、みんなは引きつった顔をしています。


「もちろん、さっきのお約束は果たします、だけどそれ以降で発展してなかったら負けちゃいますよ、頑張ってくださいね」


返事が返って来なかったので、僕は再度聞いてみます、そこでやっと【はい】と返事を貰い、魔族の大会参加を許可してもらったんだ、もちろん僕は分身で色々な場所にいるので、これは表向きだね。
3学期の中間地点に予定を決め、今年から始めると話を詰めます、今から準備をすれば楽しい大会になるとみんなワクワクし始めています。
僕も楽しみだと、新しい衣装を何にしようか考えます、とても楽しみです。


「さぁ楽しくなってきたでしょ皆さん、転移の魔法陣も用意しますからね、それと国でも見れるように魔道具も作らないとです、僕はそこら辺分からないのでドワールさんお任せしますね」


用意を各国にお願いし、僕たちは会議を終わらせました、国王陛下に握手を求められ僕は答えたんだ、これで世界は1つになり国は救われる。
もし黒田があのまま暴走したら、全ての国から標的にされ国は無くなっていたんです、それだけ危うい状態でした、僕の進言が少しでも遅れていたらと国王陛下は顔を青くして言ってきます。
それは無かった、僕はそう思います、僕が動けない間も分身たちが頑張ってくれました、だからそれは無いんです。


「エリナ殿、国に仕える気はほんとにないのか?そなたなら喜んで受け入れる、爵位も思いのままだ」

「せっかくですが遠慮します陛下、僕は孤児院から離れるのは嫌なんです、あそこがあったから、あの子たちがいたから僕は名乗りを上げたんです、だからごめんなさい」


ササピーさんも心配だし、アルミクたちが成人したら守ってあげなくちゃなんだ、国の事は陛下たちにお任せします。
久しぶりに孤児院に帰る事にします、2ヶ月本体の僕は帰っていません、みんなに会わせる顔が無かったんだ、あんなに簡単に諦めてさ、だからこれが済むまで帰れなかった、みんなは分身がずっといたから知らない事です、まずは謝りたいよ。
孤児院に戻った僕は、謝る時涙が出ました、みんなに会えて嬉しかったんだ、もう絶対あきらめないよ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:1,882

疑う勇者 おめーらなんぞ信用できるか!

uni
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:809pt お気に入り:247

あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:1,491pt お気に入り:37

自由に語ろう!「みりおた」集まれ!

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:355pt お気に入り:22

前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:91,520pt お気に入り:2,134

処理中です...