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4章 コスで救済

84話 夜に作戦実行

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枕を持ったアタシは、今リュウ君の部屋の前にいます、そこにはアタシと同じ考えだったパーシェントが立っていました、抜け駆けはズルいっと同時に言ったのは仕方ないわよね。


「夜這いはしないって言ったのはエリーヌじゃない、何がズルいよ」

「あなたほど露骨じゃないわよパーシェント!何よその寝間着、スケスケじゃないのいやらしい!」


アタシも寝間着だからお互い様とパーシェントは言い返してきたわ、でもアタシのは普通の布で可愛いだけ、同じ夜這いでも違うわ。
扉の前で口論を続けたので、アタシは一度止めました、小声でのやり取りが出来なくなってきたからよ、このままじゃ寝てるはずのリュウ君が起きてしまうわ。


「止めましょうパーシェント」

「そうだね・・・でもこの後どうするのよ、リュウ君を諦めたくないよ」

「それはアタシも同じ、だから今日はアタシが行くから明日はあなた、これでどうかしら?」


パーシェントから嫌だと即答されたわ、デートの時もアタシが最初だったから譲ってとか言われたの、でもその服じゃリュウ君は嫌がる、彼はグイグイ来られるのを嫌うのよ。
パーシェントもやり過ぎだったかもと、寝間着をつまんで反省しています、リュウ君の好みは把握済みなのに気持ちが先走っちゃってるのね。


「これじゃ明日も失敗しそうね・・・仕方ないわ、ここは1つ一緒に行きましょう」

「そ、そうだね・・・お願いエリーヌ」


出来れば1人ずつの方が思いを伝えられたんだけど、嫌われて失敗するよりは良いわ、パーシェントが失敗したら後に控えてるアタシも困るもの、それにその後のお仕事も支障が出るわ。
浜辺の改革を仲良く行う為にも一緒に行くのが良い、さぁ行くわよっと扉をノックしました、中から返事がして扉が開いたんだけど、そこにはお姉さんのエリナさんがいたの、パジャマ姿ではなく作業着風だったわ。


「もも、もしかしてお姉さんも夜ばムググッ!?」


パーシェントが変な妄想をしてて、アタシは咄嗟に口を塞いだわ、作業服で夜這いなんてしないわよね、後ろではリュウ君が部屋のテーブルで作業しているのが見えたわ、ふたりは明日の為に寝ないで仕事をしていたのよ。


「おふたりの格好・・・リュウ、作業はここまでにしましょう」

「ちょっ!?ちょっと姉さん!」


後の作業はエリナさんが別の部屋ですると、さっさと収納に道具をしまい始めたわ、リュウ君が戸惑ってるけど、お姉さんは部屋を出たの、3人で下を向いて沈黙が続きます。
とても長く感じたわ、でも時間はきっと5分も経ってなかったと思う、リュウ君が我慢できずに口を開いたんです。


「あの・・・僕はお二人が好きです、でもこういった事は早いと思うんです、もう少し仲良くなってからの方が」


リュウ君がキスもまだとか誤魔化してる、モジモジしてるからこの後の事は知ってるのね、でも動作が可愛いくて仕方ないのよ、アタシとパーシェントは我慢が出来なくなって抱き着いたのは不可抗力ね。
リュウ君が困ってるけど、引き剥がそうとして来ません、真っ赤になってるのがまた可愛いくてチューしたくなったわ、嫌がられるからしないけどね。


「アタシとパーシェントは準備出来てるのよリュウ君、あとはあなただけ」

「そうだよリュウ君、ふたり一緒に貰ってほしいなぁ~」


僕はその時思考が止まりました、ふたりでベッドに飛び込み僕を見たからです、熱いまなざしに寝間着が少し着崩れ見えちゃいけない物が見えそうなんです、その目が語っています『一緒になろう』っと、主であるエリナはこれの為に部屋を出ました、分身である僕に手を出せって事です。
分身ではなく個体になる方法もあります、それをして良いって事ですね。


「でも、僕に任せるなんてズルい!」


冒険者リュウは最初、主が主体だったはずです、もしかしてリュウを僕に預けたのってこれのせいじゃないよね?不安を抱きながら、ベッドに寝ているふたりの前正座ます、床に座ったので二人が覗き込んできたけど、僕はそれを見る事は出来ません、そしてごめんなさいと謝ったんだ。


「おふたりの気持ちは嬉しいです、僕も好きなんです・・・でもね、突然すぎて僕はまだ準備が出来ていません、お互いの気持ちを大切にしたいから、いまはどうしても無理です」


言い分としては分かる、そう言ってくれたエリーヌさんたちは、ベッドの上でヒソヒソと話し始めます、僕の貞操はどうでもいいんだ、想いは同じなんだからね。
いきなりでなければ僕も良いと思います、決してヘタレなんかじゃないよ。


「分かったわリュウ君、アタシたちもあなたの気持ちを尊重します」

「ありがとうございますエリーヌさん」

「でも~何もないのは心配なんだよねぇ~」


パーシェントさんは、とてもスケスケな寝間着を触り何かを求めてきました、それは二人が心配してる事で、僕が主のエリナと一緒にいるのが原因です、今は僕も孤児院で生活をしていて主を一番に考えてる、いつか二人を置いてどこかに行くかもと不安を感じているそうです。
じゃあどうすれば、そう思っているとエリーヌさんは僕をジッと見てきました、綺麗な人にジッと見られてるのでタジタジです。


「な、なんでしょうか?」

「リュウ君はお姉さんが一番じゃない?だから、何か保険をくれない?」


僕が主を一番に思った事はありません、だって主は自分自身です、僕の一番嫌いな存在なんだ、それを変えるために今も頑張ってる、ふたりを思う気持ちとは根本から違うんです。
おふたりが目を瞑って僕を求めてきます、僕は躊躇ったけどそれで安心するならばっと二人に口づけをしました、僕はふたりが好きです、これはここから逃げた本体よりも強いと確信を持てる、僕は分身ではなくリュウに今始めてなったんだ。


「んふふ~ありがと」

「僕こそありがとうございます、これで決心がつきました・・・エリーヌさんにパーシェントさん、もう少し待っててください、必ずお二人の思いに答えて見せます」


僕は分身です、だから身を引いていたけどふたりの為に決心しました、分身が本体になる方法、それは色々ありますよね。
それが出来るようになった時、僕は二人と結婚します、いつになるか分からないので、今日は一緒に寝る事で収まりました。
そんなモヤモヤしてる僕とは違い、本体のエリナは海岸にいました、エスカルゴさんたちの貝殻を改造していたんです。


「海に飛び込む滑り台に観覧車、エスカルゴさんはてっぺんから水を噴射して虹を出すここの目玉だよ」


エスカルゴさんは貝殻を削ってる僕に相槌を打ち見ているだけでした、了承は貰ったけどなにが変わるのか分かっていない感じです、完成して説明すると「よくわからん」の一言を貰いました。
遊びに来た人を貝に乗せてくれればいいと説明します、みんなが遊べれば浜辺は楽しい楽園になるんです。


「要はワシらが求めた事をしておれば良いのだな?」

「そうなるね、昼間は動かず人が遊んでいる所に海水を噴出するんだ、そうすれば相手も楽しいし遊んでくれてるって思うはずだよ、それが積み上がれば信頼になる」


ダメージにならない程度に抑えてもらうのは必要です、そこは注意して貰って僕の目玉商品を焼いて行きます。
彼らの排泄物は僕の知ってる貝の中身です、何でも余分な身を出してるんだってさ、それをここで売り出せば人気商品になる事間違いなしです。
ショウユを掛け一口食べると、作業の疲れも吹っ飛ぶ美味しさで確信が持てました。


「まあ、僕は疲れないけどね」


1人でツッコミを入れ、海から見える日の出を眺めました、これでここは平和になります、美味しい物も食べれてエスカルゴさんたちも共存できる、言う事なしの最高の観光地です。
トドメの商品を持って、僕は商業ギルドに売り込みに向かいます、冒険者ギルドにはもう行きません。
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