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4章 コスで救済

83話 3人でデート

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本体であるエリナ姉さんと別れ、僕は「あれ~?」っと疑問を抱いています、それと言うのも友達同士で旅行に行くと聞いていたけど違うみたいなんだ、僕の手を引っ張るおふたりの熱意は、絶対友達を越えている様に思えるんだよ。
でも新年祭の時の事もあります、お付き合いをした事のない僕じゃ、どう頑張って考えても分かりません、デートと勘違いして引かれるのもショックですよね。
楽しそうに話す二人を見て、僕は聞くことにしました、口に出さないと分からない事もありますよね。


「あのエリーヌさん、それにパーシェントさん・・・これって、デートですか?」

「何を言ってるのよリュウ君、当然じゃないの」


ほら行くわよっと、僕はグイグイ引っ張られます、背中をパーシェントさんに押され抵抗できません。
いえ、抵抗はしてますよ、だけど聞いてくれないしふたりは楽しそうなんだ、だから僕も楽しむ事にします、せっかくの旅行ですからね。
露店に並ぶ貝殻のアクセサリーを眺めたり、ふたりに似合うか聞かれ選んであげました、もちろん僕がお金を出してプレゼントにしました。


「ありがとリュウ君」


だから好きなのとか二人に言われました、僕が選んだ物をあげるのですから当然ですよね?っと港町を歩きます、潮風がとても気持ち良く、天気も良いです。
ここでお腹を満たすために食事屋に入りました、ふたりはアクセサリーを眺めるのに夢中なので僕が注文です。
メニューを見て店員に聞いちゃうほどビックリです。


「焼き魚しかないんですか?生や貝とかは?」

「お客さん変な事言いますね、生なんて食べたらお腹壊しますよ、それに貝は倒せる方がいません」


とっても大きくて硬いと話してくれます、そのモンスターはシェルブロアーと言う貝のモンスターで、体長10mはあって浜辺に何体もいるそうだよ。
これは是非倒して二人に食べさせたい、そう思って浜辺に向かったんだ、そこにはとても大きなハマグリやあさり、大きいのでエスカルゴがいたんだよ、武器を構えると貝たちが一斉に口を開けました。


「攻撃して・・・来ないね」


どんな攻撃が来るのか見たくて構えてたけど、口を開けたままで舌を動かしているだけでした、変だと思って僕が近づくと、なんとエスカルゴが話しかけてきたんだ。


「喋れるの?」

「なんだヒューマン、ワシらが喋るのが変か?」


エスカルゴたちは元から喋っていたと怒っています、きっと僕が言語を理解できるから分かる事なんだ、そしてそのことを伝え謝罪しました。
エスカルゴはちょっとだけ強めの口調を止めてくれたよ。


「お前は話が分かりそうだな」

「それはどうも、でもどんなお話かな?」

「ワシらを討伐するのはやめてくれんか」


エスカルゴの言葉は一言だったけど、とても重く感じたんだ、何度も冒険者が来て追い返しているそうです、自分たちは浜辺でのんびり暮らしてるだけなのにと怒っています。
止めろと叫んでも相手は向かって来るんだそうですよ、言葉が分からないと雄叫びを上げてる様に相手は取り、僕の様に攻撃態勢に入ってしまうんだ、それを見て嫌になるっと、エスカルゴさんは舌で浜辺を叩き始めました。


「ワシらはここでのんびりしたいだけなのだ、だからヒューマン共に言ってくれ、ワシに出せる物なら報酬も払う」


報酬は何が用意できるのか、それを聞いて僕は手伝う事にしました、それは直ぐに返事をするほどの報酬だったんだよ。
かなり離れていたエリーヌさんたちと合流すると、どうしてかすごく心配されました、モンスターは健在だし戦いは始まらないしで、どうしたのかと聞かれちゃったよ。


「モンスターから依頼を受けて報酬も貰えるんですか?」

「そうなんですよパーシェントさん、どうやら彼らは食べ物の豊富な浜辺が気に入って、そこでのんびり暮らしたいそうです」


報酬に体の一部を分けてくれると言うから協力するんです、これが終わったら早速焼いて食べたいんだ。
ふたりにも説明したけど、ほんとに美味しいのか分からずちょっとやる気が足りません、僕が手伝ってくださいって言うとガラッと変わりましたけどね。
ギルドに行くと、受付で責任者との面会の約束をしてくれたんだ、しかも直ぐに会えるようにお二人が圧力をかけたんだよ。


「おふたりはさすがですね」

「当然ですよ、ねぇエリーヌさん」

「早く済ませてデートの続きをしなくちゃだもの」


浜辺でのデートは出来なかったとふたりはガッカリ気味です、この埋め合わせを考えているとギルドマスターが来ました、上半身裸の男性で刺青が凄く、海の男だと強調するように真っ黒に日に焼けています、細い体なのに筋肉がムキムキしていて細マッチョさんです。


「それで海の男である、このフィンサー様にどんな用だ?」


自分で海の男と言っちゃうの?っと、笑いを堪えつつ浜辺の出来事を話しました、最初こそ嫌そうな顔をしていたけど、僕の話を真剣に聞いてくれるようになったんです。
全部を話し終わると、討伐対象から外すことが出来ないと言われちゃったよ、どうしてなのか当然聞きます。


「それがほんとかどうかわからんからだ、確かに奴らから襲ってきたと言う話は無い、しかし危険であることには変わらん、何せ奴らは5つ星クラスのモンスターだぞ」


モンスターの階級で言ったら土龍並みです、それほどの堅さを誇っていて危険だと言ってきました。
攻撃も遠距離の物が多く、対処に遅れれば多大な被害を受けると付け足してきます、こちらから攻撃しなければ大丈夫、僕がそう言っても聞いて貰えません。


「どうしてダメなんです、彼らはあそこにいるだけなんですよ」

「それがほんとかもわからん、それに気持ちが変わったらどうなる?」


平和が終わるなんて・・・そんなの戦いが起きるに決まっています、でもそれはこちらが壊さなければ起きないと言ってるんです。
僕しか分からない事、だから問題なんですね、それなら誰かを味方に付ける作戦を僕は取ります、ギルドを出てもう一度浜辺に行きます。


「リュリュ、リュウ君・・・ほんとに平気?」


僕の後ろにエリーヌさんたちが隠れます、エスカルゴたちに説明するだけなので離れてて良いと言ったんだけど、ついてくるって聞かなかったんだよね。
事情を聞いてエスカルゴさんは唸っています、また舌を出して浜辺を叩いていますよ。


「落ち着いてよエスカルゴさん、僕に作戦があるんだ」

「ほう、あ奴らをぎゃふんと言わせられる策であろうな?」


勿論っと僕は答えて作戦を伝えました、エリーヌさんたちもそれを聞き賛成してくれたんだ、遊んでみたいと本音が見える笑顔です。
出来上がったら最初に遊べるように手配すると約束をしたんです、僕の計画は浜辺の遊園地製作です。
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