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2章 成長チート

21話 3人だけの探索は裏切りでいっぱい

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「早くしろとシューリ」


ワタシが採取をしているのに、アモスは急かして来て、リゼがかなり怒ってしまったから、ワタシはリゼを止めてから採取を済ませたわ。
33階のここでは、MPポーションに使う霊薬草が取れるから、お金になるので沢山採取しているけど、アモスは相変わらずモンスターを倒す事しか考えてない。


「ったく、あのヤロ~」
「良いのよリゼ、それよりも良いわね」
「分かってるよシューリ、今日はアイツの服を取り上げる事に専念だな」


ワタシたちの戦闘用の衣服が高い事が分かり、今日はあの監視対象の衣服を奪う算段でいます。
何処までに付与がされているのかは知らないけど、下着も含めて全部回収すれば、もしかしたら借金が無くなるかも知れなくて、最悪ワタシとリゼだけでも助けてもらう予定でいます。


「ギルマスとも約束したし、きっと平気よね」
「ああ、最悪シャツにズボンとブーツだけでも300万枚だからな」
「ええ、絶対に機嫌を損ねちゃダメよ」


リゼと頷き合ってワタシたちは先に進み、アモスが疲れるように動きます。
途中も回復はするけど、魔力が集まらないと嘘をつき、回復はギリギリに留めたの。


「おいシューリ、いつもより弱くないか」
「仕方ないのよアモス、装備が違うから慣れてないの」
「っち、だからか」


アモスの装備も、整備を頼んで今は変わりの品を使ってて、ワタシとリゼとは違って全然使いこなせてないから納得してくれたわ。
でも、その装備はもう戻って来ない予定で、怒るでしょうけどお金で引き下がってもらうわ。


「それにしても、アモスの奴気付いてないのか?」
「そうみたいね、信じられないわ」


リケイルの装備を着けていた時よりも動きが良くて、しっかりと戦えているんです。
リゼもそれには気付いてて、ギルマスの言っていたことが本当だったと、ワタシも納得していたの。


「そうすると、リケイルってすごかったのね」
「だな・・・だけどアモスには言えねぇな」
「そうね、名前を聞くだけで機嫌が悪くなるものね」


クランの他のPTリーダーに負けてから、アモスは更に機嫌が悪くなり、今日もその鬱憤を晴らすために戦っていて、それでも成果が出ているから安心していたわ。
だけど、40階以下の階層では借金は返せないし、もっと下に進まないといけないからアモスは焦っているわ。


「でも、現実を見れば、普通に稼げる額じゃない、どうして分からないのかしらね」
「シューリ、それが分かっていればリケイルを嵌める事はしなかったさ」
「それもそうね、早くボスまで行って帰って作戦を成功させないとね」
「ああ、これでアイツとの肉体関係も終わりだ」


前はとても好ましかったのに、今ではとても嫌な行為になっていて、それでも機嫌を損ねない様にしていたわ。
だけど、それも今日で終わりを迎えるから、ワタシはリゼと一緒に寝るのを楽しみにしているの。


「ふふふ」
「どうしたシューリ?」
「リゼ、ワタシね、何だか楽しいのよ、どうしてかしらね」


借金もあって、ダンジョンも31階からだからとても低い位置なのに、ギリギリの生活が生きてるって実感を与えてくれて楽しいの。
リゼにも分かって貰えなかったけど、凄く充実してて昔を思い出させたのよ。


「リケイルに謝って許して貰えたら、一からやり直すのも良いかも知れないわね」
「まぁそうなるだろうけどな」
「そうねリゼ、その為にも今の現状で出来る事をしましょう」


次に生かす為、リゼとの連携強化に努めたけど、それもリケイルが指示していた事だったのを実感したわ。
そして、その途中でカーリーが魔法で援護してくれて、リゼとアモスの攻撃が生きるのが分かったの。


「それなのに、今アモスは一人で突っ込んでしまってる」
「こう見ると、オレたちってかなりお粗末だったんだな」
「遠目であれを見てると分かるわね」


アモスの戦いがお粗末で、2人も抜けたて能力が下がったのも理由になっているけど、それでもあれから2ヶ月も経っていてこれですから、他のPTに見放されても仕方ないと納得よ。
そんなダンジョンの戦いも、ボスに到達していよいよ終わりに近づいて来たわ。


「いよいよだなシューリ」
「ええ、怪我だけはしないでねリゼ」
「任せとけって」


アモスは既に突撃していて、オオトカゲのサラマンダーの注意を引いてくれたわ。
ここで大火傷を負ってもらい、看病しているふりをして一緒に寝るのだけど、口から吐く火炎でリゼが怪我をしないか心配です。


「ワタシ、こんな時は無力ね」


ホーリーアローを放つけど、サラマンダーには全然ダメージにはならないし、こんな時は補助魔法が必須なの。
それもリケイルに任せていたから覚えてなくて、リゼのサポートが出来ないわ。


「これが終わったら、リゼの為に絶対覚えるわ」


ワタシの大切な存在は、もうリゼしかいなくて絶対に失いたくない。
リゼに攻撃が向かない様に注視してホーリーアローを放っていると、アモスがチャンスとばかりに、サラマンダーの首に剣を突き刺したけど、サラマンダーの尻尾を受けて吹き飛ばされ、そのまま口からの火炎を受けたのよ。


「やったわ、リゼ今よっ!」
「おうっ!闘技【ソニックシュート】」


リゼの飛び蹴りの武技が、アモスが残した剣の柄にヒットして、サラマンダーの頭が切断され消滅しました。
ワタシはアモスを回復させて倒した事を報告すると、笑顔で勝利を喜んで気を失ったわね。


「昔はこれに惚れてたのよね」


リゼがドロップ品を回収してくれて、ふたりでアモスを担いでダンジョンを出たけど、報酬は後にして直ぐに屋敷に戻ってベッドにアモスを寝かせたの。
服を脱がせ、ある程度回復させて目が覚めるのを待ったけど、服には損傷が無かったの。


「改めて見ると凄いわね」
「だな、今まで当たり前と思ってたが、守られてないアモスの顔との差がスゲェ」
「ほんとね、醜いから包帯巻きましょ」


アモスの顔に包帯をグルグルと巻いていると、やっとアモスが気づいたのか唸り声をあげたわ。
ワタシとリゼは、声を掛ける前にアモスの服を隠したのよ。


「こ、ここは」
「気づいたのねアモス」
「シューリ・・・そうか俺たち戻って来たのか」
「そうよ、あなたが大怪我を負ったおかげよ」


そこで、服の破損も報告して、代わりの品を用意する事を伝えたわ。
アモスは、そこで了承してまた眠りについてくれて、一緒に寝なくて済んだからホッとしたわね。


「リゼ、やったわ」
「そうだな、今日までと思ってたが、予想以上に上手く行った」
「ええ、この装備を国に渡せば、きっと許して貰えるわ」
「しかしよ、アモスの監視は続けるんだろ?」


それは仕方ないので、今後はワタシが補助魔法を覚えるまでダンジョンには入らない様にして、少しずつ利益を上げるように予定を決めたの。
アモスも大怪我を負ってるし、きっと覚えるまではゆっくりできると、リゼと隣の部屋に向かったわ。


「ワタシ、リゼを絶対に守るわ」
「オレだってそうだ、シューリを守るよ」
「うん、ふたりで頑張りましょうね」


リケイルがいつ見つかるのかは分からないけど、ワタシたちは少しずつ良い方向に進んだわ。
アモスが犠牲になるけど、元々彼のせいでもあるし、リケイルを追放した時も本人が言っていた【仲間にうそをつき騙して裏切っていたのだから仕方ない】と言う言葉を贈るわ。
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