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2章 成長チート
31話 デキレースの交渉
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「良いですな姫様、あなたは笑顔でいるだけで良いですからな」
「わ、分かってるわ爺や」
バーバルナ様と姫様の後ろを歩くアタシは、とても心配で心臓がどうかなりそうです。
でも、交渉は国王様とバーバルナ様が行うそうなので、きっと上手く行くと信じて、応接室に入って姫様の後ろに待機しました。
「お待たせした、ワシが国王の【ベラーラ・オン・ベラーラ】じゃ」
「お初にお目に掛かります、自分はラインハット国第1王子セバール・フォル・ラインハットです」
挨拶が進み、バーバルナ様の次に姫様が国王様から紹介され、姫様は言われた通りスカートを少しつまんで笑顔で淑女の礼をしました。
声も出さずに笑顔だけでしたが、良い笑顔を見せた所でソファーに向かい合って座り交渉の開始です。
「それでセバール王子、どのようなご用件で来られたのですかな?」
「実は、我が国の特産品に問題が発生しまして入手が困難になってしまい、つきましてはそのお手伝いをしてほしいのです」
「ほう、それは大変ですな、こちらで出来る事ならお手伝いしたいが、可能なのですかな?」
「そちらの協力は必須と思っています、どうですか?」
そんなお話を断るわけもなく、これなら相当な資金援助を貰えると、国王様は満面の笑顔です。
協力しましょうと言う国王様の言葉に、セバール王子はニッコリとした状態で、ダンジョン都市とその周辺の発展を望んできました。
「つきましては、信用のおけるお方が領地の経営をしてほしいのです」
「そ、それはまた突然ですな」
「そうでもありません、冒険者ギルドにも人員を補充するように伝えてあります」
冒険者ギルドの本部にまで交渉済みならば、こちらはもう領主を変えるだけですが、それはバーバルナ様が進めていて姫様がその領地に就けば良いだけとなり、国王様の返事を貰えば直ぐに進む状態でした。
それを知っていたのはバーバルナ様で、お膳立てが整っていてさすがと思いましたね。
「そこまでの段取りをしていたのですな」
「ギルド本部にお声掛けをしただけです、後はそちらのお返事次第でしたが、安心しました」
「それは良かったですな」
はははっと笑う国王様ですが、セバール王子が姫様に視線を動かし、領地を納める役目を王族にしてくれると国王様に伝えると、さすがに顔色を変えましたね。
婚約の約束をさせる為に連れて来ていたのに、これでは断れないと分かったのか、国王様も了承しました。
「ほんとに助かります、今後も良い関係を築いていきましょう」
「そ、そうですな、ははは」
笑えてない国王様ですが、支援金として前金で金貨1万枚を用意していると言われ、表情が一気ににこやかになったわ。
そして、特産品が作れる様になった時は、成功報酬として100万枚を約束してくれたんです。
「そ、そんなにですか!」
「ええ、それだけの価値がある事なんです、ですので良いお返事を貰いとても助かりました」
「そ、そうでしたか・・・いやいや、ご協力出来て良かった」
「はい、今後もよろしくお願いしますね」
交渉が終わり、握手を交わしたセバール王子様と国王様は、にこやかではありましたが、明らかに国王様が焦っていて、とんでもない事に巻き込まれたと思っている感じです。
でも、バーバルナ様もいますし、きっと悪い方向にはいかないと場所を宴会の席に移しても思っていたわ。
「パミュ、安心するのじゃよ」
「バーバルナ様、姫様が悲しむような事にはなりませんよね?」
「うむ、そこは問題はない、あるとしたら学園での立場じゃな」
バーバルナ様は、繁栄が進む場所の領主と言う事で、姫様が注目されると心配していました。
小国の姫と誰もが思うはずなのに、そんな心配はいらないと姫様が横で笑っていたけど、バーバルナ様はそうなると確信している感じです。
「爺や、どうしてなの?」
「それはのう、このテーブルに並んだ料理を見れば分かる」
「このテーブルって」
「ワシが連れて来た奴隷が作ったのじゃが、どれも美味じゃぞ」
そう言われて、アタシはバーバルナ様からお皿を受け取り、一口食べてから姫様にお渡ししました。
でも、アタシはその料理の美味しさに驚いていて、姫様はお皿の料理をすぐに完食されたんです。
「どうじゃな?」
「「すっごく美味しかった」」
「そうじゃろう、これはある者が奴隷に教えたのじゃが、これからどんどんと増えるのじゃよ」
それを聞いて、アタシはそれだけの技術者がいるのだと納得し、だからこそセバール王子が手を伸ばしたのだと理解したわ。
大国が支援するほどの技術者が我が国に現れたのなら、それはとてつもない力になるのが分かったのよ。
「でも爺や、その人って元はラインハットの住民でしょ?セバール王子はどうして引き渡しの交渉をしなかったのかしら?」
「それはのうベルーナ、その者の機嫌を損ねたくないのじゃよ」
「「え!」」
それだけの技術者と言うのが分かったけど、大国が下手に出る程とか信じられませんでした。
それは凄い力になるかもしれませんが、下手をしたら姫様が危険になるのではと心配が増してしまったわよ。
「心配そうじゃのうパミュ、しかしその必要はないぞ」
「ど、どうしてですか、大国が引き腰なんですよ」
「その者の目的がはっきりしているからじゃ」
その人は、ダンジョン都市ジュダルラを大きくする事を考えていて、だからラインハット国に戻らない事を決めています。
その為に動いているので、それを拒まなければ平気と言われたんです。
「つまり、何もしなくても言い訳ですか」
「その通りじゃが、悪い者がベルーナに寄って来るじゃろうから、そこは心配じゃな」
「それじゃあ、やっぱり危険じゃないですか」
「そこで、彼に会って友好関係を築いてほしいのじゃ」
その技術者ならそれが出来ると、バーバルナ様は確信していて、まずその人に会う事が決まりました。
初めての遠出の外出に姫様は嬉しそうですけど、その目的地がジュダルラとなると、危険な場所に飛び込む感じがして怖くなったわ。
「安心するのじゃよ、ワシと一緒なら安全じゃ」
「そうでしょうか?」
「勿論じゃとも、何せワシが連れて来た奴隷たちは優秀じゃからな」
これは秘密と言いながら、アタシと姫様は耳打ちで聞く為にバーバルナ様に顔を近づけたんですけど、その技術者が元7つ星冒険者で素晴らしい男と伝えられたんです。
姫様は会ってみたいと言いますが、悪い虫になりそうでアタシはやっぱり警戒しました。
「まぁ会って見れば分かるが、素晴らしい男じゃよ」
「そんな事言って、冒険者なんて姫様にはふさわしくありませんよ」
「そうかのう?」
バーバルナ様は、その人を国に取り込むことを考えているみたいで、ますます危険と感じ絶対に姫様を守ると決めたわ。
7つ星冒険者なんて会った事は無いけど、冒険者は何度も見ていてろくでなしばかりとバーバルナ様に断言しました。
「まぁ普通はそうじゃが、きっとパミュも気持ちが変わるはずじゃ」
「そんな事はあり得ません、姫様は他の頼れる王族か、それに劣らないお貴族様とご結婚なされるのが良いんです」
「そうかのう?」
バーバルナ様は、それでは幸せにならないと言いたげですが、絶対にその方が良いし、その為に学園に通うんです。
学園で親しくなり、心を通わせる愛のあるご結婚が好ましいと、アタシは絶対に引きません。
「ベルーナは8番目の姫君じゃからな、出来るだけ幸せになって欲しいのは確かじゃ」
「そうですよ、だからそんな野蛮人には指一本触れさせません」
「それを確かめる為にも、顔合わせは必要じゃからな」
そこは仕方ないとして、アタシは守る事を優先します。
次の日に出発しましたけど、3日後に寄った村では麦が育っていて、一緒に同行しているケーニュンと頬を抓り合って夢ではない事を確認しましたよ。
「わ、分かってるわ爺や」
バーバルナ様と姫様の後ろを歩くアタシは、とても心配で心臓がどうかなりそうです。
でも、交渉は国王様とバーバルナ様が行うそうなので、きっと上手く行くと信じて、応接室に入って姫様の後ろに待機しました。
「お待たせした、ワシが国王の【ベラーラ・オン・ベラーラ】じゃ」
「お初にお目に掛かります、自分はラインハット国第1王子セバール・フォル・ラインハットです」
挨拶が進み、バーバルナ様の次に姫様が国王様から紹介され、姫様は言われた通りスカートを少しつまんで笑顔で淑女の礼をしました。
声も出さずに笑顔だけでしたが、良い笑顔を見せた所でソファーに向かい合って座り交渉の開始です。
「それでセバール王子、どのようなご用件で来られたのですかな?」
「実は、我が国の特産品に問題が発生しまして入手が困難になってしまい、つきましてはそのお手伝いをしてほしいのです」
「ほう、それは大変ですな、こちらで出来る事ならお手伝いしたいが、可能なのですかな?」
「そちらの協力は必須と思っています、どうですか?」
そんなお話を断るわけもなく、これなら相当な資金援助を貰えると、国王様は満面の笑顔です。
協力しましょうと言う国王様の言葉に、セバール王子はニッコリとした状態で、ダンジョン都市とその周辺の発展を望んできました。
「つきましては、信用のおけるお方が領地の経営をしてほしいのです」
「そ、それはまた突然ですな」
「そうでもありません、冒険者ギルドにも人員を補充するように伝えてあります」
冒険者ギルドの本部にまで交渉済みならば、こちらはもう領主を変えるだけですが、それはバーバルナ様が進めていて姫様がその領地に就けば良いだけとなり、国王様の返事を貰えば直ぐに進む状態でした。
それを知っていたのはバーバルナ様で、お膳立てが整っていてさすがと思いましたね。
「そこまでの段取りをしていたのですな」
「ギルド本部にお声掛けをしただけです、後はそちらのお返事次第でしたが、安心しました」
「それは良かったですな」
はははっと笑う国王様ですが、セバール王子が姫様に視線を動かし、領地を納める役目を王族にしてくれると国王様に伝えると、さすがに顔色を変えましたね。
婚約の約束をさせる為に連れて来ていたのに、これでは断れないと分かったのか、国王様も了承しました。
「ほんとに助かります、今後も良い関係を築いていきましょう」
「そ、そうですな、ははは」
笑えてない国王様ですが、支援金として前金で金貨1万枚を用意していると言われ、表情が一気ににこやかになったわ。
そして、特産品が作れる様になった時は、成功報酬として100万枚を約束してくれたんです。
「そ、そんなにですか!」
「ええ、それだけの価値がある事なんです、ですので良いお返事を貰いとても助かりました」
「そ、そうでしたか・・・いやいや、ご協力出来て良かった」
「はい、今後もよろしくお願いしますね」
交渉が終わり、握手を交わしたセバール王子様と国王様は、にこやかではありましたが、明らかに国王様が焦っていて、とんでもない事に巻き込まれたと思っている感じです。
でも、バーバルナ様もいますし、きっと悪い方向にはいかないと場所を宴会の席に移しても思っていたわ。
「パミュ、安心するのじゃよ」
「バーバルナ様、姫様が悲しむような事にはなりませんよね?」
「うむ、そこは問題はない、あるとしたら学園での立場じゃな」
バーバルナ様は、繁栄が進む場所の領主と言う事で、姫様が注目されると心配していました。
小国の姫と誰もが思うはずなのに、そんな心配はいらないと姫様が横で笑っていたけど、バーバルナ様はそうなると確信している感じです。
「爺や、どうしてなの?」
「それはのう、このテーブルに並んだ料理を見れば分かる」
「このテーブルって」
「ワシが連れて来た奴隷が作ったのじゃが、どれも美味じゃぞ」
そう言われて、アタシはバーバルナ様からお皿を受け取り、一口食べてから姫様にお渡ししました。
でも、アタシはその料理の美味しさに驚いていて、姫様はお皿の料理をすぐに完食されたんです。
「どうじゃな?」
「「すっごく美味しかった」」
「そうじゃろう、これはある者が奴隷に教えたのじゃが、これからどんどんと増えるのじゃよ」
それを聞いて、アタシはそれだけの技術者がいるのだと納得し、だからこそセバール王子が手を伸ばしたのだと理解したわ。
大国が支援するほどの技術者が我が国に現れたのなら、それはとてつもない力になるのが分かったのよ。
「でも爺や、その人って元はラインハットの住民でしょ?セバール王子はどうして引き渡しの交渉をしなかったのかしら?」
「それはのうベルーナ、その者の機嫌を損ねたくないのじゃよ」
「「え!」」
それだけの技術者と言うのが分かったけど、大国が下手に出る程とか信じられませんでした。
それは凄い力になるかもしれませんが、下手をしたら姫様が危険になるのではと心配が増してしまったわよ。
「心配そうじゃのうパミュ、しかしその必要はないぞ」
「ど、どうしてですか、大国が引き腰なんですよ」
「その者の目的がはっきりしているからじゃ」
その人は、ダンジョン都市ジュダルラを大きくする事を考えていて、だからラインハット国に戻らない事を決めています。
その為に動いているので、それを拒まなければ平気と言われたんです。
「つまり、何もしなくても言い訳ですか」
「その通りじゃが、悪い者がベルーナに寄って来るじゃろうから、そこは心配じゃな」
「それじゃあ、やっぱり危険じゃないですか」
「そこで、彼に会って友好関係を築いてほしいのじゃ」
その技術者ならそれが出来ると、バーバルナ様は確信していて、まずその人に会う事が決まりました。
初めての遠出の外出に姫様は嬉しそうですけど、その目的地がジュダルラとなると、危険な場所に飛び込む感じがして怖くなったわ。
「安心するのじゃよ、ワシと一緒なら安全じゃ」
「そうでしょうか?」
「勿論じゃとも、何せワシが連れて来た奴隷たちは優秀じゃからな」
これは秘密と言いながら、アタシと姫様は耳打ちで聞く為にバーバルナ様に顔を近づけたんですけど、その技術者が元7つ星冒険者で素晴らしい男と伝えられたんです。
姫様は会ってみたいと言いますが、悪い虫になりそうでアタシはやっぱり警戒しました。
「まぁ会って見れば分かるが、素晴らしい男じゃよ」
「そんな事言って、冒険者なんて姫様にはふさわしくありませんよ」
「そうかのう?」
バーバルナ様は、その人を国に取り込むことを考えているみたいで、ますます危険と感じ絶対に姫様を守ると決めたわ。
7つ星冒険者なんて会った事は無いけど、冒険者は何度も見ていてろくでなしばかりとバーバルナ様に断言しました。
「まぁ普通はそうじゃが、きっとパミュも気持ちが変わるはずじゃ」
「そんな事はあり得ません、姫様は他の頼れる王族か、それに劣らないお貴族様とご結婚なされるのが良いんです」
「そうかのう?」
バーバルナ様は、それでは幸せにならないと言いたげですが、絶対にその方が良いし、その為に学園に通うんです。
学園で親しくなり、心を通わせる愛のあるご結婚が好ましいと、アタシは絶対に引きません。
「ベルーナは8番目の姫君じゃからな、出来るだけ幸せになって欲しいのは確かじゃ」
「そうですよ、だからそんな野蛮人には指一本触れさせません」
「それを確かめる為にも、顔合わせは必要じゃからな」
そこは仕方ないとして、アタシは守る事を優先します。
次の日に出発しましたけど、3日後に寄った村では麦が育っていて、一緒に同行しているケーニュンと頬を抓り合って夢ではない事を確認しましたよ。
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