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3章 商品チート

47話 リイル先生のお披露目

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「ベルーナ様、1位ですよ」


そうね~っと、喜ぶサネットに返事していましたけど、正直ワタクシ自身は驚いていました。
それと言うのも、座学以外はそうでもなかったと自覚していますし、突出した才能なんて持ってもいませんわ。


「これは、納得いきませんわ」
「どうしてですか?一番すごかったんですよ」
「サネット、ワタクシは勿論努力はしてきましたわ、ですが得手不得手はあって、その方たちと見比べたら劣っていたのです」


そして何より、平民の生徒が30人以内に1人もいないのです。
サネットは、ワタクシと一緒に勉学の復習をしていて、最低でも20位以内には入れるはずなのです。


「それは・・・先生たちの基準があるんですよ、きっと」
「サネット、分かっているでしょう」
「そうですけど・・・でも、評価なんてしてもらわなくても、ベルーナ様が分かってくれていれば良いです」


嬉しい事を言ってくれるサネットですが、ワタクシはその気持ちに応えたいのです。
リイル先生なら、隠したままで相手を味方に付けたりするかもしれませんが、王族としてそれではいけないと感じてますのよ。


「全員を見る事が出来ない以上、優秀な生徒を取り込む為にも必要ですわね」
「確かにそうかもしれませんが、先生たちと対立するのは良くありません」
「安心してサネット、対立なんて愚策は使いませんわ」


サネットにニッコリと微笑み、ワタクシは職員室に向かったのです。
ワタクシのする事は、この国を良くして大きくすることで、対立では小さくなってしまうから、ここは対立とは違う作戦を持って扉をノックして、ワタクシは職員室に入ったのです。


「おや?ベルーナさんどうされましたか」
「ごきげんよう教頭先生、ちょっとお話がありまして、聞いていただけますか?」
「ふむ、本来ならば後日と言うのが普通ですが、何か事情がおありな様ですね」
「ええ、これは早急にお話した方がよろしいと思ったのですわ」


お話を聞いて貰えることになり、奥の応接室に案内されたワタクシは、優秀な人材を求めている事を伝えました。
ですが、成績を見れば紹介できると教頭先生が言ってくれましたが、ワタクシはその言葉に反対したのです。


「数値が既に出ていますが、どうしてですかな?」
「教頭先生、ワタクシが1年生で1位と言うのはご存知でして?」
「それは勿論です、姫様の優秀さは担任も他の先生からも聞き及んでおりますよ」
「そうですか・・・それでしたら、ワタクシよりも優秀な人材がいた事はご存じかしら?」


教頭先生は、そんな人はいないと言いますけれど、それは確かにいるのです。
それは、誰でもないワタクシの最初の友達のサネットで、彼女の学習の速さは天才と言えるレベルでしたのよ。


「サネットさんですか?」
「ええ、ワタクシはそういった方たちを探していますの」
「ですが、彼女は平民です」
「教頭先生、今我が国は大きく変わろうとしています、そんな時人材がいなくては変われないのですわ」


どんな生徒にも得手不得手があり、それに準じた教育をすれば必ず力になると伝え、この国の未来は先生方に掛かっていると教えたのです。
平民が勉学に力を入れられないのも問題ですが、そこはリイル先生にお任せ出来ますし、ワタクシは直ぐにでも提案しようと思っていて、その次に学ぶ場のトップになるはずのこの学園は、一番の要なのだと宣言したのです。


「そう言われましても、我々にどうしろと言うのですかな?」
「簡単ですわ教頭先生、身分関係なく評価してくださいまし」
「そ、それは!・・・難しいですな」
「簡単ですわよ、分野を作りそれぞれで評価するのですわよ」


総合評価での順位が今までの成績で、そのまま残すとしても、分野で評価すればやりがいを感じると説明したわ。
そして、この後に控える学期末祭で表彰すると提案しましたわ。


「で、ですが貴族様方のメンツもありますぞ」
「あら教頭先生、学の無い平民に負ける様では、この国の未来があると思いますか?」
「そ、それはそうかもしれませんが」
「ではこうしましょう、貴族と平民に別れた評価も提示し、点数を競わせるのです」


その時はワタクシが発表し、お互いの頑張りを評価して見せると提案しました。
この時期にワタクシが学園に入学している事は、この国にとって好機である事を確信をもって宣言したのです。


「教頭先生、この国はもっと大きくならなくてはいけません」
「ど、どうしてそこまでするのですかな?」
「それは、ラインハット国と合同で行う事業があるからですわ」


まだ極秘の事で、さすがに教頭先生は焦り始めますが、もう少ししたら世界に知られる事で、明日にはリイル先生もここを訪れますから、今教えても問題はありません。
そして、国力の差は歴然で、他国は我が国を取り込もうとしてくる予想も伝えたのです。


「た、確かにそうなるでしょうな」
「そんな時、優秀でない者が対応したら、この国は無くなりますわ」
「優秀なモノが奪われると言う事ですね、分かりました」


やっと分かって貰えて、ワタクシはホッとしましたけど、問題は公表までに時間が無い事で、明日までに評価の資料を作らなくてはならない事でしたわ。
教頭先生は大変で無理と言ってきますが、そこでワタクシが密かに作っていた資料が役に立つのですわ。


「これをご覧になって教頭先生」
「あの、これは?」
「各学年の分野での評価ですわ」
「なっ!?」


教頭先生が驚いてきますが、ワタクシたちはこの為に、先生や生徒に聞いていて準備をしていたのです。
話をする時は、全ての準備を済ませてからでないといけないっと、ワタクシは当然胸を張りましたわ。


「さすが姫様ですな」
「それほどでもありませんわ教頭先生」
「これならすぐにでも出せます、お任せください」
「お願いします、表彰された方には、ワタクシからの褒美を考えていますので、どうかお願いします」


国の一大事として分かってくれたのか、早速先生たちを集める約束をしてくれて、ワタクシはホッとして退出したのです。
そして、王族寮に戻る途中でリイル先生たちの馬車が通り過ぎて、ワタクシは王族寮に走ったのです。


「リイル先生!」


馬車からまだ出ていませんが、リイル商会の紋章が刻まれた馬車だったから呼んでしまったわ。
扉が空いて、リイル先生が降りて来てくれて、ワタクシはもう嬉しくて仕方ありません。


「やぁベルーナ、待たせちゃったかな?」
「そんな事はありませんわ、良く来てくださいました」
「お祭りって聞いたから急いできたんだ、明日は期待しててね」


お祭り以上に、ワタクシは例の件を伝えたくて、お部屋でお茶でもっと誘いしましたわ。
ワタクシの提案を聞いて、直ぐに何かあるのを分かってくれてリイル先生は、他の方たちに準備を任せてついて来てくれました。


「ベルーナ様」
「パミュ、お茶を用意して、リイル先生がいらしたのよ」
「そうでしたか、今すぐご用意します」


部屋に入ると、パミュが慌てて準備してくれて、先生に事情をお話したのです。
納得してくれたリイル先生は、ワタクシの行動が満点だと褒めてくれたのですわ。


「ありがとうございます先生」
「うん、大変だろうけど、国を支える為だもんね」
「そうなのです、ですのでご協力をお願い出来ませんか?」
「僕に出来る事なら何でも言って、必ず力になるよ」


リイル先生のお力を借りれることになり、ワタクシに怖いものは無くなりました。
次の日、リイル先生のお店は大繁盛する事になりましたけど、ワタクシは表彰式の為の準備でお店に行けず、ちょっと不満でしたわ。
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