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3章 商品チート

61話 返して貰いに来た

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「ちょっと、まだ来ないのかしら?」


聖女と名乗るミサナって人が怒ってるけど、僕とカーリーは既に向かいのソファーに座っていて、彼女はそれに気づかない。
本心を見たくて、姿を見えなくする魔道具を使ったけど、やはりと言う感じの答えを貰ったよ。


「リケイル」
「ああ分かってるよカーリー」


ここからは、僕はリイルとして彼女の前に姿を見せる事にして、魔道具を解除した。
いきなり目の前に僕らが出現し、ミサナ・フォン・アスレーンは目を点にして動かなくなったよ。


「そんなに驚かないでください、これは警戒しているから仕方なかったんです」
「そ、そうでしたか・・・それで、警戒は解いてくれたのですかしら?」
「ええ、十分そちらの本心は分かったので、話す意味が無いのが分かりました」
「では、来てはいただけないのですかしら?」


聖法王国に行くのは了承したけど、それは彼女の思っている内容ではなく、占領という形となります。
僕はそれを説明して、彼女を拘束する事を宣告したよ。


「わ、ワタシは聖女なのよ」
「ええそうですね、ですが暴れたり逃げ出す可能性があります」
「わ、ワタシはそんなこと致しません」
「その言葉を信じろと言うんですか?」


僕らが来ない間に暴言を吐いてばかりの聖女に?っと、質問をしてみました。
でも、彼女は勿論とか言って来て、これが聖女かと呆れたんだ。


「じゃあ、約束を破ったら拘束しますからね」
「勿論よ、ワタシは逃げも隠れもいたしませんわ」
「そう願うよ」


それでは聖法王国に行きましょうっと、イスから立つと聖女は僕らに魔法の鎖を巻き付けて来た。
いきなり約束を破るとか、本当に分かってないと笑いそうです。


「何をニヤ付いているのかしら?」
「口調が戻ったねミサナ・フォン・アスレーンさん」
「様を付けるかしら、ワタシは聖女ですよ」
「人を人とは思わない聖女に、礼儀なんて尽くしませんよ」


動けないと思って余裕な様で、聖女は次の魔法の準備を始めた。
拘束した次は洗脳で、僕のおでこに手を添えて来たよ。


「その減らず口は、直ぐにきけなくなるかしら」
「それはこちらのセリフですよ」
「あらあら、知らないようかしら」


聖女の精神魔法系は効かないと笑って来たけど、効く方法があると僕は教えました。
でも、その答えを言う前に魔法を放ち、聖女の意識は消滅して、立ったまま動かなくなったんだ。


「やれやれね、警告も聞かないなんて」
「そうだねカーリー」


その方法は、聖女が放った精神魔法を反射させる事で、その効果は10倍にも膨れ上がるんだ。
なので、聖女ミサナ・フォン・アスレーンは、僕の指示通りに動く人形になったよ。


「こんな魔法をリケイルに使うなんて、本当に人でなしね」
「そうだね、仕方ないけどもう占領は確定だよ」
「クラーシュもそう言ってたけど、あいつら味方がまだいると思ってるわよ」


今から集めても遅いのにっと、遠くの人と話の出来る魔道具を出したカーリーは、起動させて僕に通話機を渡して来た。
クラーシュの名前を呼ぶと、魔道具の先からクラーシュの声が聞こえて、予想していたとか笑っていた。


「聖女が転移の魔法を使える事、教えてくれて助かったよクラーシュ」
「それは味方に付いた、聖女のシャカルさんに言ってあげてください」
「うんそうだね、そちらに着いたら伝えるよ」


危うく後手に回る所で、向こうが強気なのが良く分かったんだ。
でも、弱点も分かって、僕たちは先手を取り続けてるのが分かったんだ。


「やつら、戻る方には魔法は使えないんだね」
「その様ですリイル様、ですので戦力を分散させて他国に知らせるでしょう」
「いや、こちらに聖女の1人を転移させた時点で、戦争は起きないと思っているよ」


なるほどっとクラーシュが返答して来て、僕はそちらに向かう事を伝えました。
そして、到着するのが1月後とクラーシュは言って来たけど、そんなに掛からないと返答したよ。


「では、完成したんですね」
「ああ、まだ小さいから少人数で向かうけど、既にそっちに言ってるメンバーでも余裕だし、今から行くよ」
「了解しました、こちらも直ぐに動ける様に準備します」
「よろしく、3時間後に到着するからね」


通信を切り、僕たちは聖女を連れて外の庭に出ました。
1つの小屋に入ると、そこには馬車4台分の大きさがある船が用意されていた。


「飛空艇、出来上がって良かったわねリケイル」
「それも港のある街を取れたのが良かった、さぁみんなを呼んで来てカーリー」
「ええ、あなたの装備も持って来るわね」
「頼むよ、僕は飛空艇を起動させておくからね」


それぞれに別れ、僕は聖女を飛空艇の中に招き、端の床に座らせました。
本来なら、用意してある椅子に座らせるけど、こいつに人としての扱いはしません。


「さて、君に聞きたいんだけど良いかな?」
「はいリイル様、何なりと聞いてほしいかしら」
「それじゃあ聞くけど、大聖女は最後の手段を持っているかな?」
「はい勿論ですかしら」


神の槍と呼ばれる神具があるらしく、それを使えば街1つを跡形もなく消し去る事が出来るそうです。
つまりは、最後に自爆でもしそうなので、それも抑える事を決めたよ。


「それは無理かしらリイル様」
「それはどうしてかなミサナ」
「はい、神具グングーニーラの槍は、大聖女にしか持つ事が出来ません」


神と契約をする必要があるそうで、それを知っているから神を崇めているそうです。
助ける事はしてくれないのに、処罰の為の武器は与える、とても面倒な神様です。


「じゃあ、それを使わせない様にする方法はあるのかな?」
「それは、知らないかしら」
「知らないのと無いのは違うよミサナ、どっちかな?」
「第1位に知らせる事になっているかしら」


なるほど~っと、僕は納得しました。
そして、相手は準備も出来ていると分かり、クラーシュに対策をする様に通信をしたんだ。


「これで良し、後はカーリーたちを乗せれば終わりだね」
「そう思うかしら」
「そうだね、その後は君はどうしたい?」
「何も、ワタシには聖女である以外何もないかしら」


それはつまらないと、これが終わったら洗脳を解除して楽しみを探すように伝えました。
カーリーはファイアーエンブレムと獅子の牙PTを連れて来てくれて、僕たちは出発しました。
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