ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く

まったりー

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幸せのフォースステップ

61歩目 魔王城にて

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「すみませんティルバーナ先生、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「平気よ池田君、わたしが許してあげるわ、だから安心して」


わたしは勇者たちを連れ魔王城に戻ってきました、そして怯えてる6人を抱きしめて何とか宥めたの、でもずっとブツブツ言っているわ。


「わたしの魅了を受けて尚、こんな状態になって戻らないなんて、余程の訓練をしていたのね、さすが勇者ってところかしら」


6人の頭を撫でながらわたしは恐怖しています、もしあそこで別れさせなければ必ず私たちの邪魔になったでしょう。
勇者たちを魔法で寝かせて魔王様に報告しに部屋を出ます、通路の先にはわたしと同じ14将軍の1人である獣王ライオネスが4本の腕を胸の前で組んで待ち構えていたわ、嫌味を言われるのが分かっていたから目の前で止まり、同じ様に構えたわよ。


「何の用よライオネス」

「ガハハ!良い様にやられたらしいじゃないかサキーナ」


ライオネスが笑っているわ、わたしを笑いに来たのがまるわかりね、わたしは睨みつけ言ってやったのよ。


「あなただったら何とかしたと言いたげねライオネス」

「それはそうだろう、ワシのこの腕をもってすれば、勇者のなりぞこない共なんぞ物の数ではない!1分もしないうちに倒して見せるぞ」


ライオネスが舌なめずりをして余裕を見せているわ、でもわたしはそうは思わないわ、確かに勇者と一緒に召喚されたゴミカスどもは余裕よ、わたしもそう思ったから最初に勇者たちを孤立させて奪ったんだからね、でもあいつは違う、あれはバケモノよ。


「あなたは、魔王様と同じ位の威圧をする相手に勝てるの?」

「なんだそれは?」


ライオネスが訳が分からず聞き返してきたわ、わたしは同じことをもう一度言ったのよ、ライオネスが冗談だろって顔しているわね。


「ゴミカスたちにとどめを刺そうとした時、それほどの奴が現れたのよ、種族は恐らくアマゾネス、もし操っている勇者たちの中に逃げるのに特化したモノがいなかったら・・・わたしの命は一瞬で終わっていた、小細工が効かない本物の強者、そう思わせるほどの奴だったのよ」


ライオネスがそれを聞いて真剣な顔になったわ、そして雄叫びを上げたの、わたしはうるさくて耳を塞いだわよ。


「うるさいわねライオネス!このままじゃ魔王様の計画が成功しないのよ、ただでさえ失敗続きじゃないの!」

「ガハハハハ!良いじゃないかそんな事は、楽しみが増えて何よりだ」

「何を呑気な事を言ってるのよあなた!」


わたしはこの女に乗り移る時見ているの、ジョリバンでスカイドラゴンが光の柱に飲み込まれ倒された瞬間をね、向こうの大陸の中央にあるデンタルサーノでダライヤルとジャースワがやられたのだってきっとそいつの仕業よ、成功しているのは大陸の北側を占領した竜神のラゴーズと、今ここで笑っている獣王のライオネスだけ、他は魔王領で力を蓄えてるわ。


「それはお前たちが姑息な手を使ってチマチマやっているからだ、ワシの様に人種どもを食えばいいんだよ、そうすれば力が付くんだ、ラゴーズだって龍共に食わせている、あいつらは強いぞ」

「言ってなさいライオネス、そんな事を言ってると足元をすくわれるわ」

「サキーナの言う通りじゃぞライオネス」


わたしとライオネスが睨み合ってたら、横に植物モンスターの王アラディストが床から伸びてきたわ、こいつは子供みたいに小さいけど、本体がやられない限りいくらでも増殖する、今ここにいるのだって本体かどうか怪しいわね。


「いたのかアラディスト」

「儂はずっとここに居るんじゃよ、それよりも報告が来たんじゃ、炎龍王と土龍王と海龍王が何者かによってやられたぞい、そいつは西大陸におるようじゃ」


ライオネスがそれを聞きさすがに動揺しているわ、わたしはそうでもないのよ、だって風龍王であるスカイドラゴンが一撃でやられたのよ、力を蓄えている他の龍たちが倒されてもおかしくないわ。


「そ、そんなバカな話があるのか?」

「だから言ったのよライオネス、これで14将軍のうち6将軍が討たれたわ、これじゃ魔王様の計画を実行する魔力が得られない」


魔王様はこの世界を占領したら、他の世界も手中に収めようと考えているわ、その為に莫大な魔力がいるの、魔法陣の準備をモンバラがしてるからあいつは動けない、姫様の護衛をしてる2将軍も同様に戦力外、でも今は緊急事態だから動かせるはずよね。


「魔王様に進言するわ、残ったわたしたちで総攻撃を仕掛けるのよ、今のうちに脅威となる者を倒さないと後々まずいことになるわ」

「それなんじゃがなぁ・・・今大変なんじゃよ、姫様が家出してしまったんじゃ、それを追ってサモンとウモンがおらん、じゃから動けるのはワシらとラゴーズだけじゃ」

「そ、そんな!?探すならシャドウ族のアンゴルに任せなさいよ!あいつはいつも魔王様の横にいるだけじゃない!あの二人を戻して全軍で大陸に進軍しなくちゃダメよ」


わたしはアラディストにつかみかかって言ったのよ、でも苦しそうにしないままでアラディストが言ってきたわ、魔王様の指示だってね、わたしは力を緩めて魔王様に進言しに向かったわ。


「魔王様!お知らせがあります」

「あらあらサキーナおかえりなさい、勇者たちは無事こちら側に招けたかしら?」


魔王様が黒いマントをなびかせて玉座に座ったわ、白くて長い髪が黒い服とマントで更に白く輝いて見えます、わたしはそれだけでかなりの迫力を受けたの、美しくも力強い魔王様、力の一遍も出してないのにさすがわたしが唯一認めるお方です。


「勇者たちはこちら側に来ました魔王様、しかしながら魔王様、障害となる強敵がいたのです、ここは全軍で蹴散らすべきです、14将軍の2、サモンとウモンを戻し戦いに備えるのがよろしいと進言いたします」


跪いてわたしは進言します、魔王様からの圧力が強くなったのを感じてかなり辛くなったの、相当怒っているみたい、わたしは動けなくなってしまいました。


「それはわたくしが決めるのよサキーナ、あの子は大切なわたくしの子、何を置いても安全は確保しなくちゃいけない、その為にサモンとウモンがいるの、あなたが意見する事じゃないわ」


サモンとウモンは熱感知に優れているわ、ヘビの王と女王だから当然だけど、あの二人の戦力が使えないと奇襲は出来なくなるのよ。


「では、どうされるおつもりですか魔王様」

「そうねぇ・・・そいつも倒したいけど、人種の国が動き始めているわ、ここは魔王領の国境を固めて力を溜めた方がいいと思うの」


国境は下の大陸に近い4か所です、つまり残っていて動ける私たち4将軍にそれぞれ守れと言う事です。


「分かりました魔王様、至急部下を終結させ敵を迎え撃ちます」

「よろしくねぇ~」


わたしは玉座の間から出て少し歩いた場所の柱を蹴り倒したわ、怒りでどうにかなりそうよ。


「やはり魔王様の心はユニ様なのね、わたしに振り向いてもらうには何かしなくちゃ・・・守ってても勝てないのは明白、ここは敵が終結する前に蹴散らすのが良いわよね」


わたしの勘もそう言ってるわ、嫌な予感がヒシヒシと伝わって来るの、ここは邪魔な小娘を使って魔王様の目を覚まして貰うのが良いわ。


「ガハハハ!荒れているなサキーナ」

「ライオネス、あなただってそう思うでしょ、魔力を集める6将軍がやられ、力を蓄えていたわたしたちが残った、相手の力が下がっている今が攻め時よ」


人種の国で残っているのは2つ、他に他種族の国が幾つもあるけど集めても人種の国1つ分くらい、時間が経てばあいつらは直ぐに増え結集してくるわ。


「だがなサキーナ、こちらも戦力は半分だぞ、奇襲を専門とするサモンとウモン、それとアンゴルが動けず正面突破のワシたちが主力だ、そうなれば魔王様の計画が果たせなくなる、だから魔王様は守りを選択したんだ、ワシは戦いたいがこれも魔王様の為だ」


わたしも魔王様の計画には賛成だわ、でも姫様を探すために2将軍も使うなんて間違ってるわよ。


「分かったわ、じゃあわたしの部下を使ってユニ様を探す、どうせ国境を守る必要は無いわ、見てなさいよ」


わたしの守る国境は南西、そこはもうじきわたしの思うままになるわ、勇者がいるのですもの、残った人種の国もきっと言いなりよ、それに相手の戦力が少ない場所だから攻めてくる事もない場所。


「姫様!ユニ姫様お戻りください」


サキーナが城で策略を練っている時、魔王城から少し離れた場所で叫ぶエンシェントナーガがいました、その先には額に小さな角を生やしている少女がいます。


「嫌よサモン!ユニはシュワシュワを飲みたいの」


その少女はあっかんべーをして嫌がりナーガを振り切ります、ナーガの尻尾を躱しピンクの髪をなびいています、ナーガも負けじと尻尾で掴もうとし、何度目かにやっと捕まえる事に成功します、それを成功させたのは少女の前を遮ったエンシェントラミアがいたからです、彼女が同じ様に尻尾で少女を掴もうとして、バランスを崩してナーガの尻尾に捕まったんです。


「上手くいったなサモン」

「助かったよウモン、さぁユニ様聞き分けてください、城に戻りますよ」

「嫌よサモン!あそこの食べ物は美味しくないの、あのシュワシュワはね、ユニの唯一の楽しみなんだもん、それが無くなったらユニは死んじゃうの!」


少女がそう言って涙を浮かべています、ウモンとサモンは顔を見合ってため息を付いていますよ。


「泡の水を飲まなくてもユニコーン種のユニ様は死にません、いい加減聞き分けてください」

「なぁサモン・・・さすがに」

「ダメだよウモン!泡の水は敵国のサンドマリアにあるんだよ、城に無くなったのだって段々手に入れるのが難しくなったからだ、今はもっと厳重に警戒しているんだよ」


サモンは反対していますが、既にユニが泣いてしまっているので迷ってはいます、泣き止まない少女を見て諦めたのか、声を荒げます。


「ああもうっ!これじゃオレが悪いみたいじゃないか、分かったよ分かりました」

「ほんと?」


ユニが泣くのを止めて涙を流しながらサモンに聞きます、その顔を見てサモンは笑顔を見せユニの頭を撫でました。


「ほんとですよユニ様、ですが内緒で行きます、ユニ様はステータスとツノさえ隠せば人種に見えます、でもオレたちはダメです、それに奇襲は得意ですけど、戦闘となるとユニ様を守って戦うのはかなり厳しいです、大勢を前にしたら逃げるしかなくなります、だから慎重に行きますからね」


サモンはそう言って下半身を人の様に変化させました、顔も少し人に似せて鱗が少し見える程度です、ウモンもそれを見て同じように変身します、これならウロコ獣人と間違われるとふたりは頷き、サモンの収納魔法でズボンを出しふたりは履きます。


「さぁユニ様、ユニ様も角を隠しましょう、旅は長いですからね」

「うん、この帽子好き」


サモンからフワフワのニット帽を受け取ると、ユニはニッコリしながらかぶります、ふたりはそれを見てウットリして見ています。


「それでサモン、これからどうするのよ?」

「まずは向こうの大陸に渡らないと始まらないよウモン、でも直接サンドマリアがある西大陸にはいかない、まずは手前の大陸に渡ってマージョルって国に寄ろうと思う、もちろんその前に村を回って身分証を作ってからだ」


サモンがすらすらと先の計画を話しています、ユニは既に分かりませんって顔をしていますが、ウモンは納得してサモンを撫でています。


「さすがアタシの弟だ!頼りになる」

「よしてよ姉さん!オレはもう子供じゃないんだよ、それにユニ様の正体は絶対に気付かれちゃダメだ、何せ生き残りのユニコーン種なんだからね」


ユニの頭を撫でてサモンが心配そうです、ウモンもそれに頷いて補足とばかりに「ハーフでも角はユニコーンと変わらず希少品ですものね」と言っています、そしてニット帽を深くかぶるようにユニに言っていました。


「さて・・・まずは近くの街で旅の準備だよ、お金も手に入れないとだし、やる事は沢山あるからね」

「「はーい」」


こうして泡の水を求めて3人の旅が始まりました。
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