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【ウィルフレッドside】目の前に差し出されたもの

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「シア、おかえり」

「ウィルもおかえりなさい」




互いにおかえりと言ってキスをした
幸せだ・・・




「兄上、お義姉様!おかえりなさい」




く・・・
邪魔が入ったな・・・




「僕もおかえりなさいのキスをしたいです!」

「お前はダメだ!」




ダメに決まってるだろう!





「兄上だけずるいです!」




何がズルいだ
コレは俺だけの特権なんだぞ?




「お前はお前の相手を見つけてからだ」

「そんなぁ・・・」




自分の愛しいものを見つけてから存分にや・・・
なっ!?
シ、シア!
何故ルシアンにキスを!




「お、お、おかえりなさい、お義姉様!!」

「シ、シア!?俺の目の前で・・・しあぁぁぁっ!・・・うっ・・・うわぁぁぁ」





いくらなんでもそれはないだろう!
目の前でするなんて!




「ウィル・・・唇にはしてないわ?」

「でも・・・うっ・・・でも・・・」

「ここへのキスは、ウィルだけよ」




シアはそう言うが・・・
唇だけじゃなく、全てのキスは俺だけであって欲しいんだ
ここへのキスは俺にだけと言って、シアが俺の唇に人差し指をそっとつけてきた
拗ねてしまった俺は、思わず・・・




ぱくっ


「えっ?」





差し出されたシアの指を咥えて、じっとシアを見る
シアは驚いていたが怒る事もしないし、咥えられたままでいてくれるようだ
簡単に引き抜く事もできるのにしない




「ウィル・・・私、食べ物じゃないわ」



食べ物じゃないが・・・食べてしまいたい
はぁ・・・
シアを一旦部屋に連れて行こう・・・




「兄上・・・大胆・・・」




何か聞こえた気がしたがどうでもいい







「ウィル、いい加減離してくれないかしら?」





いやだ
離したくない
俺はまだ指を咥えたままいるが、シアは無理に引き抜こうとはしないんだな
・・・
やっぱりシアは優しい
俺は離したくないと指を咥えたまま首を振って意思表示する






「夕食であーんして貰いたいんじゃなかったの?このままだとできないわね」





そうだった!
しかし・・・
いや・・・仕方ないな・・・
そして今、俺はシアを膝に抱えてひたすらあーんを強請っている
父上もルシアンもして欲しいと強請ってくるが、絶対にさせない!
これは俺だけだ
ルシアンはともかく、父上は母上に強請ればいい
どいつもこいつも、シアに甘えたい奴ばかりで困る・・・






ーーーーーーーーーーーーーーーー

次回

なぁ、本当に行くのか?





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