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【クラウディアside】2番目でしかない私

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「お嬢様、本日も素敵ですわ。きっとこれで素敵な殿方のお心を射止めることができますわ!」


メイドの賛辞が飛ぶ
褒められて嬉しくない訳ではないけど、特に嬉しくもないわね
私はクラウディア・レバノール
レバノール侯爵家の次女だ
綺麗で優秀な姉のクリスティアと一つ違いで、いつも比べられて育ってきた
いつだって皆、クリスティアを一番に褒め、クラウディアと付け足すように褒められてきた
本当の意味で誉めてくれたこと、認められた事などなかった
姉のクリスティアはその美しさと、優秀さとで、昨年社交界にデビューすると、瞬く間に華となった
第一王子のレオナルド殿下に見染められ求婚されている
だが、想う人がいるのだといつも断りを入れる
お姉様の想い人って誰なんだろう・・・




そんな事を考えて馬車に揺られている
目の前には輝くほど綺麗に着飾られたお姉様がいる
なんだかデビュタントの私が霞んでしまうわ・・・
そんな事を考えていた




王宮で開かれる夜会は、少しだけ、いや、随分と心躍った
そして現れた王子殿下を見た時、何故お姉様は断り続けているのだろうと、疑問に思うほど殿下は美形だった
たくさんのご令嬢に囲まれるも、その瞳はお姉様だけを捉えていた
そんなに想ってもらえるなんて、羨ましいと思ったほどだ
私のデビュタントはお姉様に霞められて終わるのね・・・
私はいつも脇役でしかない
ここにいても惨めだわ
外の空気でもあたろうかしら
庭園が綺麗だって聞いたから、行ってみよう
どうせ、私が一人になろうがどこへ行こうが気にする人なんていないわ



えっ!?な、何!?



庭園をゆっくりと歩いていると背後から力強く地面に押し倒された
ドレスを捲り上げられ、裾から手が侵入してきて、足を撫でられた
き、気持ちわるい!




「あぁ、嬉しいな。僕を誘うために一人になってくれたのだろう?君とこうして触れ合いたかったんだ・・・高嶺の花である君に近づく機会が中々来なくてね。でも、君は僕に分かりやすく合図をくれていたよな?嬉しかったよ・・・あぁ、すぐに気持ち良くしてあげる。僕を受け入れてくれるかい?」



背後から気持ちの悪い声で囁き続けられる



「や、やめてください!」

「どうして、そんな事を言うんだい?僕に視線を送ってくれていたじゃないか。王子に求婚されたって、僕を想ってくれて断り続けてくれていたのだろう?早く孕ませたいよ。僕だけのクリスティアになってくれよ」




そ、そんな・・・
こんな時でさえ、お姉様なんだわ・・・
私はお姉様と間違えられただけ
私に好意を寄せての事ではなかった
振り返って顔を見れば、相手はマンティス伯爵家の次男、ロータス様だった




「き、君は・・・クラウディア嬢・・・僕はなんて事を・・・間違うだなんて!いや、君に誘われたんだ、君が悪い!クリスティアと違って君は身持ちが悪いんだな!あぁ、そうだ、君に嵌められたんだ!」



私を地面に縫い付けるよに押し付けたまま、ロータス様は、嵌められたと大声で叫んでいた
一体、何が起こっているの・・・





ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

【クラウディアside】

お姉様のお名前をクラウディアだと勘違いして覚えてしまったという事ではないのですか?




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