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【クラウディアside】似ているのは後ろ姿だけ
しおりを挟む「ぐぇっ!」
な、何!?何が起こったの・・・
私に覆いかぶさっていたマンティス伯爵令息のロータス様は、少し離れた場所で地面にうずくまっている
「遅くなった、すまない・・・」
煌めくような金色の髪に、青い瞳・・・の美男子が私の事を心配そうに見ている
「君が一人で庭園へと出て行こうとしたのが見えたから、危ないからと声をかけようと思ったんだが、途中で見失ってしまってね。間に合ってよかった」
暗がりで、私の顔なんて見えていない
きっと、またお姉様と間違って、助けて恋仲に発展すればという想いを寄せていらっしゃるのよね・・・
そうよね、後ろ姿だけはお姉様と見分けがつかないもの・・・
「・・・あ・・・ありがとうございました」
失意に愕然としながら、その言葉を絞り出すのにやっとだった
きっとこの事はマンティス伯爵令息から、自分の都合のいいように噂で広められるんだわ
お姉様にも迷惑がかかる
醜聞の広がった女なんて誰が欲しいと想うかしら
修道院にでも入ろうかな
俗世と切り離されたほうが、見劣ってるとか、2番目だなんて思わず済むもの・・・
・・・えっ・・・
なぜこの方は私を抱きしめているの・・・お姉様ではないのに・・・
「こんなに震えて・・・怖かったよね?途中で見失わなければ・・・くそっ・・・」
そうよね・・・
格好良く助けていれば、お姉様だって惚れていたかもしれないわ
いや、お姉様の想い人はこの方かもしれない
その後は、この方が呼んだであろうお父様とお母様が駆けつけて、私は屋敷に帰ってきた
お姉様は・・・お見かけしなかったけれど・・・夜会楽しんだのかな
それから1週間が経った
マンティス伯爵令息のロータス様は、相手の合意なく事に及ぼうとして、婦女暴行の罪で投獄され、伯爵家からも追放の身となったらしい
私が帰った後に、すぐ騎士達に捕まり投獄されて、私が襲われたという噂は広まってはいなかった
きっとあの方も、お姉様を助けたと思っている
鼻高々よね・・・
「お前に縁談の話が来ている」
「まだそんな気にはなれません」
「だが、公爵家からの縁談を断る事はできん」
「では、お姉様にお嫁に行って貰った方がよろしいのでは?」
「先方は、お前を指名してきている」
「お姉様のお名前をクラウディアだと勘違いして覚えてしまったという事ではないのですか?」
「何故お前はそんなに自身を卑下するのだ」
「・・・」
俯くしかできなかった
きっと、望まれた花嫁ですと嫁いで、望んだのはお前じゃないと突き返される
そんな未来しか見えない
「・・・お断りしてください」
「ダメだ、一度会ってみろ。彼は好青年だぞ?」
「だったら、尚更です。穢された女など、公爵家にはふさわしくありませんから」
そう言って、私はお父様の執務室から辞した
きっとあの方だってお姉様を望んでいる・・・から・・・
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次回
【クラウディアside】
君とは、政略結婚などと思われたくなくて・・・
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