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休暇二日目③思い詰めている事

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「ありがとう、シア」


辛そうな表情を見せたウィルフレッドを、レティシアは優しく抱きしめた。ずしりと重い話ではあったが、ブルーノに揺られて王都の街を進んでく。


「副騎士団長様は・・・今、どうなさっているの?」

「レイバンも牢に・・・俺の休暇明けにどうするかを話し合うことになっている」

「そうなのね。副騎士団長様は、陛下に恨みでもあったの?」

「レイバンは・・・元は孤児だったんだ。だが、元からそうだったわけではない。幼かった頃は両親も健在で、尚且つ子爵家の一人息子だった」


ウィルフレッドはレイバンの過去を語っていった。レイバンが今回の強行手段に出た原因となった争い。そして、一人になってしまった事の経緯。


「副騎士団長様は、きっと、民の苦しみを陛下に知って欲しかったのよね?自分と同じ経験を、子ども達にして欲しくなくて」

「あぁ、そうだろう。結局レイバンは、陛下の命を奪うことはしなかった。捕まるなら俺の手でと思っていたらしい。ただ話をするだけでは、煮え切らない思いがあったのだろうと思う。俺はそれに・・・気付いてやれなかった」

「ウィルは何も悪くないわ」

「でも・・・」


レティシアの体を支えるように抱きしめていたウィルフレッドの手が、小刻みに震え出した。


「どうしたの?」

「師匠が・・・」

「師匠・・・ゲオルグ様がどうかしたの?」

「レイバンに利用されたマクシミリオンが、敵国の急襲があると言った事で、北の辺境へ援軍を出して貰ったんだ。開発していた通信機が陽の目をあびたんだが・・・マクシミリオンが利用されている事に気付けば・・・レイバンが企んでいる事に気付けていれば・・・師匠は怪我をせずに済んだかもしれないんだ。軍の侵攻だと思い込んでしまったのがそもそもの間違いだった。軍というにはお粗末な集団だったらしいのだが・・・片付けたあとに、残党が残っていたらしく・・・隙をつかれて放たれた矢から北の辺境伯を庇って怪我を負ったらしい・・・」

「そんな事が・・・それで今朝から暗い表情をしていたのね?」

「・・・シアが辺境の師匠のところに行きたいと言ったのには心臓が止まるかと思った・・・」

「合わせる顔がないとでも言いたいの?」

「あぁ・・・」

「きっとゲオルグ様はそんなこと気にするなって言うわ」

「俺もそう思うよ・・・でも、流石にな・・・気にせずにはいられないさ」


レティシアに、事件の顛末を話した事で、心が随分と軽くなった。西の辺境伯であるゲオルグに会いに行く事に、どんな顔で会えばいいのかわからなくなっていた。だが、レティシアが一緒にいてくれる。ただそれだけの事が、今は何よりも心強かった。






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次回

ブルーノと比べるな


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