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上階の寝室

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「まぁ、そんな話はさておき、父上のところに行くんだろう?」

「えぇ、二人の処罰に・・・お耳に入れておきたい事もありましてね」


ウィルフレッドは浮かれ顔から一点、神妙な面持ちになる。


「浮かれる話ではない様子だね」

「えぇ、殿下にも知っておいて頂きたい事ですね」

「そうか、では、行こうか」

「はい」


先に歩き出したアルバートの後ろをウィルフレッドはついていく形で歩く。これから話す事。あのソハナスの宰相との話だ。隣国の状況。レティシアの母親。国王にどう話すか、ウィルフレッドはさまざまな事を巡らせながら歩いていた。そして二人は、あの事件後使用されなくなった王の寝室であったさらに上階の部屋へと来ていた。


「ここは・・・?」

「あぁ、ウィルフレッドはいなかったから知らないのか。そのあたりも含めて引き継ぎしないとな。父上の寝室は今はこちらの部屋を使用している」

「そうなのですか。あんな事があったのですから当然と言えば当然ですね」

「思い出して気が休まらんとか思ってるのか?父上はそれぐらいで弱る方ではない。騎士でも諜報員でも暗部でもない。ましてやただの一介の貴族の子息が潜り込めるほどの造りだったと言う事が問題なんだ。今は部屋と、繋がった王族と近衛のみが知っている隠し通路を改装しているところだ」

「改装ですか」

「自身はそのままでも構わないとおっしゃったが、後々兄上と、続きの間はエリスティア王女が使用される事になる。子が生まれると言った後継の事で反対派が害を成す事を危惧されていた。その為にも今から準備しておくのも悪くはないだろうと」

「そういう事なのですね」


アルバートとウィルフレッドはドアに向き直る。


「父上も起きてらっしゃるだろう。行こう」

「はい」


コンコンコン


ノックの後、すぐに室内から若い男の声がする。


「どちら様でしょうか?」

「アルバートだ。ウィルフレッドを連れてきた」

「かしこまりました、今お開けします」


ガチャリと音を立て、ドアを開けたのは近衛騎士の第一隊隊長であるアイオロスだった。


「団長・・・」

「アイオロス・・・騎士団を不在にした間、迷惑をかけたな」

「迷惑だなんて!」


ニコニコと二人の間を見ていたアルバートが声をかける。


「上司と部下の馴れ合いは後でいくらでもやればいい。父上が誰が来たんだと気になってるんじゃないか?」


「失礼しました」


ウィルフレッドは痛いところを突かれ、タジタジとした様子で軽く礼をした。


「では行こう」


アルバートに続き、ウィルフレッドも中へと続いていった。





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