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それに足ると認められた時

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国王は、イズヴァンドの地に足を運んだウィルフレッドに問いかけた。


「えぇ、数人でしたが住民を確認いたしております」


その返答にレイバンが反応を見せた。


「確認・・・実際見たかのような言い方ですね・・・」

「あぁ、イズヴァンドに行って来た」

「!?」

「シアと二人きりの旅をしていたんだ。シアがいろんな所を巡りたいって言うから、あちこち回る中、イズヴァンドにも立ち寄った」


レイバンはその返答を聞き、それが本当の事なのだと知った。何年も足が遠のいていた自身の生まれ故郷であり、育った土地。数人でも、見放された土地で命を繋ぐものがいる事。レイバンはかつて自身を受け入れ育ててくれた孤児院を思い出していた。


「うむ。レイバンよ、経営は困難であろう。立て直しにも相当の時間と根気が必要となる。だが、私にはお前以外あの地を任せられる者が浮かばない。任されてはくれぬか?」


国王に声をかけられ、レイバンはハッと意識を戻す。


「私は罪を犯しました。そんな人間が領地を持って、民の為になどと許されるのでしょうか?」


レイバンは苦し気な表情で国王を見つめる。


「許されるも何も、あの地は元からお前が治めるはずだった地だ。争いの地などにされなければ存命であった伯爵夫妻と共に経営に携わっていたであろう。伯爵の爵位は王家預かりになっている。レイバンよ、せめてもの償いだ。伯爵となって余に力を貸してはくれぬか」


国王は、しかっりと、しかし伺いながらと言った様子で、決してレイバンに無理強いしようとはしなかった。


「私には領地を立て直す力も能力も足りません。難しいかと・・・」

「そのことに関しては、北辺境伯のクレイドル・アンバー。私の義理の弟が後見になる事を了承してくれている。隣の領地で行き来もしやすい。何かあればいつでも頼って欲しいと」


レイバンは考えた。自身は罪を犯した身。このまま言われるがままに受け取るものとしては大きくないだろうか。


「陛下、ありがたい話にございます。ですがひとつだけ頼みがあります」

「うむ、申してみよ」

「領地は全力で再建に臨もうと思います。しかし、爵位は受け取るにはいきません。結果を、これからのイズヴァンドをしっかりと見ていてください。そして、それに足る人間だと思われた時に爵位をお授けください」

「そうか・・・よかろう。それまでは王家預かりとする。安心して領地の再建に力を尽くせ。そして困ったら、一人で抱え込まずにいつでも頼れ、いいな?」

「ありがたきお言葉です」


レイバンは深く礼をした。下を向いていてその表情は誰にも見えないが、瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。




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