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19、仕掛けは大事
しおりを挟む「お嬢様、公爵様より言付かっております。赤目のカラスの事はカタが着いた。好きなようにとの事です」
「報告ありがとう。さすがお父様ね。さて、私も仕掛けを致しませんとね」
オーロラは便箋をとり、手紙をしたためる。相手は隣国の王女マルティナ。隣国とは親交も深く、王族に女子がいないことから、マルティナが国に滞在する際、2大公爵家の子女がお相手をすることがあった。その中でもオーロラは、歳も同じで気が合うため、今では親友として仲が良い。
「エリス、これを届けさせてくれる?」
「はい、かしこましました」
「これで、後始末で王家に恩が売れるわね・・・次は・・・」
さまざまなピースが繋がり、オーロラの中で組み合わさっていく。
「オーロラ様、一体何をお考えで?」
「ノアール、これは物事をあるべき場所、適切な場所に配置する為の大事な作業よ。最後には一片の憂もなく事を終えたいの」
「すべてはオーロラ様の頭の中という事ですか」
「ふふっ、あ、そうだわ。レオン殿下を公爵家に招待しましょう。お茶でもどうかしらって」
「レオン殿下ですか?」
「ええ、折角ですもの、一気に片付けましょう。レオン殿下には失恋をして頂きたいの」
「失恋・・・でございますか?」
「えぇ、大事な仕掛けよ。役に立ってもらいましょう」
ノアールは、何を画策しているのかが理解できず、ただオーロラを見ていた。
「エリス、今日はお姉様は本邸にいらっしゃるわよね?少しお話がしたいわ。こちらに呼んでくれる?」
暫くすると姉のセレーナがサターン邸にやってきた。
「どうしたの、わざわざ呼ぶなんて珍しいじゃない」
「えぇ、ちょっとこれからの事でお姉様のお気持ちを伺いたくて」
「私の気持ち?何の事?」
「単刀直入に聞くわ。お姉様はどこにお嫁に行きたいの?」
「ちょ、ちょっと、いきなり何なの!お茶を噴き出すところだったわ」
セレーナは、オーロラの急な問いに紅茶を詰まらせたようでむせている。
「単なる確認よ?でも、とても大事なね。お姉様、サイラス様の事、ずっとお慕いしていたでしょう?何の心配もなく嫁げるようにしたくて、協力して差し上げたいの」
そう言うとオーロラはニコリと笑みを作る。
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次回
お姉様は赤い薔薇がお好きですわ
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