影は落ちました

agapē【アガペー】

文字の大きさ
上 下
24 / 116

19、仕掛けは大事

しおりを挟む


「お嬢様、公爵様より言付かっております。赤目のカラスの事はカタが着いた。好きなようにとの事です」
「報告ありがとう。さすがお父様ね。さて、私も仕掛けを致しませんとね」

オーロラは便箋をとり、手紙をしたためる。相手は隣国の王女マルティナ。隣国とは親交も深く、王族に女子がいないことから、マルティナが国に滞在する際、2大公爵家の子女がお相手をすることがあった。その中でもオーロラは、歳も同じで気が合うため、今では親友として仲が良い。

「エリス、これを届けさせてくれる?」
「はい、かしこましました」
「これで、後始末で王家に恩が売れるわね・・・次は・・・」

さまざまなピースが繋がり、オーロラの中で組み合わさっていく。

「オーロラ様、一体何をお考えで?」
「ノアール、これは物事をあるべき場所、適切な場所に配置する為の大事な作業よ。最後には一片の憂もなく事を終えたいの」
「すべてはオーロラ様の頭の中という事ですか」
「ふふっ、あ、そうだわ。レオン殿下を公爵家に招待しましょう。お茶でもどうかしらって」
「レオン殿下ですか?」
「ええ、折角ですもの、一気に片付けましょう。レオン殿下には失恋をして頂きたいの」
「失恋・・・でございますか?」
「えぇ、大事な仕掛けよ。役に立ってもらいましょう」

ノアールは、何を画策しているのかが理解できず、ただオーロラを見ていた。

「エリス、今日はお姉様は本邸にいらっしゃるわよね?少しお話がしたいわ。こちらに呼んでくれる?」

暫くすると姉のセレーナがサターン邸にやってきた。

「どうしたの、わざわざ呼ぶなんて珍しいじゃない」
「えぇ、ちょっとこれからの事でお姉様のお気持ちを伺いたくて」
「私の気持ち?何の事?」
「単刀直入に聞くわ。お姉様はどこにお嫁に行きたいの?」
「ちょ、ちょっと、いきなり何なの!お茶を噴き出すところだったわ」

セレーナは、オーロラの急な問いに紅茶を詰まらせたようでむせている。

「単なる確認よ?でも、とても大事なね。お姉様、サイラス様の事、ずっとお慕いしていたでしょう?何の心配もなく嫁げるようにしたくて、協力して差し上げたいの」

そう言うとオーロラはニコリと笑みを作る。



ーーーーーーーーーーーーーーー

次回

お姉様は赤い薔薇がお好きですわ

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ヤクザの鉄砲玉が異世界に転移した話

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:139

伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,128pt お気に入り:28

花影絵

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:3

破戒聖者と破格愚者

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:541pt お気に入り:2

家飲み?宅飲み?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:5

男主人公の御都合彼女をやらなかった結果

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,642pt お気に入り:8,376

処理中です...