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【アリエルside】彼女の安全は
しおりを挟むリシェリアの手当てが終わり、ロストが質問を投げかけると、彼女は一人だという事と、帰る場所がないと言う。
名前はリシェリアか。可愛い名だな。家名を言いかけてやめたが、ブル・・・と聞こえたな。どこの家だろうか。ブルライナ公爵家、ブルトゥール侯爵家、あとはあの小さなご令嬢がいたブルスト侯爵家か。もう何年も王都から離れているから定かではないな。帰る場所がないと言うことに対して、理由を話してはくれんようだな。
ロスト医師、そんなに矢継ぎ早に質問するな!リシェリア嬢が可愛いから気になるのはわかる。俺も知りたい事だらけだ。彼女が困ってるじゃないか。
なに!死ぬつもりだっただと・・・。こんなか弱い女性に死ぬ考えを持たせるような事をしたのはどこのどいつだ!ひねり潰してやりたい!家の事情を話したがらないという事は、屋敷で虐げられていた可能性もあるな。令嬢としての役割?娘としての役割?離縁かなんかしたのか?
ロスト医師が寝泊まりする場所を聞いているが、女性騎士用の宿舎は満室で埋まっているんだよな。
「じゃあ、男性騎士の独身用の宿舎しかないという事か・・・」
ロスト医師は何考えてるだ!あんな獣の檻みたいな飢えた男連中の中に、こんなに可愛いリシェリア嬢を入れてしまえば一晩で食われちまう!それだけは絶対許さん!彼女の安全は俺が守る!
リシェリア嬢は気にするなと言うが、気にならないわけがないだろうが。ここは王都ではない。辺境という地は粗暴な者も多ければ、血気盛んな奴も多い。
一番野獣のような外見をしている俺が言うのもなんだが、リシェリア嬢には危なすぎる!あんな事やこんな事・・・うっ・・・想像してしまった・・・。あぁ、心配だ!騎士団の中も危ないが、街も危険だ・・・。
そうだ!俺の屋敷は安全だ!俺が守ってやれる、俺の屋敷に住めばいい!そしたら毎日リシェリア嬢に会えるじゃないか。おはようって言って、おやすみも言って、屋敷を出るときはいってらっしゃいって言ってもらえるかもしれない。夢のようだ・・・。
「団長の屋敷に滞在してもらえればいいんじゃないかな?」
「はぁっ!?俺の屋敷に!?」
俺、口に出てたのか!?違うよな?ロスト医師は人の心が読めるのか!?ヤ、ヤバい、バレたのか!?しかし、いいのか?俺には単なる役得だぞ。彼女が俺の屋敷に・・・考えただけで幸せしかないじゃないか!!もう彼女を囲ってしまいたい!
ロスト医師が勝手に決めてしまった。ロスト医師、今回ばかりは貴殿に感謝する、称賛したい、いや、褒美を与えなくてはな!
今まではほとんど屋敷に戻ることもなかったが、彼女が屋敷にいるなら毎日でも帰る。なんなら屋敷から出たくない!いつしか一緒にお茶とかできたらな・・・。
どんどん夢が膨らむ熊さん。
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次回
待っててくれるか?からの行っちゃうんですか→何かに打ち抜かれた
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