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14、執務室にて

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医務室での手当てが終わり、執務が終われば迎えに来ると言って出ようとしたアリエルの服を、またしてもリシェリアが掴んでくる。結局、執務室に同行させる事になった。

「何もないが待っててくれ」

アリエルはそう告げると、執務室の横にある応接用のソファにリシェリアをおろす。リシェリアが落ち着いてきたのを見て、自身は執務に取り掛かるが、アリエルはソワソワしていた、さっきからずっと視線を感じるのだ。

「リシェリア嬢・・・なんだろうか?」
「えっ、あっ、すいませんつい・・・」
「あ、いや、いい」

見ているのがバレてしまったとばかりに、リシェリアは俯いてしまう。アリエルは、まさか自分を見つめていたなんてあるはずがないと自身に言い聞かせ執務を続ける。しばらく集中していたが、ふとまた視線に気付く。

「リシェリア嬢・・・退屈か?」
「あっ、すみません。私ったらまた・・・」

そう言うとまた俯いていしまったリシェリアの、またという単語をアリエルは聞き逃さなかった。逆に今度はリシェリアをじっと見つめてしまっていたが、アリエルは自分がそんな行動をとっていることに気付かず、ふと顔を上げたリシェリアとパチっと目があった。

「あっ、すまん、何でもない」
「は、はい・・・」

アリエルは無表情を貫こうとしたが、顔が赤くなっていることは隠せなかった。赤面したのも落ち着き、執務もあと少しというところで来訪者があった。

「失礼します。団長、報告書をお持ちし・・・あら?お邪魔でした?」
「う、うるさい!早く報告書を置いて出ていけ!」
「そんな追い払うみたいに言わないでくださいよ」

この男は辺境騎士団の副騎士団長をしているルクスト・マクベル。隣領の伯爵家の次男で現在24歳。若いが腕も立つ上人望も厚い為、アリエルが取り立てて副騎士団長に任命した。

「へぇ、とっても可愛いらしいお嬢さんですね。お名前を伺っても?」
「リシェリアと申します」
「リシェリア嬢、なんとも可愛らしい・・・しかも声まで可愛いなんて!」

ルクストは目をキラキラ輝かせてリシェリアを見ている。

「早く、報告書を寄越せ!」
「団長、そんなに大声出さなくても聞こえますよ。なに怒ってるんですか?」

ルクストはしぶしぶアリエルに近寄り報告書を渡す。

「でも納得しましたよ。騎士達の噂を聞いてまさかとは思ってましたが」

「噂?噂とはなんだ?」

ルクストは玩具を見つけたと言わんばかりにニヤリと笑ってみせる。

「いやね、森で女性を保護したはいいが、団長しか受け付けない令嬢だったと聞いて、その上、医務室に運ぶのもここに連れてくるのもずっと団長が抱きかかえて過保護に面倒見てるっていうじゃないですか」




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次回


【アリエルside】

今日は書類仕事も楽しい→邪魔が入った!→俺だって!
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