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【アリエルside】幸せな執務室に邪魔者が
しおりを挟むはぁ、緊張する・・・。部屋に女性と二人きりなんて初めての事だ。しかし先程からずっと視線を感じるんだが・・・なんか見られてないか俺?違う、彼女が向いてる方向がただこちらなだけだ。きっとそうだ・・・。
「リシェリア嬢・・・なんだろうか?」
「えっ、あっ、すみませんつい・・・」
ついってなんだ?えっ、見ていたってことなのか!?いや、ただ退屈しているだけだ、きっとそうだ。とにかく早く執務を終わらせよう。屋敷に連れて行って休ませてやらんとな。
ん?また見られてる・・・
「リシェリア嬢・・・退屈か?」
「あっ、すみません、私ったらまた・・・」
えっ?またって言わなかったか!?これは自惚れていいのか!?俺を見ていたという事なのか?いやしかし、俺は見惚れるような見目のいい男でもないんだぞ?一体彼女は何を見ていたというんだ・・・。
はっ!しまった・・・俺の方がじっと見つめてしまっていた・・・いやしかし彼女は本当に可愛らしい。こうやっていつも執務室にいてくれれば書類仕事も楽しいな、ウンウン。
くそ、誰だ!邪魔が入った・・・折角彼女に癒やされていたというのに。ルクストか、早く帰れ!書類だけ置いてさっさと行け!
くそ!気安く声をかけやがって。お、俺だって彼女を褒めたい!そのふわふわと揺れる髪に、空色の澄んだ瞳は引き込まれそうだ・・・声は鈴の音でも聞いているかのように可愛い。名前は、名前は、心の中ではリシェと呼んでいる!実際に呼びたい!ルクスト、そんな興味を持った目でリシェを見るな!早くその手に持ってる報告書を寄越せ!!
「団長、そんなに大声出さなくても聞こえますよ。なに怒ってるんですか?」
うぅ・・・俺は羨ましいんだよ。易々と女に近づき声をかけれるお前が。女を扱い慣れてないとはいえ、俺だってリシェと仲良くなりたいし、褒めまくってこれでもかって甘やかしたいんだよ!
「いやね、森で女性を保護したまではいいが、団長しか受け付けない令嬢だったと聞いて、その上、医務室に運ぶのもここに連れてくるのもずっと団長が抱きかかえて過保護に面倒見てるっていうじゃないですか」
そうなんだよ!聞け!俺を選んだんだよ!誰でもない俺をさ。信じられるか?今まで数多の女から怖がられ嫌われた俺を、リシェは服を掴んでまで引き止めるんだぞ?いいだろう。羨ましいだろう?過保護にもなるさ!俺は彼女を獣達から守る騎士だからな!!
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次回
もう我慢ならん!気付いたら取り上げていた
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