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【アリエルside】振られる事の覚悟も辛い
しおりを挟む「私は国王にならなくてもかまいません。リシェリアを妻にしたいのです。私の妻はリシェリアしか考えられません」
そんなにリシェがいいのか・・・しかし、無理だぞ?リシェは俺以外に拒否反応を示すんだ。教えてやるか・・・
ん?ルクストか・・・アイスフォードを引き取りに来たんだな。
って、おい!ルクスト、勝手にリシェに触れようとするな!!嫌がってるじゃないか!
「これなんですよ。殿下は先ほど無理矢理触れたとの事で、お気付きになられなかったでしょうが、この反応、僕だけじゃないんです。顔のいい若い騎士もダメ、優し気な穏やかな騎士もダメ、挙句、初老の救護医師でさえダメなのですよ。彼女に触れようものなら、このように震え上がらせてしまうんです。極度の男性恐怖症という事。なのに不思議でしょう?男を通り越して、この野獣みたいな団長だけ普通に触れられるんです。初めて団長を羨ましいと思いました。だから地位があろうがなかろうが、彼女は男性を受付けなっくなったという事です」
そうなんだよな・・・なぜか俺だけは大丈夫。いまだにわからんが、なんだか世の男どもに全て勝った気にすらなるな。どうだ、アイスフォード羨ましいだろう?お前が欲しているリシェは、俺しにか触れる事を許さんのだぞ?
「なんだって・・・なぜそんな事に・・・なぜ叔父上だけ・・・」
それは俺が一番知りたい。理由がわからんのだ。もしかすると俺もいつかはリシェに拒否されるかもしれんからな・・・
「はぁっ?・・・とにかく、王都に連れて帰ります。怖がられたって、時間が経てば慣れますよ。こんな辺境の何もない所ではなく、王都にいたほうが彼女も幸せなはずです」
無理矢理リシェを連れて行こうとするな。リシェの気持ちはどうなるんだ?やっぱりこんな男にリシェは任せられん!
「殿下・・・」
リシェリアがすっと立ち上がった。
リシェ・・・なんだ?王都がいいのか?一緒に帰ると言うのか?
「それは間違っています。私の幸せは私が決めます。敷かれた道から外れた身、元には戻れません。戻るつもりもないのです」
リシェ、王都がいいというわけではないのだな。
「それに、わたしには夫にすると決めた方がおります。殿下のお気持ちにはお応えできません」
なに!?夫にすると決めた男がいるだと・・・リシェ・・・嘘だろう?リシェに好いた男がいたのか。もしかして騎士の誰かなのか?・・・・・聞きたくない・・・嘘だと言ってくれ!俺もアイスフォードみたいに振られるのか?さっきは好きと言ってくれたのに・・・あぁ、あれは、男としてではなくて、保護者のような・・・家族のような好きという意味だったのか・・・勘違いしてしまったぞ・・・
「だ、誰なのだ!私以上の男がいるというのか!リシェリアは私以外に誰を選ぶというのだ!」
アイスフォード、諦めろ。俺も覚悟する。リシェ、どうせなら、未練がなくなるように思いっきり振ってくれ。オッサンの初恋は心の中にしまっておくよ。でも、忘れる事なんできっとできない。リシェとの3ヶ月間は幸せすぎた。王都に戻っても、遠くからお前の幸せを願っている。心の中でお前を好きでいることだけは許してくれ。
「随分と自信がおありなんですね。ふふっ、殿下よりも素敵な方ですよ?優しくて、暖かくて、可愛い所もあって。知ってしまった今となっては、殿下を選ぶ理由が見つかりませんわ」
リシェ・・・いつの間にそんな男を見つけてたんだ・・・毎日一緒にいたのに、いつそんな男と会ってたんだ。アイスフォードより素敵だと?可愛いところもあるって・・・リシェは一体その男の何を知ったんだ・・・リシェを夢中にさせる男がいるのか・・・俺以外に触れられる男がいたのか・・・知らなかった。俺は勝手に俺だけだと思い込んで勘違いしていたんだな・・・
「そうですね・・・そんなにお知りになりたければ・・・教えて差し上げますわ。私の未来の夫は」
ここで聞かされるのか!?ルクストに永遠と揶揄われる未来しかみえん。はぁ・・・せめて俺の知らない男であってくれ。目の前でイチャイチャされたら、今の俺なら死ねるぞ?
リシェリアは静かに振り向くと、片膝に座り、首に手を絡める。
ん?リシェ、なんでこっち向いたんだ?ぬぉっ!?・・・なんでこうなった?リシェ、今、何を考えているんだ?なぜ俺の膝に座った?自分から座るなんて初めてじゃないか・・・
「アリエル・モーガン。彼しかいませんわ」
はぁ?なにが俺しかいないんだ?夫にするのが俺しかいない・・・えっ!?なっ、なっ、なにぃぃぃぃ!!!お、俺なのか?夢じゃないよな?俺を夫にしてくれるというのか?お前が嫁になってくれると言う事なのか?
「アル様、勝手にすみません。でも本当の気持ちです」
本当の気持ち・・・リシェはいつだってそうだ・・・俺を喜ばせる天才だ。
「俺もお前しかおらん。手放すものか!」
後から嫌だと言っても遅いぞ?もう離してやらん。もう・・・俺の・・・俺だけのものだ!!
アリエルはリシェリアの首に顔を埋め、もう逃さないとばかりに強く抱きしめた。
「嘘だ・・・嘘だ!嘘だ!信じない・・・信じないぞ!!叔父上とリシェリアでは20も歳が離れているんだぞ。なぜそんな男を好きになれる!」
アイスフォード、信じたくない気持ちはわかる。もし今、俺が選ばれていなかったら・・・俺の心もそうなっていただろう・・・だが、お前のように見目のいい男でもなければ若くもない。俺には勝てる要素なんてないからな。お前ほど感情を出す事はなかっただろうがな。
リシェ・・・もう離さんぞ?いいのだな?ずっと一緒だ。もう、お前を手放すことはできん。これからも毎日一緒に寝てくれな?
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次回
私は間違っていなかった
初恋も、愛したのもたった一人・・・
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