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34、恋も愛もあなただけ

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リシェリアは、自身の夫になるのはアリエルただ一人と宣言をした。アイスフォードは、歳が20も離れている為信じられないと声をあげる。


「私、幼い頃に王宮で迷子になった事がありますの。まだ4歳で、王宮の中はとてつもなく広くてとっても不安でしたわ。そんな時、一人の騎士様に助けて頂きましたの。小さかった私にとって騎士様はとても大きく見えましたわ。でもその騎士様はいきなり触れはせず、離れた位置から大丈夫かと声をかけられました。私が騎士様を怖がっていると思ったのでしょう。騎士様は待っていろと誰かを呼びに行こうとされましたわ。でも、その時の私はまた一人になるというのが怖くて、思わず騎士様の服を掴んでしまいましたのよ。私が泣き止むまでそのまましばらく一緒にいてくれましたわ。そして私を抱き上げて、一緒にお父様を探してくださいましたの。あの森で助けてくれたアル様は、その騎士様と同じ行動をとられましたわ。アル様なら大丈夫と、私はその時と同じ行動をとってしまいまいした。まるで子どもみたいでしたわね」

「リシェ・・・お前・・・ブルスト侯爵の娘か?」

「ええ、そうですわ。アイスフォード様の婚約者でしたから、皆様ご存知ですわよね」

「いや、違うんだ・・・」

「えっ?」

「その騎士・・・」

「・・・アル様?」

「俺だ・・・」

「えっ!?」

「・・・あの時、泣いていた子どもを見つけたが、俺では怖がるだろうと他の者を呼びに行こうとした。しかし服を掴まれてどうしたらいいかわからん俺は、とにかく慣れるまで側にいようとした。子どもから手を伸ばしてきたから大丈夫だとわかって抱きかかえた。父親の名前を聞いたら、ブルスト侯爵だとわかって一緒に探した。俺に抱きかかえられた娘を見たブルスト侯爵は、礼を言う前に驚いて唖然としていたのをよく覚えている。なんせこの風貌の俺に抱きかかえられている娘が、怖がりもせず笑っていたんだからな」

「アル様が・・・あの時の騎士様・・・やっぱり私は間違っていなかったのです」

「何が間違っていなかったんだ?」

「私の初恋も愛した人も、アル様たった一人だったという事なんですもの」

「わ、私の事は愛していなかったというのか!?」


アイスフォードは勢いよく立ち上がる。


「殿下とは何年も婚約者でした。いい関係が築ければと思っておりましたが、生まれたのは愛や恋ではなく、情だけです。愛していたなどと思ったことは一度もありません」


リシェリアの言葉に最後の望みも絶たれたアイスフォードは、力なくソファに沈んだ。






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次回


【アリエルside】

そんな事があっていいのか?俺だけが・・・
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