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【アリエルside】恋も愛もあなただけ
しおりを挟むリシェリアは、自身の夫になるのはアリエルただ一人と宣言をした。アイスフォードは、歳が20も離れている為信じられないと声をあげる。
「私、幼い頃に王宮で迷子になった事がありますの。まだ4歳で、王宮の中はとてつもなく広くてとっても不安でしたわ」
そんな事があったのか・・・4歳のリシェ・・・かわいかったろうな・・・
「そんな時、一人の騎士様に助けて頂きましたの」
なぜそれが俺じゃなかったんだ、悔やまれる・・・しかし、リシェはなんでそんな話を?
「その騎士様はいきなり触れはせず、離れた位置から大丈夫かと声をかけられました」
なんだ、その騎士・・・気遣いのできる奴って事か?はぁ・・・きっと俺みたいなイカつい奴じゃなくて、スマートな見目のいい騎士だったんだろうな・・・
「私が騎士様を怖がっていると思ったのでしょう。騎士様は待っていろと誰かを呼びに行こうとされましたわ」
なんだ、そいつも怖がられてたのか?小さい子どもからすれば単純に大人はデカいからな。
「でも、その時の私はまた一人になるというのが怖くて、思わず騎士様の服を掴んでしまいましたのよ」
ん?子どもに服を掴まれ・・・んっ!?
「私が泣き止むまでそのまましばらく一緒にいてくれましたわ」
そ、それって・・・俺じゃないか?いや、たまたま同じだけだったかもしれんしな・・・
「そして私を抱き上げて、一緒にお父様を探してくださいましたの。あの森で助けてくれたアル様はその騎士様と同じ行動をとられましたわ」
間違いなく俺だ・・・しかも森で同じ行動・・・した気がする・・・だとすれば・・・リシェはブルスト侯爵の娘か。それを聞けば確信に変わる!
「アル様なら大丈夫と、私はその時と同じ行動をとってしまいまいした。まるで子どもみたいでしたわね」
いや、俺は嬉しかったぞ?他の誰でもない俺を選んでくれたんだからな。
「リシェ・・・お前・・・ブルスト侯爵の娘か?」
「ええ、そうですわ。アイスフォード様の婚約者でしたから、皆様ご存知ですわよね」
アイスフォードの婚約者だったとは先程知ったばかりだ。しかし、小さな子どもが珍しく怖がらんだったから覚えていたが、まさかリシェだったとは・・・なんだ・・・昔からリシェだけだったんじゃないか・・・リシェだけが俺を・・・あの時の事はよく覚えている。リシェを抱えた俺を侯爵が唖然と見ていた表情は忘れられん。なんせ、この俺に抱えられた上に、俺を見てリシェが笑っていたんだからな。
「アル様が・・・あの時の騎士様・・・やっぱり私は間違っていなかったのです」
「何が間違っていなかったんだ?」
「私の初恋も愛した人も、アル様たった一人だったという事なんですもの」
なんだと!?俺がリシェの初恋・・・しかも俺を愛して・・まぁ、アイスフォードと婚約者だったんだ、愛していた時期もあっただろうな・・・えっ?恋も愛もない?あったのは情だけ・・・そんな事あっていいのか?リシェが恋をしたのも、愛するのも俺だけ・・・俺はずっとリシェのたった一人の男だったのか・・・リシェの初恋も愛も俺だけに・・・俺だけが愛されて・・・そんな事あっていいのか・・・天に召されてしまいそうなほど幸せな気分なんだが・・・
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次回
この大きな手はとても優しいのです
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