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【リシェリアside】嫌われるのを覚悟で
しおりを挟む「アル様・・・私は純潔ではありません」
とうとう言ってしまった・・・もう後戻りはできない・・・
「アイスフォードか・・・」
アイスフォード殿下ならどれだけ良かったか・・・それならまだアイスフォード殿下の愛を信じれたわ・・・
「私が王都の屋敷を飛び出した日、王宮での王子妃教育の後でした。フラムウェル殿下に、部屋に連れ込まれて・・・無理矢理襲われました」
「フラムウェル・・・許さん・・・」
真剣に怒ってくださっているわ・・・
「力が強くて抗えずに事は済んでしまったのです。そこにアイスフォード殿下が居合わせてしまって・・・最初は不貞を疑われました」
「リシェがそんな事をするはずがないだろう・・・」
アル様・・・どこまでも私を信じてくださるのですね
「もちろんです。アイスフォード殿下も、シーツに散った血の跡と、私の怯えた態度から、前から続いていた不貞だという考えは改められました。近くに寄られ、慰めて頂けるものだと思いました。でも・・・殿下は・・・私に触れる事を拒まれたのです。他の男に体を許してしまった女など不潔に思われたのでしょう・・・」
「アイツは何をしてるんだ・・・大事な女が危ない目にあったのだ・・・いち早く助け出して抱きしめてやるのが道理ではないか・・・」
アル様ならきっとそうして頂けたのでしょう・・・アイスフォード殿下は目の前で見てしまったのもあって、混乱されたのでしょうが・・・でも、アル様・・・アイスフォード殿下はその時はご存知ではなかったのですが・・・それだけではないのです・・・これを聞いたらさすがのアル様も・・・本当に嫌われてしまうかもしれませんね・・・
「それでも、お側にいて頂けたのならよかったのですが、殿下は馬車を準備させると言って部屋を出ていかれました」
「ありえんな・・・男としてなってない・・・」
「それだけなら、殿下に申し訳ない気持ちだけで済んだかもしれません」
「アイツはまだ何かしてきたのか?」
「殿下ではありません・・・まだ部屋には他にも人がいて・・・」
「誰がいたんだ?」
「フラムウェル殿下に言付けに来た、側近のお二人です。両殿下が部屋から出て行かれたのを確認して、部屋に鍵をかけて閉じ込められました。そのあと・・・二人にも無理矢理・・・」
こんなこと自分から話すなんて・・・惨めだわ・・・きっと嫌われた・・・アル様の顔が見れない。私の事を大事にしてくださっているのが伝わってくる・・・優しく扱っていたのがこんな女だなんて知ったら・・・きっと嫁にしたいなどと思われなくなるでしょう・・・
「リシェ、今使うべきだろう?」
えっ・・・何をでしょう・・・あっ・・・飛び込んでもいいのですか?その腕にまた抱かれてもいいのですか?こんな私を・・・受け入れてくださるのですか・・・もう、ダメです!あるさまぁぁ!!!アル様が一緒じゃない未来なんて考えられない。
「辛かったな・・・三ヶ月も一人で抱え込んでいたのだな・・・」
辛かったです!誰にも言えなくて・・・アル様!アル様!アル様!!涙が止まらない・・・アイスフォード殿下に襲われたあとに抱きしめてくださったのは安心させる為で、未然に防げたからだと思っていたわ。アイスフォード殿下はフラムウェル殿下との事を直接見られたとは言え、それだけで拒絶なさった・・・でも、アル様は、全てを聞いて、それでも受け入れてくださるのね・・・
ア、アル様、お顔が近いです!ビックリしました・・・
「リシェ、もう一人で悩むなよ?俺がいる。俺からは逃げられんぞ?俺はもうお前を嫁にすると決めた。いや、随分と前から、心の中では嫁にしていたがな」
それでも嫁にすると言ってくださるの?随分と前から心の中で嫁だった?もう、嫁にすると決めていたという事なの!?もう・・・アル様ったら・・・
「あぁ、やっぱりお前は笑ったが可愛いな。いや、怒った顔も、泣いた顔も可愛い。どれも捨て難い。寝顔なんか、この世のものとは思えない可愛さだぞ?俺の嫁は世界一可愛いからな」
可愛い、可愛い言い過ぎですわ・・・世界一なんて大袈裟・・・でも、アル様・・・大好き!アル様こそ世界一素敵な旦那様ですわ!!
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次回
【アリエルside】
ここぞとばかりにあれを実行するべきだろう
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