お嬢さんはある日森の中で熊さんに出会った

agapē【アガペー】

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39、離れたくなくて一緒にいたくて

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「おはようございます!あら、朝から仲良しですね?」

「おはようございます、フローラさん」

「おはようございます、リシェリア様」

「おはようございます、ハイドさん」


今、リシェリアはダイニングにいる。フローラが言った仲良しとは・・・そう、一人ではないのだが、仲良しと言う表現がしっくりくるもの。


「もう、旦那様、昨日大変な事があったのはわかりますが、過保護になってませんか?少しは離して差し上げたらいかがです?」

「フローラさん、これは・・・違うんです」

「あら、リシェリア様、体調がすぐれませんか?大丈夫ですか?」

「そうじゃなくて・・・その・・・私がアル様から離れたくなくて・・・」


リシェリアは、アリエルに抱きかかえられダイニングにやって来たのだ。

「まぁまぁ、甘えてらしたのですね?」

「はい・・・はしたないのはわかってるんですが・・・どうしても」

「ふふっ、旦那様、ようございましたね?」

「あぁ・・・なんか照れるが、中々に気分がいいぞ。あ、そうだ・・・ハイド、フローラ」

「はい」「はい」

「俺はリシェと結婚する」

「誠ですか!?」

「まぁ、フローラも嬉しゅうございます!」

「リシェの初恋は4歳だそうだ」

「そうなのですか?それが何か?」

「俺だそうだ」

「なんと!?」「そうなのですか?」

「あぁ、王宮に騎士でいた俺が初恋だったらしい」

「ふふっ、長年の初恋が15年経って叶いましたのよ!」

アリエルとリシェリアは笑顔で見つめあった。





「今日もアル様にランチを差し入れに行きたいです」

「しかし、狼がうようよいるんだ・・・あまり詰所には来て欲しくないんだが・・・」

「少しでもアル様と一緒にいたのです」

「うっ・・・し、仕方ないな・・じゃあ、ミッションだ!リシェ、狼に捕まらず、執務室に来い。一直線に来るんだぞ?」

「はい、頑張りますね!」





「じゃあ、行ってくるからな?」

「はい、行ってらっしゃいませ」


振り返って屋敷を出ようとしたアリエルだったが、覚えのある感触が・・・


「・・・ん?」


振り返ると、リシェリアが服を掴んで頬を膨らませている。


「な、なんだ!?お、俺、なんか気にさわる事したか?」


リシェリアが手招きをしてくるので、アリエルが少し姿勢を落とす。


「お・・・っ・・・」

「行ってらっしゃいませ!」


行ってきますのキスをしてないと頬を膨らませていたのであった。





そしてお昼時の詰所の入り口で。


「おっ、リシェ、待ってたぞ!」

「・・・アル様・・・執務室までのミッションじゃなかったんですか?」

「た、たまたま通りかかったんだ」

「リシェリア嬢、嘘ですよ。団長、小一時間前からずっとここでソワソワして待ってましたから」


警備の為、入口に立っている騎士がそう教えてくれた。


「心配なんだ・・・」

「じゃあ、いけない熊さんにはお仕置きをしませんとね?」

「お、お仕置き!?何をするんだ?触れたらダメとか言うのか?」

「可愛い嫁を執務室まで運ぶ罰です!」


自慢げにリシェリアが罰を言い放つが、アリエルは困惑するものの、思ってもみない罰でとたんに嬉しくなる。


「リシェ・・・罰の意味わかってるのか?俺には・・・ご褒美だ!」

「ひゃっ!」


リシェリアを抱えあげると、ご満悦なアリエルは自慢をしたくてウズウズし出した。


「なぁ、俺のリシェは可愛いだろう?」


先程の警備の騎士に話しかける。


「えぇ、可愛いですね」

「や、やらんぞ!!」

「自分で言わせといて・・・何なんですか・・・」


結局、執務室にたどり着くまで、会う騎士みんなに同じやり取りをしては牽制してまわるという、意味のわからない行動を繰り返すアリエルだった。




ーーーーーーーーーーーーーーー


次回

【アリエルside」

死ねる。いや、死んでたまるか!





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