70 / 131
39、離れたくなくて一緒にいたくて
「おはようございます!あら、朝から仲良しですね?」
「おはようございます、フローラさん」
「おはようございます、リシェリア様」
「おはようございます、ハイドさん」
今、リシェリアはダイニングにいる。フローラが言った仲良しとは・・・そう、一人ではないのだが、仲良しと言う表現がしっくりくるもの。
「もう、旦那様、昨日大変な事があったのはわかりますが、過保護になってませんか?少しは離して差し上げたらいかがです?」
「フローラさん、これは・・・違うんです」
「あら、リシェリア様、体調がすぐれませんか?大丈夫ですか?」
「そうじゃなくて・・・その・・・私がアル様から離れたくなくて・・・」
リシェリアは、アリエルに抱きかかえられダイニングにやって来たのだ。
「まぁまぁ、甘えてらしたのですね?」
「はい・・・はしたないのはわかってるんですが・・・どうしても」
「ふふっ、旦那様、ようございましたね?」
「あぁ・・・なんか照れるが、中々に気分がいいぞ。あ、そうだ・・・ハイド、フローラ」
「はい」「はい」
「俺はリシェと結婚する」
「誠ですか!?」
「まぁ、フローラも嬉しゅうございます!」
「リシェの初恋は4歳だそうだ」
「そうなのですか?それが何か?」
「俺だそうだ」
「なんと!?」「そうなのですか?」
「あぁ、王宮に騎士でいた俺が初恋だったらしい」
「ふふっ、長年の初恋が15年経って叶いましたのよ!」
アリエルとリシェリアは笑顔で見つめあった。
「今日もアル様にランチを差し入れに行きたいです」
「しかし、狼がうようよいるんだ・・・あまり詰所には来て欲しくないんだが・・・」
「少しでもアル様と一緒にいたのです」
「うっ・・・し、仕方ないな・・じゃあ、ミッションだ!リシェ、狼に捕まらず、執務室に来い。一直線に来るんだぞ?」
「はい、頑張りますね!」
「じゃあ、行ってくるからな?」
「はい、行ってらっしゃいませ」
振り返って屋敷を出ようとしたアリエルだったが、覚えのある感触が・・・
「・・・ん?」
振り返ると、リシェリアが服を掴んで頬を膨らませている。
「な、なんだ!?お、俺、なんか気にさわる事したか?」
リシェリアが手招きをしてくるので、アリエルが少し姿勢を落とす。
「お・・・っ・・・」
「行ってらっしゃいませ!」
行ってきますのキスをしてないと頬を膨らませていたのであった。
そしてお昼時の詰所の入り口で。
「おっ、リシェ、待ってたぞ!」
「・・・アル様・・・執務室までのミッションじゃなかったんですか?」
「た、たまたま通りかかったんだ」
「リシェリア嬢、嘘ですよ。団長、小一時間前からずっとここでソワソワして待ってましたから」
警備の為、入口に立っている騎士がそう教えてくれた。
「心配なんだ・・・」
「じゃあ、いけない熊さんにはお仕置きをしませんとね?」
「お、お仕置き!?何をするんだ?触れたらダメとか言うのか?」
「可愛い嫁を執務室まで運ぶ罰です!」
自慢げにリシェリアが罰を言い放つが、アリエルは困惑するものの、思ってもみない罰でとたんに嬉しくなる。
「リシェ・・・罰の意味わかってるのか?俺には・・・ご褒美だ!」
「ひゃっ!」
リシェリアを抱えあげると、ご満悦なアリエルは自慢をしたくてウズウズし出した。
「なぁ、俺のリシェは可愛いだろう?」
先程の警備の騎士に話しかける。
「えぇ、可愛いですね」
「や、やらんぞ!!」
「自分で言わせといて・・・何なんですか・・・」
結局、執務室にたどり着くまで、会う騎士みんなに同じやり取りをしては牽制してまわるという、意味のわからない行動を繰り返すアリエルだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
【アリエルside」
死ねる。いや、死んでたまるか!
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
いつも隣にいる
はなおくら
恋愛
心の感情を出すのが苦手なリチアには、婚約者がいた。婚約者には幼馴染がおり常にリチアの婚約者の後を追う幼馴染の姿を見ても羨ましいとは思えなかった。しかし次第に婚約者の気持ちを聞くうちに変わる自分がいたのだった。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
山に捨てられた元伯爵令嬢、隣国の王弟殿下に拾われる
しおの
恋愛
家族に虐げられてきた伯爵令嬢セリーヌは
ある日勘当され、山に捨てられますが逞しく自給自足生活。前世の記憶やチートな能力でのんびりスローライフを満喫していたら、
王弟殿下と出会いました。
なんでわたしがこんな目に……
R18 性的描写あり。※マークつけてます。
38話完結
2/25日で終わる予定になっております。
たくさんの方に読んでいただいているようで驚いております。
この作品に限らず私は書きたいものを書きたいように書いておりますので、色々ご都合主義多めです。
バリバリの理系ですので文章は壊滅的ですが、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
読んでいただきありがとうございます!
番外編5話 掲載開始 2/28
子供のままの婚約者が子供を作ったようです
夏見颯一
恋愛
公爵令嬢であるヒルダの婚約者であるエリックは、ヒルダに嫌がらせばかりしている。
嫌がらせには悪意しか感じられないのだが、年下のヒルダの方がずっと我慢を強いられていた。
「エリックは子供だから」
成人済みのエリックに、ヒルダの両親もエリックの両親もとても甘かった。
昔からエリックのやんちゃな所が親達には微笑ましかったらしい。
でも、エリックは成人済みです。
いつまで子供扱いするつもりですか?
一方の私は嫌がらせで寒い中長時間待たされたり、ご飯を食べられなかったり……。
本当にどうしたものかと悩ませていると友人が、
「あいつはきっと何かやらかすだろうね」
その言葉を胸に、私が我慢し続けた結果。
「子供が出来たんだ」
エリックは勘違いをしていた。
自分は何でも許されていると思い込んでいたエリックは、婿入り予定でありながら別の女性と子供を作ってしまう。
それによりエリック中心だった世界は崩壊し、ヒルダは本来の公爵令嬢としての生活を取り戻していく。
ただ、エリックの過ちは仕組まれたものだった。
エリック自身とエリックを嵌めた者達を繋ぐ糸は、複雑に別のものと絡まり合いながら、ヒルダを翻弄する。
非常識な婚約者に悩まされていたヒルダが、結婚をするまでの物語。
※体調の関係もあり、更新時間がかなり時間が不定期です。
相当なクズ親が出てきます。ご注意下さい。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。