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41、返事はもちろん了承のみ
しおりを挟む夜会の日が近付き、昨夜王都の辺境伯家のタウンハウスに着いた。そして今、数ヶ月離れていたブルスト侯爵家に戻ってきた。
「お父様!お母様!」
「リ、リシェリア!本当にリシェリアなのか・・・よかった・・・無事であったのだな・・・陛下から聞いてはおったが、姿を見るまでは安心できんかった」
「ご心配かけました。それで、会って頂きたい人がいて・・・」
「失礼する」
「辺境伯様!この度は娘を保護して頂いて、本当にありがとうございました!」
侯爵は深くお辞儀をする。
「侯爵、頭を上げてくれ。今日は話があってきたのだ。欲しいものがあってな」
「我が家にできることでしたら」
「返事だけくれればいい。しかし、その返事は了承のみだ」
「それは・・・何でしょうか?」
「娘をくれ」
「・・・はっ!?辺境伯様、それはどういう事でしょうか?」
「どういうもなにも、嫁にくれと言っている」
「よ、嫁!?」
「お父様、お母様、アル様は、私の初恋の騎士様です!お父様、4歳の時に王宮で迷子になったでしょう?」
あぁ、確かに当時王宮で騎士をなされていた辺境伯様が、リシェリアを連れてきてくださって」
「あぁ、だから今回も連れてきた。ただし、今回はそれだけではない。貰いにきた」
「も、貰いに・・・ですか」
「リシェが可愛くてな・・・もうリシェなしの生活が考えられん。アイスフォードとの婚約は解消されているのだろう?だったら、俺が貰っても問題ないな」
「・・・リシェリアはそうしたいのか?」
「はい!アル様のお嫁さんになります!」
「そうか・・・まったく・・・文句のつけようがない相手を連れてきおって」
「侯爵、娘は凄いぞ?猛獣使いだ」
「猛獣使い!?そんな技術は身につけさせておりませんが・・・」
「いや、ちゃんと身についている。俺と言う猛獣を喜ばせて操る事のできる魔法が使える」
「・・・は、はぁ・・・辺境伯様が猛獣なのですか・・・しかし・・・娘は」
「侯爵、叔父として謝罪をする。フラムウェルとその側近が申し訳ないことをした、この通りだ」
アリエルはガバッと頭をさげた。
「辺境伯様!頭をお上げください!」
「そして侯爵にはもう一つ謝らなければならん」
「な、何でしょう・・・」
「アイスフォードがリシェを攫って襲った」
「なんですと!?」
「何とかギリギリで助けたが、怖い思いをさせてしまった」
アリエルは再度頭を下げた。
「辺境伯様が謝罪される必要はありませんよ」
「そうですわ、リシェリアの事、母の私からもお礼を申し上げます」
「辺境伯様は全てをご存知なんですね・・・それで責任を感じて・・・」
「それはない。侯爵、俺はリシェに惚れたんだ。全ての話はアイスフォードが辺境に来た時に聞かされた。それにな、侯爵、俺は、リシェを保護してすぐこいつに絆されたぞ?惚れるのは一瞬だった。責任を感じる前に、リシェに恋してしまっていたからな」
「左様でしたか」
「それでだ、侯爵、夜会で一芝居する」
「一芝居とは?」
「あいつらの罪を公にして、断罪し、兄上も退位させる」
「ほ、本当にそんな事をやるおつもりで?」
「あぁ、俺の可愛いリシェを傷付けておいて、のうのうと暮らしてやがるのは、俺の腹の虫がおさまらん。罪には罰を受けさせるべきだ」
「しかし、リシェリアは・・・」
「お父様、大丈夫ですわ。私の抱えたものを全て知った上で受け入れてくださったのです。全てアル様にお任せしましょう?私の未来の旦那様は強くて頼りになるんですよ!」
にっこりと笑うリシェリアに、大きな手を置いてポンポンと頭を撫でた。
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次回
変なのは旦那様です
見せつけてるのさ
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