91 / 131
51、新たな辺境伯当主
しおりを挟むアリエルの国王としての宣言があり、夜会はお開きとなった。宰相シグルドとリシェリアを伴い、先に辞していた兄である国王の元に向かう。
「兄上」
「あぁ、アリエルか・・・」
「陛下、先ほど満場一致で次期国王にアリエル様が選ばれました」
「そうか・・・異論はないよ」
「兄上、いろいろすまなかったな」
「いや、私はあまりにも知らなすぎた。少し考えればわかる事もあっただろうにな・・・ミカエラに関してもそうだ。若い女にうつつを抜かした私が全て悪かったのだ。フラムウェルは私の子だと信じて疑わなかった。まさか、そこまで裏切られていたとはな・・・今となってはどうでもよい。塔に幽閉するのは王族だからだ。王族の血が流れていないあやつを幽閉する必要もない。好きにしろ。あとは任せる」
「あぁ、わかった。しかし、ミカエラはどうする?」
「あれは・・・私が最後の責任として引き取る。実家に戻しても迷惑だろうし、野放しにしても何を起こすかわからん。私は王家の所有する男爵領に引っ込むよ。そこへ連れていく」
「あぁ、しっかりと頼むぞ」
「リシェリア嬢もいろいろすまなかった。これからはアリエルの力になってやってくれ」
「えぇ、陛下もお体には気をつけられてください」
「リシェリア嬢はこんな時まで気遣ってくれるのだな・・・アイスフォードは惜しい人を失ったものだな」
「ふっ、俺は感謝してるぞ?そのおかげで俺の元に来たんだ。なぁ、兄上・・・俺の妃は最高だろう?」
「そうだな、最高だ。しかし・・・アリエル、辺境領はどうするのだ?当主の座や騎士団長が不在ではいかんだろう・・・」
「そうだな。考えないといけないな」
コンコンコン。
「ん?」
「失礼します」
「アイスフォード・・・」
「父上、叔父上、その話・・・辺境領はわたしに任せてくださいませんか?」
「アイスフォードが辺境にか?」
「えぇ・・・私は犯してはならない罪も犯しました。償えるとは想ってはおりませんが、叔父上のような素晴らしい御仁になりたい。そして願わくば、最高の伴侶を見つけられるような男になりたい。だから、叔父上の背中を見て生きていきたいのです」
「アイスフォード、俺はお前なら辺境を任せてもいいと思う。お前は優秀だ、当主としては申し分ないだろう。しかし、辺境は攻防の要だ。当主としてはいいだろうが、騎士団長としてとなるとな・・・」
「騎士団長は団員の中から任命しますよ。私では力不足です」
「そうか・・・そうだな。攻防の要といっても、辺境も一つの領地だ。領民の笑顔を守るのも当主の役目だ。お前は当主として領を管理することに専念しろ」
「そうします・・・それから・・・私の護衛騎士アルベルトと、側近のイーサンが辺境伯領に行く事を希望しております。未来の有望な二人を連れて行っていいものか・・・決めかねています」
「アイスフォード、それは連れて行ってやれ。そいつらは、辺境領を選んだんじゃない。お前を選んだのだ。お前を生涯の主としたいと思っているという事だ。大事にしてやれ」
「・・・はい、叔父上。承知しました。ありがとうございます」
アイスフォードはアリエルと引き継ぎが終わり次第、辺境伯当主となる事に決まった。そして、これからはアリエルの治世が始まる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
何を言っている!
他の男を会わせる必要がないだろう!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
185
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる