流星姫は平凡騎士をご所望です

agapē【アガペー】

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1、庭園の迷路で

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「うっ・・・ひくっ・・・」

(ん?誰かいるのか?)

王宮の庭園には、生垣で作られた迷路がある。

迷路の入口から少し進んだあたり、小さな女の子が泣いていた。

(ああ、今日はこどもを集めたお茶会があってたんだっけか。迷子にでもなったのか?)

「いかがされましたか?」

「うっ・・・ぐすっ・・・」

振り向いた女の子は、陽の光に照らされ、キラキラ光る金の髪に、サファイアの様な青い瞳を持った、可愛らしい容姿であった。

青のドレスや金の髪には、星形のアクセサリーや飾りが散りばめられ、まるで満天の星空のようであった。

「星の妖精は、空から落ちてしまって、戻れなくなってしまったようですね」

「・・・ほしの・・・ようせい?」

「ええ、ご令嬢の本日のお召し物は、まるで満天の星空のようで、可愛らしいですよ」

目元を真っ赤にした女の子は、じっとこちらを見ている。

「本日のお茶会に来られていたのではないですか?戻れなくなってしまったのでしたら、お連れしますが?」

「いや!もどりたくない!」

「何かあったんですか?」

「おまえだけちがうって・・・」

「何が違うのです?」

「おまえのあねうえたちは、はなのなまえなのにおまえはちがう。おやからかわいがられてないんだっていうの」

(気を引きたいがために意地悪してしまう、このくらいの歳の子達特有の奴かな)

「お名前を伺っても?」

「・・・ミーティア」

「ミーティア嬢、かわいらしいお名前ですね」

「でも、違うって・・・」

「そんなの言わせておけばいいんですよ・・・ミーティア・・・確か、流星って意味の言葉ですね」

「りゅうせい?」

「はい、流れ星です。星が流れて消えてしまうまでに、お願い事をすると叶うと言われています。素敵なお名前ですね」

「・・・ありがとう」

(泣き止んでくれてよかった)

「あなたはきしさま?」

「はい、そうですよ」

「あなたのおなまえは?」

「バージルと申します」

「ばーじる・・・ふふっ」

(笑った・・・めっちゃかわいいじゃねぇか)

「ねぇ、ばーじる、またあえる?」

「ええ、きっと会えますよ、星の妖精姫様」

近くを通ったメイドに、小さなレディがお茶会で傷ついた事を話し、戻すのはやめたがいいであろう事を告げ、親元に返してあげるよう頼んだ。

「これで、悲しい思いはしなくてよくなりました。あなたが泣いていたら、星達が悲しみます。ミーティア嬢には、笑顔が似合う。では、失礼します」

バージルは、小さな令嬢とメイドに騎士礼をし、事が済んだときびすを返し、振り向くこともなく歩いて行った。

星の妖精姫と呼ばれたミーティアは、その後ろ姿が見えなくなるまで、顔を赤らめながらずっと眺めていた。

「ほしのようせいひめ・・・ばーじる」

5歳の幼い女の子は、初めての恋をした。

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