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16、側にいて欲しいのは

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コンコンコン。

「入るぞ」

「ああ、待ってたよバージル」

バージルはテオドールに呼ばれ、執務室に来ていた。

「まぁ、座ってくれ」

「どうした?わざわざ呼ぶなんて珍しいな」

「ああ・・・お前に護衛依頼だ」

「護衛?俺に?」

「ああ、ミーティア王女殿下がご所望だ」

「ティアが?」

「ん?もう愛称で呼び合ってんのか?」

「あっ、いや、まぁ・・・そうだ」

「進展しているのは何よりだ」

「それで、なんで護衛なんか頼んできてんだ?」

テオドールはバージルの前に書類を差し出す。

「隣国ガルシアの王太子殿下、ライアン・ガルシア殿下が明日から滞在される件だ」

「俺はその王太子殿下様を護衛すればいいって事?」

「いや、ライアン殿下には、自国の近衛騎士がついていらっしゃる。案内などを含め、こちらからも近衛騎士を付ける予定だそうだ」

「じゃあ、俺は何をすればいいんだ?」

「バージルは、ライアン殿下が帰国されるまで、ミーティア王女殿下の護衛任務について欲しいそうなんだ」

「は?王族の護衛任務は近衛の管轄だろ?」

「事情があるんだ」

「事情?」

「ライアン殿下は今回、滞在中の案内と世話役にミーティア王女殿下をご指名された」

「なんでティアなんだ。他にも王女はいるだろ」

「それが、今回のご指名は別の理由もある。ミーティア王女殿下に婚約の打診をしてきたそうだ」

「はぁっ!?ティアに婚約の打診!?」

バージルはテーブルに手をつき、テオドールに詰め寄った。

「まぁ、落ち着け。婚約の件に関しては、ミーティア王女殿下のお気持ちがライアン殿下に向けば了承すると陛下は返事をしているそうだ」


「いや、案内と世話役はわかったが・・・」

「バージル今回の話は、あくまで国同士、陛下を経由した婚約打診だ。王妃様経由ではない。陛下のお考えがあってのことだ」

「しかし・・・」

「バージル気持ちはわかるが、ミーティア王女殿下とお前は表向き何の関係もない状態だ。ましてや国同士の国交の問題もある、無下に断る事は難しい」

「・・・」

「バージル、考えてみろ?他の男に掻っ攫われるかもしれないんだぞ?何かあれば、一番近くで王女殿下をお守りできる。それに、王女殿下自身がお望みなんだ。お前に側にいて欲しいのではないのか?」

「・・・わかった」

「バージル、陛下に報告しておくから、明日の朝から王女殿下の護衛にあたってくれ」

そう言ってテオドールは報告の為、執務室を出た。



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