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第二王子アークトゥルス

第二王子はうさぎを見つける

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王宮の中を歩いていたら、いるはずのないものがいた。少年は足を止めて、それを注意深く観察する。


「・・・うさぎがいる」


王宮では、馬と黒紫星の所有する鷹以外の生き物は飼っていない。ではなぜうさぎがいたのか。彼の目にはうさぎに見えたのだが、正しくは、それは幼い可愛い少女だった。白銀の雪を思わせる、ふわふわと触り心地のよさそうな銀の髪。キョロキョロと周りを見渡し、興味で輝くルビーの様な真っ赤な瞳。中庭の芝生の上で、ふわふわと髪をゆらしていた。


少年は目を奪われた。


「かわいい・・・こんなに可愛い生き物がいるなんて・・・」


少年の名はアークトゥルス。肩より長い輝く金の髪を後ろで一つに結い、瞳はサファイアのような青だった。この国の第二王子で、この時10歳。アークトゥルスは惹きつけられるように少女に歩み寄る。


「?」


うさぎのような少女は、不思議そうな顔でアークトゥルスを見ている。そこへ誰かが駆け寄ってきた。


「ここにいたのか、探したぞ」

「お父様!」


少女はお父様と呼んだ男に駆け寄った。


「殿下、娘がすみません」

「いいえ、僕は何も」


父親は、第一騎士団・副騎士団長のリュシアン・クレマンだった。


「それより、名前を伺っても?」

「この子ですか?ラビリアと言います」

「ラビリア・・・」


この時、アークトゥルスは名前までうさぎみたいだと思っていた。


「ラビリア、ご挨拶は?」

「はい、お父様、ラビリア・クレマン。5歳です」


(うん・・・可愛い・・・天使だね)


「僕はアークトゥルス10歳。第二王子だよ」


アークトゥルスはラビリアに向かって微笑んだ。


「クレマン副騎士団長、こんなに可愛いご息女がいたなんて知りませんでした」

「だま小さいので、中々外には出しておりませんでしたから。可愛いでしょう?セーラにそっくりで、小さいセーラを見ているみたいです。あ、でも、瞳は僕と同じ、真っ赤なルビーみたいなんですよ」

「えぇ、確かに可愛らしい」


アークトゥルスは、このうさぎのような少女が欲しくてたまらなくなっていた。




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次回

これは早く僕のものにしておかないと、悪い虫が寄ってきそうだ



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