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16.聖なる夜が二人を包む

335二人の永遠を叶えるために

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それは触れるだけの口づけだったが、短くはなく…
一度離れても確かめるように角度を変えて二度、三度と繰り返され…
最後にチュッと口唇を吸われる音を立てながら離れていった。



ジョンは目を見開いたまま動けなかった。アキラの行動が信じられなかったのだ…

ジョンの知っているアキラは人の目をすごく気にするし、恥ずかしがり屋ですぐに赤くなる。
人前では性的な話も嫌がるし、ましてや夜とはいえ、こんなに人がいるところでキスなどするはずが無い!



「えっ?ちょっ………なん…で?」

「えへへ、今日はいいんだよ…そういうイベントなんだから!
周り見てみなよ…」



してやったりっという悪戯な笑顔に、ドキドキした胸をなだめながら周りを見ると…

所々で男女のカップルがキスをしている。こっちまで音が届きそうなほど濃厚なキスをするカップルもいて、目が離せなくなってしまった。


「ちょっと…ジョン見すぎ!
ほらね?僕達のことなんて目立たないでしょ?

あの木の下でキスすると永遠に結ばれるって学生発祥みたいなジンクスがあったらしくてね、

このイルミネーションの点灯式は全然そのジンクスとは関係ないんだけど…

変な感じに関連付けてSNSでバズったらしくて今やもうキスするイベントみたいな?」



クスクス笑いながら説明してくれて、乗っかった僕が笑えることじゃないけどね!っと更に爆笑している。



「………教えておいてくれたらよかったのに」



少しブゥたれた顔で口を尖らせる。悪戯を仕掛けられたようで、すごく悔しくなってしまう。


「だって、ジョンをびっくりさせたかったんだよ!
それに…ジンクス通りに永遠に結ばれたら嬉しいじゃん?」


なおも笑ってちゃかすように言ってくるが、その言葉には本当のアキラの願いが入っていて…
ジョンはそれが嬉しくて怒るに怒れなくなってしまう。
はぁと一つため息を漏らして



「あぁ~あ、知ってたらさっきのカップルにも負けない、ど濃厚なチューしたのにな…
今からでもする?」


「やめてください!言っとかなくて良かったってって本当に思っちゃうよ…」


苦笑いをしながらジョンを見上げると、包み込むように優しく抱きしめられる。


「じゃあ来年もこようね!来年も再来年もその後もずっとずっと来て、チューを毎年しようよ…
そしたら絶対に永遠に結ばれるよ?」

「ふふっジョン、それ最高の思い付きだと思うよ…」

抱き合いながら二人は幸せそうに笑いあった。
それはどこまでも暖かくて、優しくて、幸せな一時で…
いつまでもこの時間が続けばいいのにっと…
二人の気持ちは重なっていった。
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