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20.胸のホールを埋めてください 3

558.僕の名前を呼んで

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アキラ君の目がピクピクッと動き出している、意識がもどりそうなのだ


どうか…どうか…成功していてくれ……
眉間にシワがより手に汗がにじむ
ゆっくりと開いた瞳はまだはっきりとしないのが、ぼんやりしている。


「アキラ君、とりあえず動かないでね!ちょっと見せておくれよ」


ライトを当てれば眩しそうに目を細めるが、俺を認識しだしたのかその眼差しは嬉しそうに更に細まっていく
口元もふわりっと笑みが溢れて


あぁ……本当によかった!
ライトを置くと、俺はそのままアキラ君をきつく抱きしめていた。


「ロンさん…夢を見ていました。
ふふっ、あなたに抱いてもらえなかったときの夢を…
けっこうショックだったんですからね!
スキンまでつけといて、あそこでアレはないでしょ?」



涙声まじりで俺を責めるようなことを言ってくるが、その声は嬉しそうで…


「そう責めないでくれよ、この年にもなるとコンディションってものがあるんだよ?
ちょっとあのときはノラなかったんだよ!
はぁ、本当に惜しいことをしたもんだよ、超豪華な据え膳を逃してしまった」


腕の力を緩めて体を離していく、穏やかに笑うアキラ君は、もう俺のアキラ君じゃないけれど…


「もう…ロンさんは嘘つきだなぁ
あなたはあのとき僕のことを考えてくれたんでしょ?

ありがとうございます、あなたはどこまでも紳士的で優しかった。
ふふっ、ここだけの話にしてください、先にあなたに恋してたらよかったかもしれない…」


そんなどうしようもない言葉遊びを仕掛けられては、たまらない気分になってしまうのに


「それは光栄だね
今からでも遅くないよ?本当に嫌になったら逃げておいでよ…
いつでも大歓迎さ、その時は今度こそ二人で逃げてしまおうよ!
俺達だったら誰にも捕まらないさ…」


お互いにクスクスと笑い合って、もう一度抱きしめあって…
俺は君の本音が少しでもその言葉に含まれていることを、願ってやまないよ






君は俺に間違いなく晩年の春をくれたから…
わかっていた『さよなら』だけど
この『さよなら』だけが、俺達の愛だけで
それでもそれを言葉にしてしまったら、全てが嘘だったみたいになってしまうから…


君が僕の名前を呼んでくれるたびに、あの幸せな時間を思い出せるから
あの幸せな時間が本当にあったと証明されるから


愛してるよアキラ君
もう終わった春を思いながら、俺はずっと生きていける
ただ君が横で、僕の名前を呼んでくれるだけで







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米津○師さんのv○viの歌を思いながら、今回のシノダ教授×アキラを書かせていただきました。
これ以降はまたいつもの固定CPに戻ります。
大変楽しく書かせていただきました。

普段のジョン×アキラよりも大人な雰囲気が伝われば嬉しいです。
ご感想いただければ飛び跳ねて喜びます。
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