夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの?

モスマンの娘

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21.進む僕

581.かわらない幸せを

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いつものように、バスチェアにアキラを座らせて頭を洗っていく。
フワフワの泡を作って体を洗っていると、クスクスとアキラが笑いだした。


「ふふっ、ジョンたら必死で僕のパンツを死守するんだもん、そんなに駄目だった?
昔はお風呂はほとんど研究室で一緒だったし、誰かにだいたい入れられてたから、見られる抵抗感ないんだけどな…」


「駄目だよ!
一緒にお風呂入るのと、アキラのスッポンポンを見られるのはなんか違うからね!
あと入れられてたって何よ?アキラ…一人で入れなかったの?」


ちょいちょい気になる発言が、アキラの研究室時代にある。
『飼育係だった…』とか前は言ってたけど、やっぱり昔は猫とかだったの?


「ん~、今より僕は生活力がなくてね、ずっとひたすら研究をしてたかったんだよ
なんか研究に没頭しちゃうと、ご飯も風呂も寝るのも忘れちゃって気づくと倒れてるってことがあったから

定期的に風呂に裸で放り込まれて洗われて口にご飯を詰め込まれて、簀巻きにされてベッドに転がされたりしてた。
だいたいその係がカズマかダークだったんだよ」


猫より酷い!
生活力じゃなくて生命維持力に問題ありだよ?それは…


「あの時の僕はそれくらい、ポーションに生活を捧げてたんだよ…
アスリート並にポーション作りの練習と研究に没頭してたからね
あれはあれで楽しい日々だったけど、もうちょっとあのころに戻るのは無理だな

だってこんなにズブズブに甘やかされる心地よさを、知っちゃったんだもん」


洗い終わって湯船で抱きしめている僕に、アキラは嬉しそうにすり寄ってくる。
全てを委ねてくれるように気怠げに体を預けてくれるアキラに口元が緩む。


「アキラが、もしそうやって研究に没頭したいっていうなら
僕は全力でサポートするよ?
毎日優しくお風呂で隅々まで洗って、ご飯もあ~んしてあげるし、ベッドでは抱きしめて寝るよ?」


「ははっそれはサポートというより甘やかされてるよね?
それにあんまり今と変わらなくない?

それに駄目だよ…僕はもうこんなに好きなものができてしまったから
もうあのときみたいな狂ったような情熱をポーションには向けられない

でも確実に言えるのは…僕は今の方が幸せってことかな?
周りの評価がどうであろうとね?」


そんな可愛いことをいいながら、僕にしがみついて軽いキスを頬にくれる。


「僕はもう、あの頃には戻れないし戻りたくないんだよ…
ジョンが教えてくれたんでしょ?
僕のポーションなんだから、昔の僕のポーションじゃなくていいって

あの言葉が僕をまたポーション作りに向かわせてくれたんだ…
だからジョンはサポートするより、そのままでいて
僕をいつも通りに甘やかして、側にいてよ、それだけで十分すぎるから…」


キスを強請るように、唇があたるかあたらないかのところでアキラは囁く
僕の我慢を試すように…
こんなの我慢ができるわけないじゃないか……
流されるままに、アキラの体をキツく抱きしめて引き寄せられるまま唇を深く重ねていった。
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