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31.番う軌跡
937.シバの秘密 (sideバスター)
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講習会場に入ると、そこはもうパラダイスのようで、ゴールデンレトリバー系、ヨークシャテリア系、ダックスフンド系etc…
ありとあらゆる系統の人狼の雌が集まって談話していて、もう可愛さしかなくて…
思わず頭の中でワンワン動○園の歌が流れてしまう、シバには悪いがこの光景のために来たとしか言えないほど可愛くて、目を細めてワンちゃん天国に頭の中がわっちゃわっちゃしてしまう。
それでも平静を装いながら入室すれば、皆が一斉にこちらに視線を寄こしたのを感じる。
ガヤガヤとしていた部屋が、シンっと水を打ったような静けさになり、緊張した空気がビリビリと感じる。
ひたすらに入口でゆっくりと目線を動かしていけば、部屋の奥の椅子に座るクリームの毛並みのトイプードル系の雌にちらっと何人が視線を送っているのがわかる。
見つけた…あの方がボスだな…
ゆっくりと歩を進めて、顔の筋肉には気をつけて、久しくやっていなかったがうまくできているだろうか…
口角を意識して、目尻を垂らすようにして柔和な少し気弱そうな笑顔を作り、トイプードル系の雌の前にしゃがみ、更にゆっくりと腰から深々とお辞儀をしていく、そして下から見上げるように、懇願するような瞳で胸に手を当てて相手の瞳に映る自分を意識しながら…
「初めまして、私はバスターと申します。
この度、光栄にも人狼の組合入りを許されました。私は人間なものですから、人狼の常識を知らないところが多く失礼があるかと思いますが、今後は皆様に教えていただきたいのです。どうぞよろしくお願いいたします。」
「えっ…あぁ…なんて…」
私の行動に呆気をとられたように固まるトイプードル系雌が、小さくなため息と共にカッコイィっと漏らすのを聞いて、小さくガッツポーズをとる。こうなればこっちのものだ!
「もっ、もちろんですよ!あらあらっ、なんて礼儀の正しい雌かしら、私の息子の嫁とは大違いだわ、ここにここに座りなさいな…ちょっとレト子さんそっちに詰めて頂戴!」
「あらっ~トイ子さんがすっかり気に入っちゃったわね、私達とも仲良くして頂戴ね!
ほらほら、お煎餅食べて!おまんじゅうもあるからね!」
「ありがとうございます。こんな素敵なお姉様方と仲良くできるなんて、夢のようです。
このお煎餅美味しいですね…」
よし、煎餅を貰えたら完璧に落としたも同然だな!シバには言えないが、昔は年上キラーと言う大変不名誉な名を馳せた経験があり、そんなものがこんなところで生きるとは…
「あらあらっ、なんて可愛らしい笑顔かしら…あたしゃ番ってなきゃ、絶対にアプローチしてるわ!あんな爺犬なんかよりずっと素敵!」
「何言ってるのよ!あんたみたいな婆犬なんてダメでしょ!私達はバスターさんよりも三周りは生きてるんだからね!!」
「そんな…皆さんが素敵すぎて、もしアプローチかけられたら断れる自信がないですが、でも私にはもう決まった雄がおりますので、目移りなどは…」
「「「あらあらあらあら、そんなんじゃ駄目よ!」」」
周りの既番雌達に詰め寄られるように、一斉にダメ出しの声をいただいてしまい固まってしまう
「本当に人狼の雌について知らないのねぇ、アレでしょ?確かシバ君の番になる予定なのよね?この前に番申請書出したとか…」
「そうそう、この前申請課の子が噂してたもん、あの鉄壁のシバ君が落ちたって!
それにしてもシバ君もあんなに硬派で人狼の雄らしくないのに、やっぱり人狼の雄なのねぇ、自分の雌には何も教えないなんて、本当に自分勝手だわ!駄目よバスターさん!そんなんじゃ!!」
「えっ?そうなんですか…すいません、本当に私は無知なものですから、何かいけなかったでしょうか?私は何か雌として至らなかったのか…そんな、シバに申し訳ない」
既番雌達はすごい勢いで、雌は何たるかを語っていった。なるほど…確かにシバにしたら隠しておきたかった事実を、マシンガントークで一斉に教えられて
心の中で、朝不安そうにしていた可愛らしいワンコの顔を思い出して、苦笑を我慢していった。
ありとあらゆる系統の人狼の雌が集まって談話していて、もう可愛さしかなくて…
思わず頭の中でワンワン動○園の歌が流れてしまう、シバには悪いがこの光景のために来たとしか言えないほど可愛くて、目を細めてワンちゃん天国に頭の中がわっちゃわっちゃしてしまう。
それでも平静を装いながら入室すれば、皆が一斉にこちらに視線を寄こしたのを感じる。
ガヤガヤとしていた部屋が、シンっと水を打ったような静けさになり、緊張した空気がビリビリと感じる。
ひたすらに入口でゆっくりと目線を動かしていけば、部屋の奥の椅子に座るクリームの毛並みのトイプードル系の雌にちらっと何人が視線を送っているのがわかる。
見つけた…あの方がボスだな…
ゆっくりと歩を進めて、顔の筋肉には気をつけて、久しくやっていなかったがうまくできているだろうか…
口角を意識して、目尻を垂らすようにして柔和な少し気弱そうな笑顔を作り、トイプードル系の雌の前にしゃがみ、更にゆっくりと腰から深々とお辞儀をしていく、そして下から見上げるように、懇願するような瞳で胸に手を当てて相手の瞳に映る自分を意識しながら…
「初めまして、私はバスターと申します。
この度、光栄にも人狼の組合入りを許されました。私は人間なものですから、人狼の常識を知らないところが多く失礼があるかと思いますが、今後は皆様に教えていただきたいのです。どうぞよろしくお願いいたします。」
「えっ…あぁ…なんて…」
私の行動に呆気をとられたように固まるトイプードル系雌が、小さくなため息と共にカッコイィっと漏らすのを聞いて、小さくガッツポーズをとる。こうなればこっちのものだ!
「もっ、もちろんですよ!あらあらっ、なんて礼儀の正しい雌かしら、私の息子の嫁とは大違いだわ、ここにここに座りなさいな…ちょっとレト子さんそっちに詰めて頂戴!」
「あらっ~トイ子さんがすっかり気に入っちゃったわね、私達とも仲良くして頂戴ね!
ほらほら、お煎餅食べて!おまんじゅうもあるからね!」
「ありがとうございます。こんな素敵なお姉様方と仲良くできるなんて、夢のようです。
このお煎餅美味しいですね…」
よし、煎餅を貰えたら完璧に落としたも同然だな!シバには言えないが、昔は年上キラーと言う大変不名誉な名を馳せた経験があり、そんなものがこんなところで生きるとは…
「あらあらっ、なんて可愛らしい笑顔かしら…あたしゃ番ってなきゃ、絶対にアプローチしてるわ!あんな爺犬なんかよりずっと素敵!」
「何言ってるのよ!あんたみたいな婆犬なんてダメでしょ!私達はバスターさんよりも三周りは生きてるんだからね!!」
「そんな…皆さんが素敵すぎて、もしアプローチかけられたら断れる自信がないですが、でも私にはもう決まった雄がおりますので、目移りなどは…」
「「「あらあらあらあら、そんなんじゃ駄目よ!」」」
周りの既番雌達に詰め寄られるように、一斉にダメ出しの声をいただいてしまい固まってしまう
「本当に人狼の雌について知らないのねぇ、アレでしょ?確かシバ君の番になる予定なのよね?この前に番申請書出したとか…」
「そうそう、この前申請課の子が噂してたもん、あの鉄壁のシバ君が落ちたって!
それにしてもシバ君もあんなに硬派で人狼の雄らしくないのに、やっぱり人狼の雄なのねぇ、自分の雌には何も教えないなんて、本当に自分勝手だわ!駄目よバスターさん!そんなんじゃ!!」
「えっ?そうなんですか…すいません、本当に私は無知なものですから、何かいけなかったでしょうか?私は何か雌として至らなかったのか…そんな、シバに申し訳ない」
既番雌達はすごい勢いで、雌は何たるかを語っていった。なるほど…確かにシバにしたら隠しておきたかった事実を、マシンガントークで一斉に教えられて
心の中で、朝不安そうにしていた可愛らしいワンコの顔を思い出して、苦笑を我慢していった。
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