夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの?

モスマンの娘

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31.番う軌跡

938.シバの紹介  (sideシバ)

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モニターのバスターさんは、俺が一番落とすのが大変だろうと思っていた既番の雌達に囲まれて、仲良く煎餅を噛っていた。

嘘でしょ…バスターさんって仕事関係ではどちらかというと寡黙な方じゃん!
アキラさんに比べたら、絶対に対人関係では距離を詰めれない方じゃないの?
あぁでもアキラさんと比べたら駄目か、あの人はビジネス対人関係が魔王級な人だ…
それでもバスターさんはどちらかというと、慎重に距離を縮めていくタイプなはずだ!


なのにバスターさんの机の前にはどんどんと煎餅や饅頭、ハッピー○ーン、チョコ○イ、とあらゆる菓子類が山になっていって…これはもうお供え物のようで…


「コレは…すごいですね、ボス雌のトイ子さんがあんなにニコニコとしてるなんてね、シバ君の番さんはすごいコミュ力が高いようですね、雌でコミュ力が高いのは素晴らしいですね、不要な衝突が回避できますからね!」

「あぁ…ありがとうございます。でも…俺もあんなバスターさんの顔はあまり見たことないです、えぇ…」


もうキラキラしている。ニコニコしてて爽やかさとか無害感が笑顔から溢れてて…
なんでそんなに目尻が下がってるの?口角が上がってるの?目とか普段より一回り大きくない?
俺の好きなバスターさんはどこ?険しい顔に引き締まった口元に、しっかりと割れた顎はどこ!
いや、今も顎は割れてるけど…もう顎すら錯覚で丸くなった気がする!

そんなニコニコ顔のバスターさんは既番雌達にいろいろと話されてるのを、ニコニコスマイルや興味深そうな表情や驚いた表情、コロコロ変わるいつもより大きなリアクションで聞き役に徹している。すごい…もう皆バスターさんに何か話したくて前のめりになっていく。


「あぁ…講習が始まりますから、モニターは切りますね!ははっよかったですね、シバ君の心配は杞憂に終わったみたいですね
番さんしっかりと部会に打ち解けたみたいですね」

「はい、ありがとうございます。でも…心配です。バスターさんはまだ人狼の雌がどういうモノかを知らないんですよ、俺もわざわざ話さなかったし…あの表情は絶対にバレたぁ!!」


チロル部会長はうずくまって頭を抱える俺の肩を、慰めるようにポンポンっと叩いてくれる。
でも既番雌達が話さなくても今回の講習内容なら絶対に触れるだろうし…

もう怒られることを覚悟しながら憂鬱な気持ちで、バスターさんが講習が終わるのを待っていた。


≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈


ニ時間ぐらいの講習が終わり、出口でチロル部会長と二人でバスターさんを待っている。
周りは何匹もの雄達がしゃがんだり木にもたれかかったりしながら待っている。講習後の見慣れた風景に、ちょっと前までは自分が仲間入りするなんて思ってもいなかった。

会場からパラパラと雌達が出て来て、その中には頭一つ以上は飛び出たバスターさんが、周りに既番雌達をはべらせるようにでてきた!
その光景に何匹かの雄が焦ったようにダッシュで自分の雌を迎えに行っている。
ポメラニアン系のかなりの年配の雄も必死にブルプルしながら駆け寄っていて、そのまま倒れてしまわないか心配になってしまう…

バスターさんは帰っていく雌達にペコリっペコリっと一人一人にお辞儀をしながら愛想よく挨拶をしている。
なのに俺の姿を見つけるとへにょりっとすごく嬉しそうに笑って、少し駆け足気味に近づいてきて、俺はそんなバスターさんにちょっと見惚れてしまって…


「シバ!迎えに来てくれたのか?ははっ…すごいな…ほとんどの雌達を雄が迎えにくるんだなぁ…」

「そうですね、雌だけの講習の後は雄が不安になりやすいのですよ、自分のテリトリー外に長く雌が行くことに不安になって迎えに来ちゃうんですね」

「んっ?わぁ!!すいません!シバの影になって気づきませんでした。えっと私はバスターと申します。シバ!こちらの方は?」


外行きの雌達に向けてたニコニコとした王子様のような笑顔じゃなくて、俺だけに向けてくれる気の抜けたようなへにょりとした笑顔が可愛すぎて、うっかり見惚れて紹介を忘れていた!
バスターさんからはチロル部会長は小さすぎて、見えなかったみたいだ!


「すいません、最初に俺が紹介しないといけないのに、こちらはチロル部会長です。北部会の部会長で俺がずっとお世話になってた方です。豆粒みたいに小さいけど、すごく優秀でずっと部会長をされている方なんですよ」

「誰が豆粒ですかね!ははっ、初めましてバスターさん、チロルです。私もシバ君とは長い付きあいでね?なかなか雌になびかないし、番を決めないシバ君にそりゃあ業を煮やしていましたが…こんな素敵な雌を狙っていたのですね、シバ君も隅に置けないですね!」

「ありがとうございます。私もお会いできて光栄です。今後は私も北部会に所属となるそうで…番共々お世話になっていくかと思います。」

「ははっ…大変に真面目そうで、屈強で強そうですし、しかもコミュ力も高そうですね!
惚れ惚れするような素晴らしい雌ですね、まぁ私の番には負けますけどね…写真でも見ますかね?」


やばい、チロル部会長が番さんの写真を見せだしたらめちゃくちゃ長くなる!
番自慢で三時間は喋られてしまう!
俺はチロル部会長とバスターさんの間に入って、バスターさんを押しやるようにして帰路についた。
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