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1010.疑惑の裏 決闘4 流血表現あり (sideバスター)

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アブの腹から噴水のように血と肉片が溢れ出して、ダークさんの白いジャケットやシャツを染めていく
タークさんはそれを我関せずといったように、にやりっと残忍な表情で笑い…観客に見せつけるように両手を広げる


わわああぁぁぁぁ!!!!


観客席からは歓声と拍手が贈られ、タークさんは来賓席の番様の方に向き直ると、ひときわゆっくりと恭しくうやうや頭を下げる。まるで劇のカーテンコールのようだった…


リングから降りてくるダークさんと代わり、私の名前が立会人に呼ばれる。
私はとてもダークさんのような魅せる戦い方はできそうにないが、ガタガタと震えながらリングに引きずられるように上がらされるラダに集中をする。

ラダは確か魔法使い職だったが、途中で毒使いに転職したのだったな
今のラダには毒針などとても手に入らないだろう、ならば魔法で攻撃をしてくるかな…

魔法ならば、耐する魔法で攻撃を防いで戦うのが一般的だが、ただ…今回は想いのまま戦いたい、ココにはシバもいないし、シバにはとても見せられない昔やっていた戦い方をしたい…

ラダはガタガタと震えながら、歯をむき出しに、その淀んだ充血しまくった目で睨みつけてくる。


「それでは………始め!!」

「ファイアストーム!!」


立会人の声と共にアブの叫ぶような演唱がする。これは流石に耐火魔法をかけないと不味い、と慌てて小さな声で唱えいると炎の嵐が体を包んでいってしまった。


「はっ…はは…ははは!やったか?やったのか!!所長とやらでもやはり戦士職は魔法には弱いだろうが!アハハ!!やったぞ、俺は生き…」

「はぁ…間に合って良かったですよ、まさか開始早々に炎魔法を使われるとは…耐火魔法がボトムには間に合いました。危うく裸で戦うところだった…ははっ、なかなかの発動スピードでしたね?」


勝利を確信したような言葉を遮って、炎の嵐からゆっくりと出ていく、この程度の炎魔法なら私自身は火傷すらしないが、服はそうはいかない…
シャツは燃え尽き上半身はむき出しに、シバが巻いてくれたストールまでも灰になってしまった。

少し気が沈んでしまう、アレがないと私はただのおっさんで淑女になれないのに…おっさんが半裸だなんて、見苦しいだけじゃないか…


「はっ?無傷だと?ファイアストームだぞ!クソッ、なんで…」

「はぉ…あれがファイアストームでしたか?私にとっては単なる温風ですかね?
ほらっ、終わりですか?他に魔法はないのですか?全て受けさせていただきますから、どうぞ、なんなりと放ってください」

「クソッ…化け物かっ、それなら……ラティオランス!」


ラダがぶつぶつと演唱の後に叫べは、細長いを雷が私に向かって放たれる。これはいい判断だな、広範囲魔法ではなく範囲を狭めて攻撃力上げる。
雷の槍ラティオランスは特に一撃必殺としては有効だろう、更にかすっただけでマヒの状態異常もつく
沈んだ気持ちが浮上していく、あぁ…楽しい、これこそが決闘殺し合い

本来なら避けるか、魔法壁で防ぐかしなければいけないのだろうが、私は両手を広げて胸を差し出していく、わざと急所に当たるように

あぁ…やはりこの戦い方はたまらない…
自然と口角が緩んでいってしまう、ほらっ…ラダ、お前の全てを叩き潰してやるよ!お前のなけなしに残っている冒険者としてのプライドごとな?
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