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第2章.今現在の聖女

13.聖女は再び

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 ここはいったいどこだろう。

 ふわふわと体が揺れている。衝撃と苦痛の代わりに、安らぎと温かさに包まれている。わたしはゆっくりと瞼を開けた。水のように揺らめく白い光の川に、わたしは横になり漂っている。この光景には見覚えがある。初めて召喚された三年前と同じだ。

 戸惑うわたしから少し離れたところに、鈍く光る人影が不意に現れる。足元にまで流れる白銀の髪に白銀の瞳、胸と腰だけを布で覆った絶世の美女だ。Gカップはある胸にきゅっとくびれた腰、すらりと伸びた足がなまめかしい。

「はぁい、このバカ娘」

「あ、あなたは……?」

 美女はウインクをひとつすると、宙でゆったりと足を組み、膝に肘をつきひらひらと手を振った。

「聖女ちゃんからしたら初めましてよねっ+..・;+p(・`ω´・+)あたくしはカレンドールの守護神のぉ、カレンディア・ファティマト・リンカスティーンでぇす。カレンって呼んでね!*:・(*´ω`pq゛」

「……」

 こう、色々と残念で台無しである。茫然となるわたしに向かい、カレンディアは微笑みを浮かべた。今度は慈愛を感じさせる女神らしい微笑みだ。

「ねえ、紗綾。あなたを選ぶためにあたくしがどれだけ苦労したと思っているの?」

 女神が何を言っているのかが分からない。女神は「分からなくてもいいのよ」とまた笑った。わたしの乗る光の川の流れが強くなる。わたしは慌てて女神に向かい手を伸ばした。

「ま、待ってください。カレンディア、どうしてわたしを?」

 勇者と対となる大切な聖女の役割に、なぜ何の取り得もない私を選んだの?なぜわたしはまたこんなところにいるの?

 けれども言葉は言葉にならず、わたしは再び強い光に包まれた。女神が光の向こうで笑っている。

「さぁ、さっさとお行きなさい。あなたを待っている人がいるわ」

「え、ちょ、ちょっとくらい説明」

 わたしは川にどんどん流されていく。やがて果てまで辿り着くが早いか、大きく空いた黒い穴に吸い込まれてしまったのだ。ごうっと言う音とともに体が引っ張られる。

「き、きゃぁぁぁあああーーーっ!!!」
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