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第3章.三年後の聖女

14.聖女の○圧?

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――と、ここまでは女神以外には、前とほぼ同じパターンである。

 続いて神殿の召喚の間に出現するはずだった。魔法陣にお尻から叩きつけられ、尾骶骨が数日痛かった記憶がある。ところが今回は女神の慈悲なのかなんなのか、着地専用の高級肉布団が用意されていたのだ。

「あああーーーっ!!!???」

 どすん、とわたしはまたもやお尻からその世界に落ちた。直後に「ぐぇっ」とヒキガエルの潰れたような声が聞こえる。

「な、なんだって言うの?」

 わたしは星の飛ぶ目をこすり辺りを見る。見覚えのある石造りの壁が目に入る。どうやらまた第一神殿にやって来たらしい。ただ召喚の間ではないようで、部屋は八畳ほどの個室だった。本棚やそこにずらりと並ぶ書物があるところからして、神殿の図書室、あるいは神官の執務室なのだろう。それにこの温かい感触は何なのか。

「う、うう……」

 肉布団が低く苦しげに呻いている。脇には椅子が倒れており、前には紙と羽ペンの置かれた机もあった。仕事の最中の人物の上に落ちたようだ。さて、何者なのだろうかと尻の下に目を向け、見覚えのある長い銀の髪に驚く。

「エルディス!?」

 ただ、ローブは地味極まりない紺一色に代わり、その瞳と同じ紫に変わっていた。紫は神殿の最高位・神官長しか身に纏うことが許されない。エルディスはこの三年で一気に昇進したようだ。そんな神官長が体重○○kgのわたしの下敷きになっているのである。繊細な美貌がわたしのケツ圧により床に押し付けられ、絨毯にとめどなく鼻血が流れ出していた。

「エルディス、エルディス」

 わたしは慌てて横にどきエルディスを揺さぶった。けれども意識は戻らず潰れたままである。

「う、うーん……どうしよう」

 どうやらこいつは常に割を食うさだめにあるらしい。とりあえずはエルディスの鼻血を止めなければならないだろう。わたしは試しに右の手の平に意識を集中させた。すると腕が熱くなり白い光の玉がふわりと浮かぶ。わたしはほっと胸を撫で下ろした。聖女としての力はまだ使えるみたいだ。それにかつての仲間を平たいカエルの日干しにするわけにもいかない。
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